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今年もやってるやってる~

この階級、この選手(スーパーフライ級編①)

2014年10月15日 06時13分27秒 | ボクシングネタ、その他雑談
1990年代初頭からの約20年間、それぞれの階級で印象に残った選手を挙げていっております。毎回記載していますが自分自身に科したルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級実力№1とは限りません。自分がボクシングに興味を抱き始めた時期、1990年代初頭から中盤にかけての活躍した選手が中心になりがちですが、その辺りは多めに見ていただければ幸いです。

フライ級が3度続きましたが今回からスーパーフライ級になります。上限が115ポンドのこの階級。個人的にはスーパーフライより、ジュニアバンタムという名称の方が気に入っています。スーパー、ジュニア云々より、フライ(ハエ)よりバンタム(闘鶏)の方が響きが強そうだからです。現実問題として、ハエはニワトリの餌ですしね...。

さあ本題に入りましょう。今回登場するのは日本が生んだスーパーテクニシャン川島 郭志(ヨネクラ)。日本の長期政権王者の礎を築いた選手と言っても過言ではないでしょう。ここでいう長期政権王者とは川島に始まり、徳山 昌守(WBCスーパーフライ/金沢)、長谷川 穂積(WBCバンタム、フェザー/千里馬神戸/真正)、西岡 利晃(WBCスーパーバンタム/帝拳)、そして現WBCバンタム級王者の山中 慎介(帝拳)となります。現WBAスーパーフェザー級王者内山 高志(ワタナベ)ももちろん安定王者の一人ではありますが、内山の爆発力を考えると、少々違う分類の選手のような気がします。

川島は安定王者ではありましたが、技術者としては特異な存在だったように思えます。徳山は微妙な距離感が持ち味だった選手。長谷川はコンビネーションとフットワーク。西岡は技術者なれど、その左に威力を秘めていましたね。西岡の後輩である山中は、それに通じるものがあります。

   

川島ほどフットワークに依存するテクニシャンは、世界広しといえどもそうはいないでしょう。しかも川島の場合、アウトボクサー特有の「客を飽きさせる」ボクサーではありませんでしたね。観客席からは常に川島のフットワークと技術に対し賞賛の意味のうねり声が常に聞かれました。

1988年8月から1997年2月までのプロ・キャリアの最終戦績は20勝14KO3敗1引き分け。KO率はイメージより高く58%。強打者と謳われたダニー ロメロの52%より上をいきます。

高校時代にインターハイで優勝し、鳴り物入りでヨネクラジムからプロデビューを果たした川島。しかし1992年の夏に日本王座を獲得するまで、KO負けを喫する事2度、引き分けが1度、そして自身の左拳を痛め1年あまりのブランクを経験してしまいます。

しかしその苦い経験を生かしながら自らのスタイルを樹立。日本ボクシング史上最大のテクニシャンの内の一人と呼ばれるまでに成長していきます。

日本王座獲得後はまさに順風満帆のキャリアを迎えます。1994年のゴールデン・ウィーク中に世界王座を獲得した川島はあれよあれよという間に6連続防衛に成功。特に指名挑戦者セルヒオ エスピノ(メキシコ)戦で見せたアウトボクシングはまさに神業といってもいいでしょう。

しかし個人的には1993年4月に行った松村 謙一(JA加古川)戦が一番のお気に入りです。



自身の視力の低下+相性が悪かったジェリー ぺニャロサ(比)に元気なく破れ王座と決別。その試合を最後に現役を引退しています。

川島のボクシングを少々意地悪に分析してみました。川島といえばフットワーク、フットワークといえば川島、といっても過言ではないでしょう。その川島からもしフットワークをとったらどうなるでしょうか?

上記に挙げた日本の安定王者達にあって川島にないもの。それはリードパンチです。リードパンチがなかったからこそ、あそこまでアウトボクシングに徹した、と考える事の出来るのではないでしょうか。また川島は、鉄壁の防御というものも持ち合わせていませんでした。確か引退は視力の低下(怪我?)によるものでした。もし現役を続けていた川島が、年齢の為に脚力を失い、それまでのようにフットワークを使う事が出来なくなっていたら?キャリア後半に無残なKO負けを喫していたかもしれませんね。川島のボクシングはあくまで視力、脚力のいい期間のみ実行できる限定的なもの。そのために川島のボクシングは正統ながらも異端に見えたのかもしれません。



川島の獲得した王座(獲得した順):
日本ジュニアバンタム(現スーパーフライ)級:1992年7月13日獲得(防衛回数3)
WBCジュニアバンタム級:1994年5月4日(6)

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