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あの試合から30年(WBAバンタム級:1993年10月23日)

2023年10月23日 05時08分06秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前の1993年10月23日、米国ニュージャージー州で行われた試合結果です。
WBAバンタム級戦:
挑戦者ジュニア ジョーンズ(米)判定3対0(117-109、116-111x2)王者ホルヘ エリエセール フリオ(コロンビア)

*当時のボクシング界には、3人のスーパースター候補生がいました。一人は1992年のバルセロナ五輪に出場し、米国唯一の金メダリストとなったオスカー デラホーヤ(米)。もう一人は1991年の豪州で行われた世界選手権で優勝し、その大会の最優秀選手に輝いたコンスタンチン チュー(露/豪)。チューはご存じの通り、現在スーパーウェルター級で活躍しているティムとニキタ チュー(豪)兄弟の実父です。そして3人目が今回の試合に登場するジュニア ジョーンズ(米)となります。

1990年代初頭のバンタム級には、オーランド カニザレス(米)という絶対王者がIBF王座に君臨していました。日本からもカリスマ辰吉 丈一郎(大阪帝拳)がこの年の夏に、暫定ながらもWBC王座に復帰。その後、網膜剝離が発覚しますが、手術に成功し再起に向けての準備段階に入っていました。

カニザレスを含め、王者たち、そしてすべてのバンタム級選手たちの脅威だったのがジョーンズ。30戦全勝(22KO)の戦績ははったりではなく、実力で主要3団体(当時のWBOはまだまだマイナー団体)の1位にランキングされていました。

(当時のバンタム級の最大の脅威とされていたジョーンズ)/ Photo: BoxRec

中量級のようなスケールの大きなボクシングを展開し、軽量級にセンセーショナルな動きを起こしていたジョーンズ。「ポイズン」と呼ばれる毒針が刺すような鋭いジャブで全勝記録をまっしぐらに走っていました。

そのジョーンズを迎え撃ったのが、こちらも26全勝(22KO)のこちらも素晴らしい記録を持つ南米の強豪フリオ。注目の無敗同士の選手同士の対戦だけに、試合前から軽量級ながらも大きな関心が寄せられていました。

(南米の実力者フリオ)/ Photo: BoxRec

試合はジョーンズが力強い左ジャブで先制していきます。しかしそこはフリオ。それまでジョーンズが対戦してきた相手とは違い、米国人に飲み込まれ続けることはありません。徐々にジョーンズのプレッシャーに慣れてきたフリオは5回、シャープな左フックで先制のダウンを奪います。将来のスーパースター候補に挙げられていたジョーンズは、その回後半には反撃に転じるという世界初挑戦の選手とは思えない力強さを見せつけます。

中盤戦はフリオがその柔軟なボクシングでリードしていきます。しかしそこからスター候補生が本領を発揮。パワーと的確性を備えたパンチで、ライバルを追いつめていきます。終盤10回、その回の早々にワン・ツー(左ジャブと右ストレート)からの連打でお返しのダウンを奪ったジョーンズ。フリオはダメージと疲れから前に出るのが精一杯となってしまいました。そして試合終了が間近に迫った最終12回、ジョーンズは右ショート、右アッパーのコンビネーションでダウンを追加し試合を決定づけました。

(フルラウンドに渡り激闘を繰り広げたフリオ(左)とジョーンズ)/ Photo: Youtube

挑戦者ながらも貫禄がある試合運びで激戦を制したジョーンズ。まだまだ注目度が低かった米国にスターが誕生しました。敗れたとはいえ、評価を落とさなかったフリオ。世界王座への早期返り咲きも期待されていました。しかし大激闘を演じた両者がこの試合の直後に、揃って大スランプに陥るとは。当時、誰も予想していなかったでしょう。


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