今日は東京地方は夏のように暑い一日でしたね。
さて、『トランプショック』に対応するため、赤沢経済担当大臣が米国を訪問し、日本時間の17日(今日)トランプ大統領、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表と会談を行いました。会談が終わっての赤沢大臣の日本人記者との記者会見を一次情報としてネットで全編観ました。(15分ほどの会見でしたが)
さて、『トランプショック』に対応するため、赤沢経済担当大臣が米国を訪問し、日本時間の17日(今日)トランプ大統領、ベッセント財務長官、ラトニック商務長官、グリア通商代表と会談を行いました。会談が終わっての赤沢大臣の日本人記者との記者会見を一次情報としてネットで全編観ました。(15分ほどの会見でしたが)
赤沢大臣は、僕とほぼ同年代の64歳(僕より2歳若い)で、東京教育大学付属駒場高校(現在の筑駒)から東京大学法学部、運輸省(現在の国土交通省)のキャリア官僚、官僚時代にはアメリカのコーネル大学に国費留学し、MBA取得、その後小泉政権の時に、『小泉チルドレン』の一員として国会議員に転身、石破政権下で閣僚、という絵にかいたようなエリートコースを歩んでいる人です。
トランプ大統領はアンチ官僚、アンチエリートのところがあり、官僚の話には全く耳を傾けず、役所の人員を強制的に削減したり、現在はエリート大学のハーバードやプリンストンやスタンフォードと『喧嘩』しています。そういうトランプ氏との会談は、官僚出身の赤沢大臣のあまりにもエリート過ぎる経歴のため、上手くいかないのではないか、と考えていました。(赤沢大臣のことは今回の交渉役に抜擢されるまで、ほとんど知らなかったので。)
赤沢大臣は、エリートキャリア官僚出身者にありがちな、論理指向が強く冷徹でタカビーなところは全くなく、何か飄々としていて率直な人だとの印象を受けました。トランプ大統領の主張は論理的に破綻しているところが多いのですが、それを真っ向から否定して論理で対抗しようとすると結果として交渉は決裂してしまいます。トランプ大統領のような人と交渉する際に、一番やってはいけないことは、論理的に正論をぶつけ、論破してしまうことで、論破すると一時的にスッキリし、気持ちいいでしょうが、結果として交渉が決裂してしまっては元も子もありません。
日本との会談は当初トランプ大統領は出席する予定はなかったのですが、いきなり直前になってSNSで『俺も出席する。』とつぶやき、これも彼一流の揺さぶりでしょう。赤沢大臣は当然大統領と担当大臣とでは格が全く違うので、当初はビビったでしょうが、『80か国も交渉したい国が列をなしている中で、全ての国との交渉に大統領が出席するのは不可能で、大統領が日本との交渉をもっとも重要と考えてくれている現れであり、大変ありがたい。』と大統領の日本に対する『配慮』に感謝する旨を会見で表明しました。赤沢大臣、なかなかのものです。
赤沢大臣は、アメリカ陣営から、今後も誠意を持って定期的に(他国よりも優先順位が高く)交渉を継続していく、という意向を引き出せたので、会談は成功だったでしょう。この会談を反映して、今日は日経平均株価は450円以上も上昇しました。もちろん、今後交渉を続けていくのは、最低限の必要条件で、今後の交渉の進展については全く予断を許しませんが。
それにしても、記者会見で、赤沢大臣に対する記者の質問内容の程度の低さには呆れてしまいます。どの記者も他社が得られない特ダネ情報を引き出したいという思いだけで、この国難に対して、ジャーナリストとして対応していこう、という意識は全くありません。
赤沢大臣が、『交渉の内容についてはまだ何も決まっていないので、お伝え出来ることは現在のところはありません。』と再三言っているのに(僕はこの赤沢大臣の発言は正しいと思います。未確定の事を言うと色々な憶測を生み、誤解や不安を煽るだけです。)色々な記者が異口同音にどんなことを会談で話したのか、聞いてばかりいます。ある記者は会談で『為替と安全保障(防衛)のことは話したのか?』としつこく訊くので赤沢大臣はついうっかり『為替のことは話していません。』と言ってしまったものだから、防衛に関することは会談で話された、という憶測を呼び、事実本日の株式市場で防衛関連株(三菱重工や川崎重工、IHIなど)は軒並み上昇しています。赤沢大臣はこういう憶測からの実態と乖離した社会の反応を警戒しているのだと思います。僕もその姿勢は賛成です。
また、ある記者は、『今日の会談を大臣ご自身が評価されて、何点だと自己評価しますか?』という、どうでもいい、バカな質問をしました。これに対して赤沢大臣は、『交渉は、結果として日米両国のWIN-WINの関係に資するものが構築されないと意味がないと思っているので、(まだ一切結果が出ていない)今の段階で、採点するのは意味がないと考えている。こういうお答えで申し訳ありませんが。』と、穏やかに、しかし至極もっともに、記者のこの質問は全く意味がない、ということを示しました。日頃からこのブログでもカネと政治の問題など政府を非難している僕ですが、何か懐の大きささえ感じ、赤沢大臣のことを好きにさえなったほどです。
それにしても世間を賑わせているフジテレビの問題でも露呈しましたが、日本のメディアの記者のレベルの低さは他国に比べ目を覆うものがあります。僕なりの考えもありますが、また別の機会に記事にしたいと思います。