第 4857回などで何度も取り上げてきたJR貨物がクルマ社会を変えてくれることを期 待していますが、その動きは期待したほどには進まないようです。誰が考えてもクルマより余程エネルギー節約や交通事 故の減少など良いことばかりだと思うのですが、どうして加速しないのかと思っていたら、思わぬ原因があるようです。
Business Media 誠よ り 5月17日
杉山淳一の時事日想:
ト ラックドライバーが不足しているのに、鉄道貨物が盛り上がらない理由 (1/5)
・・・略
なぜ貨物鉄道運賃は高いのか
そして「貨物鉄道輸送の将来ビジョンに関する懇談会」の報告書には、荷主からのもっとも大きい要望が反映 されていない。荷主にとってもっとも関心の高い 項目は、環境問題ではない。運賃である。鉄道貨物は「輸送コストを下げたい」という要望に応えていない。これでは、いくら設備投資をしたって荷主は鉄道を 使わない。使わないものに対する投資は無駄になる。そのコスト負担はJR貨物の経営を圧迫するし、国からの 税金による設備投資や運賃の補助金などもきりが ない。
鉄道貨物は効率の良さが特長のはずが、輸送料金面でトラックに負けてしまう。具体的な数字は見つけられな かったが、前ページにあるように「トラックから 鉄道輸送に切り替えた場合に国が差額の半分を補助する制度」が必要なほど、鉄道貨物料金は高い。そのもっとも大きな理由は、JR貨物がJR旅客会社、第三 セクター鉄道などへ支払う線路使用料である。
トラックは高速料金こそ支払っているものの、一般道の 道路使用料は払っていない(自動車税や重量税などで 間接的に払っているとも言える)。一方の貨物列車は、通過する線路の持ち主に対して線路使用料を払っている。これは旅客列車とバス、飛行機との比較と同じ だ。鉄道だけがインフラの経費をすべて負担する必要があり、これが料金に反映される。
その不公平感を解消するために、旅客鉄道の場合は上下分離という仕組みが考えだされた。線路設備は自治体 などが保有し、鉄道会社は使用料を支払う仕組み だ。JR貨物も上下分離と同じ構造である。しかし、JR貨物が支払う相手は自治体ではなく、JR旅客各社や第三セクターなどローカル鉄道である。線路が自 治体保有だったら、自治体は鉄道会社支援のために線路使用料を下げたり、無料にもできる。
JR貨物の場合も、いっそ線 路使用料を無料にしたら輸送料金を下げられ、トラックと競争できる。JR旅客会社ならマケてくれるかもしれな い。しかし、赤字に悩む並行在来線やローカル鉄道会社の場合、JR貨物からの線路使用料が重要な収入源になって いる。
トラック業界を巻き込んだ改革が必要
線路使用料がある限り、鉄道とトラックの運賃格差はなくならない。これを解決するためには、いっそ「すべ ての線路を国道や県道と同じように国有線路、県 有線路などとし、旅客会社や貨物会社が列車運行に応じた線路使用料を払う方式」にすればいい。これで、貨物だけではなく、旅客鉄道の赤字ローカル線体質も 同時に解決できる。…以下略
成る程、線路使用料ですか。素人の私は、線路も保線もすべて含んでも鉄道の方が安いのだろうと考えてい ました。考えてみれば、一般道路は使用料がいらないのですから、その差は大きいのかもしれません。かといっ て、上下分割で線路の方は国が持つとなるとその費用もばかにならないのでしょうね。しかし、こうなると、中 曽根さんの国鉄民営化も必ずしもすべてが良かったとはいえない面がありそうです。
もう一度国営化にする代わりに徹底的な無駄を省くなんてのもあっても良いかんがえなのじゃないでしょう か。とは言いながら、やっぱり公務員の無駄を排除するのは難しいのでしょうね。何か、根本的な解決法を見つ けて早急な鉄道を中心とするクルマ社会からの返還を目指してほしいものです。
線路使用料についてはっきりしたところが分からな いので、サーチしてみました。
線 路使用料(ウィキペディア)
下のHPは個人の方のものですが数字に弱い私には良くわかりません。果たして、 どの程度の使用料なら採算が採れ、利用が増えるのかが分からないのではなかなか改革も進みそうもないですね。や はり、この辺は国が真剣にやってもらいたいものです。相変わらずやらなくてはならないことが多いですね。
安倍さんも大変ですね!