英文讀解自修室

  - in the historical Japanese kana/kanji orthography

・用例研究 179 〈whatever①〉

2019-07-15 | 用例研究

 

[用例研究 179] 〈whatever①〉

    (BLONDIE  By Dean Young & Stan Drake)

1  But all the kids are going!

1  I know one who isn’t.

2  Mothers are impossible!

2  We have to be, it’s one of our job requirements.

3  Daddy, could I ...

3  Whatever your mother says goes.

4  You’re just playing it safe!

4  That’s one of a father’s job requirements.

 

[解説]

・I know one who isn’t: one は不定代名詞で、前出の名詞の繰り返しを避けて使はれ、不特定の人・物などを指します。〈a+前出の名詞〉にあたり、ここでは a kid といふことになります。「行かない子がひとりゐることがわかつてゐる」、つまり「私はあなたが行くことを許さない」と解しました。

 

・impossible: ふつうは「(物・事が)不可能な/あり得ない」ことを意味しますが、話し言葉では人間や事情などを主語にして「我慢ならない」「耐へられない」「どうしやうもない」といつた意味で使ふことがあります。

・job requirement: 「仕事で求められる必要な資質、要件」といつた意味でせう。ここでは家族關係で用ゐられてゐますから「(役割上)義務として要求されること」と解しました。

 

・could I ...: Could I ~? と叮嚀な言ひ方で父親に許可を求めようと切出したものでせう。

 

・Whatever your mother says: 「何であれ母の言ふこと」「母の言葉は何でも」

  whoever / whatever / wherever / whenever など、關係詞に ever がついて意味が「強調」されたところから(←私見です)、① any(~する人は誰でも/~するものは何でも/~はどこでも/~するときはいつでも、など)の意味を帶びたり、②さらにそこから「讓歩」の意味が生じて(誰が~しようとも/何を/が~しようとも/どこへ~しても/いつ~しても、など)、副詞節を形成することがあります。文法書では、「關係代名詞」「關係副詞」につづけて「複合關係代名詞」「複合關係副詞」といつた項目を設けて解説してゐます。

①〈any ~〉の意味で使はれる例文を紹介します。

□參考例文: 漫畫と同じく、主部に置かれた例です。

179.1  Whatever he tells us never fails to make us interested.

         彼が話してくれることは何でも私たちにはおもしろい

        = Anything which he tells us never fails to make us interested.

□參考例文: あとに名詞を續けて形容詞的に用ゐた例です。

179.2  Take whatever books you want to read.

         讀みたい本はどれでも取つてよい。

□參考例文: whichever はいくつか選擇肢があつて、そのうちの「どれでも」と言ふ場合に用ゐられます。あとに名詞を續けて形容詞的に用ゐることもできます。whatever には選擇肢の前提がありません。

179.3  Choose whichever suit you like best.

         どれでも一番好きな服を選びなさい。

        = Choose any suit that you like best.

□參考例文: 疑問詞 what の強調のために whatever を用ゐることがあります。

179.4  Whatever will he say when he hears this?

        このことを聞いたら彼はいつたい何と言ふだらうか。

 

②「讓歩」の意味に轉じた例については [用例研究 180] で扱ひます。

 

・go: 「(事・ことばが)決定的である/有效である」

□參考例文:

179.5   What the boss says goes.

         ボスのことばが掟だ。

 

・just: 強調と口調を整へるはたらきをしてゐるやうに見えます。

・play it safe: (話し言葉で)「危險を冒さない」

 

[意味把握チェック]

1 「でもみんな行くのよ」

1 「行かない子がひとりゐることがわかつてゐるわ」

2 「母親つてどうにもならないわね/どうしやうもないわね」

2 「さうでなくちやならないの、それが(わたしたち)母親の役割(/義務)のひとつなんだから」

3 「お父さん、お願ひなんだけど...」

3 「何でもお母さんの言ふとほりで決まりだよ(/お母さんの言ふことが何でも通るんだよ)」

4 「安全策をとつてるだけなのね」

4 「それが父親の役割(/義務)のひとつなんだ」

 

[笑ひのポイント]

・娘の Cookie の求めに對して job requirement といふことばを揃へて應じてゐます。4コマめの job requirement の内容が、今どきの(奧さんに頭のあがらない)父親のイメーヂを表はしてゐて笑ひを誘ひます。

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