ー 昨日の記事からの続きー
さて、1998年に豪州シドニーから帰国して、日本での英語の試験はずっと受けずにあっと言う間に10年経過。。。 その間、昨日書きましたように、本当は大した実力もついていなかったのに、自分は”ペラペラ”だと過信というか、誤解して、しかもそこそこ仕事で英語が使えているものだから、これも誤解の材料で、『TIME』をちょこっと読む以外ほとんど何もせず、時は2008年。
この頃になると、TOEICが、日本のビジネス界にも幅を利かすようになり、多少海外ビジネスに関係しているビジネス・パーソンならば、受けておいてあたりまえ、という雰囲気になってきました。
ブームに弱く、しかも見栄っ張りの僕は、ちょっといいカッコしたいという不純な動機から、『よ~し。TOEICでも受けてやるか。まあ、満点狙いだね。』とかなんとか公言し、2008年11月に、IPではなく、わざわざ外部で、TOEIC を受けました。
受けた感触は悪くなく、時間も余ったし、帰国後結婚した女房にも 『まあ、ちょっと文法問題で解らないところがあったけど、950点ぐらいかな。』と感想を語ったりしていました。
・・・ 1か月ほどして、結果が郵送されてきました。封筒を開くと、760点!『えっ~。ウソだろ。。 960点の印刷ミスじゃないの?』と目を疑いました。 が、セクションごとの得点(%)から推定しても、どこからどうみても 760点。
世間的に見て、760点が高いか低いかは別にして、思い出して頂きたいのですが、海外経験者の陥る罠 ーその1-で書いたように、1993年に豪州駐在前に受けたTOEICが730点。
5年も豪州に居たのに、ほとんど変わっていないことになります。強固な覚悟からではないにせよ、起きてから寝るまでずっと英語の環境だったにも関わらず、ほとんど変わっていない。
・・・実はこの後に及んで、元海外在住経験者には、往生際が悪いというか、まだ開き直る人も沢山います。『TOEICの得点は大したことないが、こんなテストでは自分の本当の実力は分からない。正確に生の英語力測定なんて出来ていないんだ!』と一回きりで2度と受けない人も結構います。他者を貶めることによってかろうじて自分の自尊心を守るといいますか。。。でも昨日書いたように、元海外在住経験者でも、ほとんどは”本当の実力”はリスニングがちょっと出来るぐらいで、大したことなく、ましてや生の(自然な)英語などは、海外から帰国直後でも実は身についていないのです。(その中でも大したことある人もいますが、それは後で書きます。)僕の体験では、そういう人の英語より、TOEIC や英検の英語の方が、よほど生に近い英語です。
僕の知っている範囲では、元海外在住経験者で、日本に帰ってから、英語の試験を受ける人は、半数たらず、1 回受けて上記の理由でやめる人が半数のうち約8割。従って、元海外在住者の1 割程度しか、複数回以上はチャレンジしていません。
しかし、僕の場合は、いくらノー天気でも、さすがに、『こりゃ、やばい。』と自覚、猛反省しました。
そこから、少しは真剣に英語の学習を始めて今日まで約2年。4回ほどTOEICを受けてようやく900点を少し超えるようになってきましたが、”ペラペラ”だと勘違いしていて、天狗になっていた空白の10年間のブランクを埋めるのは、なかなか容易ではありません。
ずっと日本にいて時間をかけてTOEIC 950点以上とか、英検1級を獲得した人は、僕のような外部環境からではなく、主体的、自主的に取り組まれてきた方が多く (海外経験があるなしにかかわらず、そうしないと英語は絶対に伸びないと思う。)その労力から、ちょっとやらないと、どんどん落ちていくであろうことが経験で分かっているので、試験にパスしても、天狗になって学習をパッタリやめたりしないで継続していくと思います。”黒船”と同じで、外圧からのものは、また外部環境が変わると、すぐ変わりますし、モロいものですが、外部環境に頼らず、自主的、主体的に続けておられる方は、非常に強い。
ですから、海外に長期住んだことがないとか、にもかかわらず、とか気にする必要は全くないですし、そういう枕言葉は全く不要で、むしろ強みです。
僕のつたない体験で書いたように、元駐在員の実力は、ちょっとリスニングが出来ることと、ガイジン相手の度胸があるぐらいで、その程度、あるいはそれ以上の環境は、これだけネットや情報機器やメディアが発達した今の日本では十分作れます。
因果なもので、日本人にとって英語とは、坂道に置かれたビー玉のようなもの。あるいは坂道を登る自転車のようなもの。自ら回転し続けないと、すぐコロコロと坂を転がり落ちていきます。(他の、たとえば”ゴルフ”や”ピアノ”や“テニス”もそうでしょうが、こと英語に関しては、日本語と言語的にも思考的にもまったく異質なので、回転を止めると、転がり落ちるスピードも速いと思います。)
また、坂道を登る”途上者”としては、5級も1級も、E級も特A級も、300点も990点も、同じ道を登る”途上者”、同志です。関係ありません。僕は今では、中学生と(時には小学生と思われる人と)、机を並べて英語の試験を受けるのに、なんの苦痛もありません。今自分が出来ていないものは、出来ないのが、生きた言語というものです。
ブログも、英語学習でなければ、おそらく3日坊主で終わったと思いますが、回転を続けなければいけないせいか、飽きっぽい僕にしては、お読み頂いている方々の応援もあり、続いています。
最後に、元海外在住経験者の中で、”大したことある人”について書いてみます。
1、海外で現地社員として、現地資本の会社で長く働いてきた人。日本の会社からの駐在ですと、僕の体験にもありますように、相手が合わせてくれることもありますが、現地採用ですと、もちろん合わせてくれません。もしコミュニケーション出来ないと、仕事にならないので、ボスから、Pack your luggage. (すなわちグビ)といわれてしまいます。
2、英語圏の学校や大学にもピンからキリまでありますが、必死でアルバイトなどをして学費を貯めて、厳しいレベルの高い、しかも日本人のあまりいないような大学で、ドミトリーも日本人が多いところにはあえて入らず、ガンバッて大学院まで卒業したような人。
この場合、大学の教官は、日本人に合わせてゆっくり授業してくれるわけではないので、かなりレベルの高い語彙の、しかも自然な英語が身に付きます。また、海外の大学では、ディスカッションの時間が多く、また大量の書物を読まされ、毎日のようにレポートやエッセイを提出させられますので(義務ではありませんが、出さないと落第するだけです。)スピーキング、リーディングや、ライティングの力が相当つきます。”国費”や”社費”の留学では、僕の知る限り、どうしても甘えがでてしまい、不退転の覚悟までにはなりにくいので、それほど伸びないようです。かつては留学生のトップ組はほとんど日本人が占めましたが、日本も中途半端に豊かになってしまい、今はトップ組は、韓国人、インド人、中国人です。ハングリーさが違うのかもしれません。(もちろん留学の目的は”最新の経営学”や”最新の量子力学”が学びたい、などであり、英語そのものではありませんが、結果として英語の実力も相当つきます。)
1、2、とも相当の覚悟としんどさをともないますね。海外在住経験者のうち、僕のような日本からの海外駐在員が一番甘く、楽だと思います。が、これから海外に飛雄せんと思っている方は、これらの1、2、の要素もちょっと頭の片隅に置いておいて下さい。
長い、つたない文章を最後までお読み頂き、有難うございました。
次回から、また、たんたんと英語学習記録に戻ります。