映画『遠雷』(1981)のラストシーンで、永島敏行演じる主人公(宇都宮近郊農家の長男)は、遠雷の響きとともに調子はずれに歌う。
「ようこそここへ くっく くっくー 私の青い鳥」と。
1970年代末、高度成長時代の農家の若者が抱える問題をえぐり出した作品。若者特有のはちきれそうなエネルギーをどこに向けたらよいのだろう?いくつかのショッキングな出来事を通して、そのエネルギーを収斂させて、大人になって行く姿を、「遠雷」と重ね合わせています。それが、宇都宮出身の原作者の意図することなんでしょうね。
「遠雷」は、激しい夏の終わりを告げる、象徴のようなもの。遠来の客人たちを迎え、無事に見送る昭和基地の仲間たち。昭和基地の熱い夏ももうすぐ終わろうとしています。
客人たちは、これから私たちに何を伝えてくれるのでしょうか? 楽しみです。