今日は梅雨の中休みで、真夏のように暑かったですね。
いよいよ来週日曜日、7 月 7 日の七夕の日は英検 1 級 2 次試験ですね。見事 1 次試験を突破された方は、その勢いで 2 次試験も突破して下さい。陰ながら応援しています。
僕もちょうど 1 年前の 7月 8 日に 1 級の 2 次試験を受けました。
特に今回初めて 2 次試験を受ける方は、色々不安もあろうかと思います。僕も受験前は大変不安で緊張しました。僕の昨年度の体験は、ここにリンクしていますので、不安を感じる方は少しでも 2 次試験の雰囲気を感じて頂く一助になれば幸いです。
僕程度の英語力の人間は英検 1 級の 2 次試験対策など語ることは出来ませんし、また、1 次を突破された方ならばそれぞれ最適な方法をお持ちでしょう。しかし、僕も昨年色々な 2次 体験者の方のブログの記事を参考にさせて頂き、それがなければ絶対に合格出来ませんでしたので、あえて対策について書いてみます。あくまで僕はこう思う、という個人的考えであることをご理解下さい。
1、試験の内容
どのような試験でもそうですが、どのような試験内容か十分に理解、整理することが重要です。 英検 1 級の 2 次試験は、大まかに言って次の 5 つから構成されます。
① 受験者と元々他人である、試験官 2名(ネイティブ 1 名、日本人 1 名)とタイムキーパー 1 名と親密になるための導入部分。自己紹介や試験会場にどうやって来たか? 試験がなければ本来日曜日には何をしているのか?など通常 3 つぐらいの日常的質問があります。
② 机の上に伏せているか、試験官から手渡されるカードに英文で書いた 5 つのテーマについて、1 分間で、5 つのうちどのテーマについてスピーチするかを決め、かつスピーチの内容を組み立てる。
③ 試験官からのスピーチを始めて下さい、の合図とともに、②で選んだ1 つのテーマについて、2 分間のスピーチを行う。(2 分を超過すると、タイムキーパーにチーンとチャイムを鳴らされる。)
④ 2 分間のスピーチについて、2 名の試験官から、通常 3 問ほど質問される。
⑤ 試験官、タイムキーパーとお別れのエンディング部分
2、試験の配点
次に、その試験が何を重視しているのか知るために、試験の配点を知ることも重要です。英検 1 級 2 次の配点は、
SHORT SPEECH 30 点
INTERACTION 30 点
GRAMMAR AND VOCABULARY 20 点
PRONUNCIATION 20 点
合計 100 点満点で、 60 点以上であれば、合格です。
3、試験の対策
1、の試験の内容の①から⑤について、僕なりの対策案を書いてみます。
① イントロダクション
この目的は、自分が何者であるか、理解してもらい、その後のスピーチと質疑応答をスムーズにするためにあります。
本当に自分がやっていることをそのまま話せばよいと思います。例えば、普段日曜日には何をしているか?と訊かれれば、普段は日曜日は休養のため、昼過ぎまで寝ているが、ここ 2 週間は、2 次試験の準備のため、スピーチの練習をしました。でもかまいません。人とは違う自分のありのままを素直に出すのがよいと思います。また、この部分は、試験直前 1 週間でもかなり準備出来ます。(だいたい質問の内容は決まっていますので。)
② スピーチするテーマの選択とスピーチする内容の組み立て
このセッションは最大の難題です。僕の場合は、僅か 1 分間で、英語の5 つのトピックの中から 1 つを選び、英語のスピーチの組み立てをするなどということは、絶対に無理、と思いましたので (日本語でも難しい。) あらかじめその時の旬なトピックを 50 ほど考え、あらかじめ喋る要点を考えて臨みました。しかし、それを考えたのは、試験の前日でした。
2 回通ったテソーラスハウスの英検 1 級 2 次直前模試のクラスでは、『 1分間のうち、最初の 10 秒で スピーチするトピックを選び、残りの 50 秒で、スピーチの内容を組み立てろ。』と教わりました。それは正しいと思います。
しかし、僕の実力では、5 つのトピックを読むだけで、モタモタしていたら 1 分経ってしまい、スピーチの内容まで組み立てるのはとても無理、と思ったので、50 ほどのトピックを準備して臨みました。しかし、スピーチを実際に書いて覚える、まではしていません。(時間がなかったせいもありますが。) トピック毎の要点を 3 つ、4つほど要点をスケッチ風に書き出しただけ(マインドマップのようなもの)でした。
しかし、今にして思えば、スピーチを実際に書いて逐一逐語覚えないことが幸いしたと思います。理由は後述します。また、試験本番では、50 のトピックの要点を用意したのに、実際にカードに書いてあった 5 つのトピックはそのどれにも類似すらしませんでした。もし50 のトピックのスピーチを逐一逐語暗記していたら、その時間と労力は全て無駄になってしまうところでした。
③ スピーチ ( 2分間)
スピーチやディベートの文化は日本では希薄ですが、欧米ではスピーチでは自分自身が思っていることを効果的に伝えることにあります。また他の大多数の人が考えていることを話してもあまり興味を持ってもらえません。スピーカーがどれだけ自分の頭で考え、オリジナリティを持っているかで、聴き手の反応は全く違います。
日本語のスピーチでは中々自分の考えを話さず、最後の方になってようやく自分の考えらしいものが出てきますが、英語(欧米の文化)では、まず始めに自分はこう思う、という立ち位置をはっきり明確に表明し、聴き手に自分がどのように考えているか、冒頭で理解してもらう必要があります。そして、なぜならばその理由はこうだ、と 3つ ぐらいそう考える理由を述べることが出来れば理想的です。
