キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

冬到来か

2012年11月20日 | Weblog
寒い朝が続いて、いよいよ冬が目前に迫っている感じがする。季節が正当にやってくることに何ら文句はないし、そうあってほしいが、寒さが堪える年齢に達してきたんだなと実感する。そういったことを感じるのは実に嫌なもんだ。

昨日、チラシ寿司の後で、芳林堂で、佐々木毅「宗教と権力の政治」政治と哲学講義Ⅱ 講談社学術文庫と山平重樹「実録小説 神戸芸能社」山口組・田岡一雄三代目と戦後芸能界 双葉文庫を買った。

佐々木さんのはシリーズ2冊目だから、もう止められない。Ⅰも途中まで読んでそのままだが、どうにかしなきゃいけない。いい年をして政治音痴は恥ずかしいが、民主党を見ていると素人ばかりなので嫌になっている人も多いだろう。そういったときにこのシリーズが発売されていることに大きな意義があるが、読まなきゃ何にもならない。前回のはギリシャ、今回のはローマが中心になっている。西洋の歴史はギリシャ→ローマの流れに沿って解説されるのが正統的なのだ。

山平さんの本は、戦後芸能界とやくざのかかわりを描いた実録物だが、芸能とやくざというものは本来同じ出自を持っているので、今日のように分離するということが如何に困難かという趣旨で書いてあったら面白いのだが・・・。相撲はスポーツじゃないのにスポーツにしてしまった文化人というのは、酷く頭の悪い種族だということを忘れないようにしておこう。

ワインのことも少し。昨夕シドニーからお客様が見えた。30年前に初めてお会いして、良い仕事をさせていただいた。当時まだ限られた人のものだったワインをカタログに載せて随分と販売し、ワインクラブを作って広皆さんに輸入ワインの啓蒙をした。

バロン・フエンテのグランクリュ、フランソワ・ダレヌ・オーセイ・デュレス2006、アマローネ2001を飲んだ。バロン・フエンテは繊細な果実のシャープさが、さすがにグラン・クリュだなと思わせた。オーセイ・デュレは過熟気味でやや古香が感じられるものの、ブルゴーニュの古酒好みにとっては垂涎品であった。魅力的な黄金色に輝き、厚みのある果実の壁がドーンと口中になだれのように飛び込んできて、味わいは刺激的なところが何処にも無く、陶酔、余韻に浸っているだけであった。ワインに強さが無いので飲んでいて疲れず、何時までも浮遊している感覚が楽しめた。アマローネも大分飲みやすくはなっていたが、古酒好みにとってはあと5年くらい黙って寝かせて置くべきワインであった。ワインも肉と同じで腐る直前に味わう楽しみというのがある。

場所を清香楼に移して、持ち込んだ「古越龍山 陳年八年」をさらに瓶内で15年寝かせたものを飲んだ。刺激的な悪い風味が全て澱として落ちて、紹興酒のエキスの一番優れたところが綺麗に出てきた液体を口中に流し込んだ。アルコールを飲んでいるというより、熟した果実の汁を流し込んでいるような感じで、軽くて何時までも何処までも飲み続けることが出来そうであった。

ギリシャ由来の文化とシナ由来の文化に甲乙を付けがたい夜だった。


コメント
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