DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

あの試合から30年(WBAウェルター級:1994年6月4日)

2024年06月04日 05時33分31秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前の今日にあたる1994年6月4日、フランスで行われた試合結果です。
WBAウェルター級戦:
指名挑戦者アイク クォーティー(ガーナ)TKO11回57秒 王者クリサント エスパーニャ(ベネズエラ)

*長期政権も期待されていた安定王者と、将来が大いに期待されていた指名挑戦者による実力者同士による対決が、30年前にフランスで行われました。

30戦全勝(25KO)のエスパーニャは、英国を中心に活躍する身長178センチの長身選手。高いガードと鋭い左ジャブを主体とする基本に忠実なボクシングを展開しながらも、鋭い攻撃で相手を追い詰めていく選手。1992年10月に、あのメルドリック テーラー(米)にほとんど何もさせずにTKO勝利。「隠れた実力者がついに世界に到達」したと、専門家の間では非常に高い評価を得ていました。

(安定王者エスパーニャ)/ Photo: BoxRec

25戦全勝(21KO)と、こちらも全勝記録を持った最強挑戦者クォーティー。「アズマー ネルソンの後継者はこのクォーティーだ!」と、早くから世界が期待されていた選手です。日本の専門誌でも、将来フリオ セサール チャベス(メキシコ)の後継者になるのは、オスカー デラホーヤ(米)、コンスタンチン チュー(露/豪)、もくしはこのクォーティーだろうと言われていました。171センチと、身長では王者に劣るものの、エスパーニャに全く劣らない鋭いパンチの持ち主です。

(最強挑戦者クォーティー)/ Photo: BoxRec

共に固いガードと、強く的確な左ジャブを駆使する基本に忠実なボクシングの持ち主。初回から、見ごたえのある、我慢比べの試合展開が繰り広げられていきます。

身長とリーチで上回るベネズエラ人は、左右のパンチをこれでもかと上下に放っていきます。全ラウンドを通じ、「エスパーニャのスタミナは底なしか?」と思わせるほどの手数を出していきます。「バズーカ」の異名を持つクォーティーも引けを取ることなくストレートのような左ジャブで対抗。まさにお互いに譲らない一進一退の攻防が続いていきました。

 技術の高い選手同士が共に、肉体的にも精神面でも強さを見せあった一戦。10回終了時までの採点も、一人のジャッジが96対94でエスパーニャを支持すれば、もう一人のジャッジは99対96でクォーティーを有利としていました。そして最後のジャッジは95対95のイーブンとのまさに互角。勝負は残り2ラウンドを残し全く予想がつかない展開に。

「試合終了のゴングを聞くのでは?」と思われた矢先、11回早々にガーナ人の凄まじい連打で王者がダウン。試合再開後も再び強打の暴風雨を浴びせられたエスパーニャは、レフィリーと自陣営に助けられる形で救われました。「機を見るに敏」というのでしょうか、まさにクォーティーが一瞬で試合を終わらせてしまいました。

クォーティーは数年後となる1999年2月に、オスカー デラホーヤ(米)とボクシング史に残る凄まじい打ち合いを演じる事になります。このエスパーニャとの一戦は、デラホーヤ戦のようなダウン応酬の激しい試合ではありませんでしたが、試合内容は決して劣るものではありませんでした。もっと評判に登っていい試合だと思うのですがね。

この試合後、世界王者として一戦ごとに評価を高めていったクォーティー。あまりにも強すぎたため、対戦相手を探すのに苦慮したほどの選手に成長していきました。対するエスパーニャですが、その実力から世界王座への返り咲きは容易に思えました。しかし翌年3月に、無冠戦に登場し無難に再起戦を飾りました。しかしその試合を最後に引退してしまいました。

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