[用例研究 259] 〈不定詞 3 目的語として〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake © 1994 King Features Syndicate Inc.)
1 Dad, I want to get one of my ears pierced.
2 No son of mine is ever going to have an earring!!
3 But all my friends are doing it...
4 Dad, please, I just want to be different like everybody else.
[解説]
1
・to get~: 動詞wantの目的語の位置に不定詞句が置かれ、目的語となつてゐます。「耳の片方に(earringイアリングのための)穴をあけること」を望んでゐます。
□參考例文: 不定詞句が第五文型(SVOC)の目的語になる場合に、形式目的語 it を置いてわかりやすい文にした例です。
I thought it possible to solve the problem.
私はその問題を解決することが可能だと思ひました。
□參考例文: 不定詞が前置詞の目的語になることはふつうはありませんが、exceptの意味でbutを用ゐる場合に不定詞が目的語のはたらきをすることがあります。この場合、不定詞は自然に生じる精神的・感情的反應(involuntary mental or emotional reaction)を表はすものになります。
I couldn’t help but laugh at his talk.
私は彼の話に笑はずにはをれませんでした。
(※文法書では、かうした不定詞の用法を「名詞的用法」と分類してゐます。)
・get one of my ears pierced: <使役動詞get+目的語+過去分詞>の構造で「~させる」「~してもらふ」といつた意味を表はします。ここでは「耳の片方を穴があけられてゐる(状態)にさせる(/にしてもらふ)」→「耳の片方に穴をあけてもらふ」。
2
・No son of mine~: noといふ強い否定語を伴ふ主語で始まる文であり、かなり強い響きを以て父親の意思を傳へてゐるやうです。「私の息子はイアリングなんて決してつけようとはしないぞ」→「私の息子にはイアリングなんて決してつけさせないぞ」
4
・to be~: 一コマめと同樣に、不定詞句が動詞wantの目的語となつてゐます。
[意味把握チェック]
1 「父さん、ボク片方の耳に穴をあけてもらひたいんだ」
2 「私の息子はイアリングなんて決してつけようとはしないぞ」
3 「でも友達はみんなやつてるよ…」
4 「父さん、お願ひだよ。ボクは他のみんなと同じやうに違つて(/變はつた恰好をして)ゐたいだけなんだ」
[笑ひのポイント]
・「皆と同じやうに違つてゐたい」といふ矛盾が笑ひを誘ひます。
集團における同調志向や、個性的であらうとしても、それが多數に及べば忽ち凡俗に陷つてしまふといふ、流行の一側面への諷刺と捉へることもできるかもしれません。