これは、1 次試験のエッセイと同じです。しかし、エッセイではキー・ワードを与えられるので、逆に自由度やオリジナリティーの幅が狭まりますが、スピーチで与えられるのはトピックだけなので、自分が思う、考える理由を自由に話せるメリットがあります。また、エッセイのように単語の綴りまで意識しなくてもいいので、より自由度は高まります。(僕は 1 次のエッセイではいつも自分が正確に綴れる中学英語の単語しか、書かなかった。従って極めて次元の低いエッセイとなってしまった。)
日本語でいいので、日頃から、色々な事象に対して、私はこう考える、なぜならば、こうだからだ、という発想で考えている方はスピーチでは非常に有利です。例えば『死刑は廃止すべきか?』というトピックですと、私は死刑は反対だ、なぜならばこうだ、こうだ、こうだと 3つぐらい自分が考える理由を挙げられる思考回路が出来ている人は大変有利です。また頭の中でそういう癖をつけることは 通勤電車の中でも風呂でも出来るので、1 週間程度でもかなり出来ます。
理想的には、その理由の中に自分の考えをサポートする客観的な傍証 (例えば2013年5月20日のニューヨークタイムズによれば、アメリカの 2010年の死刑囚の中で後で無罪が証明された人が 5 人いた。(この例は僕が作った架空で事実ではありません。念のため。)など)も付けることが出来れば完璧ですが、2 分間のスピーチでは無理ですし、またそこまでしなくても、合格点には十分達します。
④ スピーチに関する質疑応答
スピーチに関する質問が 3 つほどあります。通常、スピーチの中で自分がこう思う、なぜならば・・・。のなぜならばの部分に対して、それではこういう場合はどう考えるか?という質問がほとんどです。
また、時として、言葉の定義そのものについて、訊いてくることもあります。話し手と聞き手の言葉の定義がずれていると、お互いの知識を深めることが出来ないからです。僕の場合、スピーチは 『学校で宗教を教えるべきかどうか?』というトピックでしたが、最初の質問は、僕が考える理由に対してではなくで、『宗教とはなにか?』という定義についてでした。大変面喰いましたが、欧米人は言葉の定義にうるさいというか、相互理解を深めるための必須前提条件と考えていますので、定義の規定はたいへん厳格です。
欧米のスピーチの本質は、他の人から違った考えを聴いて、自分(聴き手)の知識の幅も広げる、しかし疑問のあるところは質問してさらに確かめ、一層話し手と聴き手の知識の幅を広げ、深めることで、話し手と聴き手がwin - win の関係になることにあり、それが、先ほどの配点の項目のうち、60%もの配点を占める SHORT SPEECH とINTERACTIONの核心となる部分です。
先ほどスピーチは丸暗記しないほうがよい、と書いたのは、そもそも暗記したスピーチのトピックが出題されない場合、全く対応出来ないことに付け加えて、暗記してしまうと固定化してしまって、聴き手の質問に対応出来なくなってしまう、すなわちINTERACTION の関係が築けなる可能性が高いからです。 質問に対しては、流暢でなく、たどたどしくてもかまいませんから、自分の考えを相互理解にまで深めたいという気持ちを持って、自分の言葉で答えるべきです。
それでは、SHORT SPEECH と INTERACTION の準備のしようがないじゃないか、と思われるかもしれませんが、英検 1 級の 1 次に合格されるほどの人であれば、インプットとしての知識や考えは十二分にお持ちだと思いますので、あとは、先ほどのスピーチを進める上で、私はこう思う、なぜならば。。という表現方法と、質問に対しては、相互理解を深めたいという気持ちを前面に出して、相手の目を見て、自分の言葉で話すアウトプットの技術的な表現方法を高めることです。これは 1 週間程度の練習でも相当磨くことが出来ます。
⑤ エンディング
スピーチと質疑応答のセッションが終わると、試験官からはこれで試験は終わりです、と言われますが、そこでほっとしてすぐ席を立つ人が多いようです。しかし、日本語でも終わりよければすべてよし、と言われるように、エンディングは実は大変重要です。
今日は私の考えをのべ、質問によってさらに相互理解を深めることができ、有意義だった。機会があればいつかさらにじっくりと話し合いたい、といった程度のことは述べるべきです。試験官も受験者も日曜日の貴重な時間を割いて、お互い得るものがなかったというのでは、win - win のINTERACTION になりませんから。
最後に、GRAMMAR AND VOCABULARY と PRONUNCIATION も英語としては重要な基本的要素ですが、英検 1 級 2 次試験の配点は合わせて 40 点と SHORT SPEECH と INTERACTION ほど重視されていません。僕の場合は実際の試験では、『 この動詞は目的語に to 不定詞を取るか、ing か?』や R と Lの発音の違いを意識して喋る余裕はありませんでした。言語である以上、伝達手段としてのGRAMMAR AND VOCABULARY と PRONUNCIATIONの学習の重要さは十分理解していますが、こと 英検 1 級の 2 次試験については、この項目は僕には語る資格はありません。
長々と書いてしまいましたが、英検 1 級はアウトプットとインプットの両方を試すバランスのとれたよい試験だと思います。出来るだけ多くの方が、英検 1 級の 2 次試験に合格されることを祈っております。