



玉川上水の一隅にある、「すわりどころ」と名付けた古びたベンチ。自分と同じ「弘美」という名をもつ浅草の喫茶店。アメリカ西海岸のいろんな街へ四歳のわたしを運んだワーゲンビートルの後部座席…。記憶の底に置き忘れた風景や、流れる時のなかで姿を変えた土地に慈しみの光をあて、人生と思わぬ縁を結んだいくつもの「わたしの場所」をのびやかに綴る自伝的連作エッセイ

「他人の旅というのは他人の夢と同じくらい、私にとっては興味を持つのが難しいものなのであり、どれほど楽しい思い出話を聞いていても、いつのまにか退屈してしまう・・・」
なんか・・・思わず握手なんかしてみたくなった。
自分のブログで旅行記をたくさん書いているのに、なんて人でしょっ!
これから行くところ、行ってきたところなんかは、そっかそっか、そうだそうだ、と興味深く読むけれど、特に興味もないところ、すでに興味を失ったところ、知らないところ、知らなくてもいいところ、知ろうとも思わないところなんかは、ふーん!何だ旅行記か・・・
ひねくれた大人に仕上がっちゃったのでしょうか? なんて思っていたけれど・・・なんか、一緒ね。とうれしくなった。
で、この本は旅行記ではなく居場所について書かれたエッセイ。だ・か・ら・・・面白く読めた。
英語はすっかり忘れているって書いてあったけれど、マダカスカルでは、それは嘘です。と書かれていて、そうでしょうとも・・・

そのマダカスカルは新婚旅行で訪れた場所だそうで・・・面白いっ!
あとがきもとっても良かった。
