キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

チーズと酒

2012年11月13日 | Weblog
先日購入した小林信彦「私説 東京放浪記」は、荒木経惟の写真が載っているものとは異なった。それは「私説 東京繁盛記」で放浪記より少し前に書かれたものだった。趣が異なると思った直感は正しかった。まあ、繁盛記のほうは目を通してあるのだから、気がつくのが当たり前なのだが。

日曜日にフランス土産のコンテを息子と共に食べてみた。冷蔵庫の野菜室に入れてあったので、香りや風味が低温のために弱く、本来の味わいではなかったのだが、それでも大変美味で温度が高くなるのを待っていられなかった。チーズだけ食べても味気ないので、”上善如水 純米吟醸 熟成酒”を飲んだ、収納部屋でどなたかにいただいたのを保管しておいたが、ラベルを見たら2009年に瓶詰めされていた。

色あいは、ほんのり薄い褐色、香りはうすく、吟醸香はすでに無く、かといって古香も感じられなかった。味わいは少し厚みがあり、落ち着いていた。暑い夏を三度越えたのにも拘らず、ここまで味わいを保っているのに驚いた。

熟成感のある酒だったので、24ヶ月熟成のコンテも良かったが、春先にイタリアから持ってきて、野菜室に忘れていた山岳チーズ、タラメッロがカビで褐変して異臭を放っていたが、これと良くあった。チーズのまわりのカビを削り取って食したが、舌にピリッとはきたものの、味わいは濃厚でマイルド、抜群に美味かった。酒の熟度とぴったりだったのだろうか、夫々を引き立てた。

コンテも更に熟成させると、ものすごく美味くなる瞬間がある、まだ2キロ近くあるので、様子を見ながらちびりちびり食す事にしよう。熟成させている酒も貯蔵室にいくらでもあるから、合わせる酒に事欠かない。

丸谷才一「快楽としてのミステリー」は、予想通り大変面白い。残念なことは、ミステリーをほとんど読んでないことで、相対性理論の講義を聴いているような無力感がある。多少読んだことがあるのはハードボイルドで、サミュエル・ダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラー、ミッキー・スピレインなどだけだ。ミステリーの読書案内として、定年後、夏の日は木陰でハンモックに揺られながら、冬には暖炉の前でロッキングチェアに揺られながら、推奨されたものを読んでみようかと思わずにはいられない、それほど読書欲をそそる本だ。

丸谷才一が書いている。暇な時間がたっぷり無い人は、上手く出来たミステリーは読まないほうが良いと。







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