あの屈辱のインドネシアでの新幹線敗退から随分経ちますが、未だに完成したという話は聞きません。現状はどうなっているのか気になります。
何時もの宮崎さんが詳しく報告してくれています。どうやら完成なんて有り得ない状況のようです。相変わらず土地の譲渡問題など多くの問題を抱えているようです。
それだけでなく、世界中で足踏みしているようです。と言うか、完成する前に国が崩壊するでしょう。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和三年(2021)9月24日(金曜日)
通巻第7065号
日本から中国が横取りしたインドネシア新幹線
工事はまた終わらず、完成はほぼ絶望、借金だけが残ることに
インドネシア政府の要請により、JICAがフィージビリティスタディ(商業可能性調査)に乗り出したのは2012年だっ た。ジャカルタからバンドンまで143キロの新幹線は、バンドンの標高が700メートルのため、区間の40%を高架として、 トンネル箇所が13ヶ所。日本が見積もった工事費は61億ドルで、2015年起工、18年完成、ADBが金利1%の優遇策で 融資する付帯条件も付いた。
途中からこのインドネシア新幹線プロジェクトを中国が横取りした。フィージビリティスタディは日本のもとに酷似していた。 工事は三年、中国開発銀行が75%を融資し、十年据え置き後、五十年で返済。ただし金利は6%。そのうえ、「ただし」をもう 一つ加えると中国の工事費は日本より8億ドル安い55億ドルだった。
2015年にジョコ・ウィドド大統領が訪中して習近平と会談した。
直後に中国が入札に勝った。当時の管官房長官は憮然として「遺憾に思う」と述べるに留めた。
中国の工事は遅れに遅れ、完成の約束から三年を過ぎても、トンネルがひとつ完成したに過ぎない。当初は2018年開業が謳 われていた。
大幅な遅延理由は用地買収の遅れ、住民の苦情と反対運動、そしてコロナ災禍で中国鉄建のエンジニアが帰国し、工事が中断され たからである。中国は用地買収の遅れはインドネシア政府の怠慢だとして、自分たちの責任は一切認めない姿勢だ。
中国開発銀行も、一帯一路関連プロジェクトへの融資見直しを進めており、インドネシア新幹線への融資の実行が遅れている。
事情通によれば「完成はほぼ絶望的ではないか」と暗い見通しを立てる。そういえばジョコ大統領が政治生命を賭けたカリマンタ ンへの首都機能移転プロジェクトも、コロナ対策へ予算を廻したため、決定的な遅延を招いている。
さて中国が世界各地で展開している鉄道プロジェクトの現況をみよう。
完成間近なのはラオスである。昆明から首都のビエンチャンまで約400キロの「新幹線」は90%が出来上がり、年内開通予 定だという。
三年前にラオスと中国国境の現地を取材したが、もの凄いトラックの渋滞と、中国人労働者、しかも附近にはリゾートホテルに マンション、カジノ、免税店ビルが二棟。トラックのナンバープレートを見ると、黒竜江省、遼寧省など、トンデモナイ遠距離の 車両が、中国から資材を運んでいることが分かる。
パキスタンは習近平の目玉「CPEC」(中国パキスタン経済回廊)の一環として、南西部のグアダールから新彊ウィグル自治 区のカシュガルへ1700キロの鉄道敷設。この鉄道工事はほぼ完成しているが、途中の難工事区間で工事が停滞しているうえ、 レールが盗まれるので、やり直し工事も追加される。バロチスタン州は、中国人を狙ったテロが頻発している地域だ。
▼元がとれず赤字のアフリカは「借金の罠」と今頃になって。。。。
アフリカに眼を転じると、中国が34億ドルを投じたエチオピアージブチの740キロは三年ほど前に完成し、プラットフォー ム、駅舎の表示は中国語。しかし鉄道収入による投資資金回収は絶望的。
ケニアのナイロビから輸出港モンバサへの472キロも2017年に完成し、駅舎は中国語表示の下に現地語。駅の改札に鄭和 の銅像が建立された。ケニアの債務の57%が、いまや中国である。
タンザニアから西のアンゴラへ東西横断鉄道は4000キロ。これはタンザニアとザンビア間が完成していたので、その延長工 事だった。
タンザニア鉄道は毛沢東時代から「友好鉄道」だと言って、遮二無二完成させていたが、その延長でタンザニアから1859キ ロ、ザンビアへ繋ぐ鉄道も中国が援助した。
そのザンビアからジンバブエに繋ぐ鉄道工事は、丘陵、崖、河川、森林、泥沼に加えて猛獣、治安の悪さ、現時点で開通した情 報はない。
前途多難、というより関与した国は借金の罠、中国は取引条件でつぎに何を要求してくるか。
しかし、ここまでとっちらかしておいて未だ崩壊しないのが不思議で仕方ない。これが独裁の強みなのでしょうか。
それとも、未だに金をつぎ込む世界の金の亡者達の所為なのか。いずれにしても、どう考えても崩壊しかないでしょう。