バレエ&ミュージカル情報いろいろ(続)

  今日(23日)もバレエを観に行ってきました。今度はシュトゥットガルト・バレエ団のマリシア・ハイデ版「眠れる森の美女」です。夜の部(18:00開演)を観ました。

  相変わらず男子が超元気なバレエ団でした。

  ハイデ版については、互いの味の調和を無視した、雑多な具がたくさん入った闇鍋を際限なく食べさせられている感じで、最後のほうは退屈でたまらなくなりました。

  一つ例を挙げると、ハイデ版ではカラボスがプロローグから終幕まで出ずっぱりです。そして、女性ダンサーではなく、男性ダンサーが女装してカラボスを踊ります。

  男性によって踊られるこのカラボスは、しょっちゅう舞台に姿を現しては、ダイナミックなジャンプや回転を連続で繰り返し、舞台上を縦横無尽に駆け回ります。結果、カーテン・コールでは、オーロラ姫とデジレ王子よりも大きな拍手とブラボー・コールをもらっていました。

  ですが、カラボスのこの派手なパフォーマンスは、無意味で空疎なもののように私には思えました。なんでここまで跳びまくらないといけないのか分からないのです。

  また、カラボスはとかく城郭の上から下を眺めていたりして、登場シーンが実に多いのです。でもそれらの登場シーンが何を意味しているのかも分かりにくかったです。

  結局は、カラボスをここまでフィーチャーする意図はなんなのか、どんな効果を狙っていたのか、何を表現したかったのか、非常に曖昧なままで終わってしまいました。

  プログラムによると、マリシア・ハイデは「私はベジャールやノイマイヤー、キリアンのような本当の振付家ではないと思うの。だから真の意味の新しい創作には自信がない。でも『眠れる森の美女』『ジゼル』『くるみ割り人形』といった古典なら彼らよりよく知ってると思うし、たくさん踊ってきたわ」と語ったそうです。

  でも今回のハイデ版『眠れる森の美女』を見た限り、マリシア・ハイデは「古典」の再振付、追加振付、再演出にも「自信」を持つべきではないだろうと思いました。

  オーロラ姫を踊ったのはアリシア・アマトリアンでした。私は古典を踊る彼女を観るのは今回がはじめてでした。コンテンポラリーを踊る彼女は以前に観たことがあって、アマトリアンが身体的素質に非常に恵まれたダンサーだということは知っていました。

  ですが、全体的な感想を言うと、なんでアマトリアンがオーロラ役なのか理解できませんでした。普通はその役を踊れる能力を持つダンサーをキャスティングするものでしょ?たとえば1箇所や2箇所ミスをしたというくらいならなんでもないですけど、アマトリアンは明らかにオーロラ姫を踊れる能力をまだ持っていないと思います。

  第一幕のローズ・アダージョではバランス・キープがまったくできず、アティチュードで上げている片脚が、あれよあれよという間に下がってくる。最後には身体全体が斜めにかしぐ。あんな悲惨なローズ・アダージョははじめて見ました。

  続いてのヴァリエーションでは、振りをこなすのに精一杯で、時間が押せ押せになってしまい、踊りが音楽とまったく合わない。

  シュトゥットガルト・バレエ団の芸術監督、リード・アンダーソンは、ダンサーを技術だけで判断する人ではないようなので、アマトリアンをオーロラ役に配した他の理由、たとえば音楽性にあふれた踊りをするとか、優れた演技力があるとか、大きな存在感や華があるとか、魅力的な雰囲気を醸し出せるとか、そういった要素をアマトリアンに見出そうとしましたが、結局わからずじまいでした。

  でも、第三幕のグラン・パ・ド・ドゥでのアマトリアンはすばらしかったので、彼女のオーロラ姫へのキャスティングは「これからに期待」的な意義があったのでしょうか。

  会場でシュトゥットガルト・バレエ団の残りの東京公演の「リピーター券」(2,000円割引)が発売されていました。で、つい衝動買いしてしまいました。『オネーギン』をもう1枚。わたくしは悪魔(マーラ)を退けることができませんでした。お許し下さい、ブッダ様(By 『聖☆おにいさん』)。

  やっと本題。今日もらった公演チラシから。

  デンマーク・ロイヤル・バレエ団が2009年5月に日本公演を行ないます。演目は二つで、まずオーギュスト・ブルノンヴィル振付『ナポリ』、公演日は5月15日(金、18:30開演)、16日(土、15:00開演)、17日(日、15:00開演)、次にジョン・ノイマイヤー振付『ロミオとジュリエット』、公演日は5月22日(金、18:30開演)、23日(土、15:00開演)、24日(日、15:00開演)です。

  来日予定のプリンシパルは、シリア・シャンドルフ、ギッテ・リンストロム、グドゥルン・ボィェセン、エイミー・ワトソン、ヤオ・ウェイ、ジャン・リュシアン・マソ、マス・ブランストルップ、トマス・ルンドだそうです。

  主催元はNBSです。チケットは1月下旬発売予定で、料金、配役は追って沙汰する・・・ではなく、「発表いたします」とのことです。

  あとこれはとうの昔に光藍社の公式サイトに掲載されていたらしいですが、2009年1月20日に行なわれる「奇才コルプの世界」の出演者と演目が発表されました。

  出演者はイーゴリ・コルプのほか、

  草刈民代
  ユリア・マハリナ(マイリンスキー劇場バレエ)
  オクサーナ・シェスタコワ(レニングラード国立バレエ)
  ナタリヤ・マツァーク(キエフ・バレエ)
  エリサ・カリッロ・カブレラ(ベルリン国立バレエ)
  ヴィクトリア・クテポワ(マイリンスキー劇場バレエ)
  ヴィクトル・イシュク(キエフ・バレエ)
  ミハイル・カニスキン(ベルリン国立バレエ)
  オグルキャン・ボロヴァ(シンシナティ・バレエ)

だそうです。演目とダンサーは、

  「白鳥」(イーゴリ・コルプ、音楽:C.サン=サーンス、振付:R.パクリタル)
  「デュエット」(ヴィクトリア・クテポワ/イーゴリ・コルプ、音楽:A.コレッリ、振付:D.ピモノフ)
  「道」(ナタリヤ・マツァーク、音楽:J.マスネ、振付:D.クリャービン)
  「レダと白鳥」(草刈民代/イーゴリ・コルプ、音楽:J.S.バッハ、振付:ローラン・プティ)
  「眠りの森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ(ヴィクトリア・クテポワ/ヴィクトル・イシュク、音楽:P.チャイコフスキー、振付:M.プティパ)
  「海賊」よりパ・ド・ドゥ(オクサーナ・シェスタコワ/オグルキャン・ボロヴァ、音楽:R.ドリゴ、振付:M.プティパ/V.チャブキアーニ)
  「グラン・パ・クラシック」(ナタリヤ・マツァーク/ミハイル・カニスキン、音楽:D.オーベール、振付:V.グゾフスキー)
  「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」(エリサ・カリッロ・カブレラ/イーゴリ・コルプ、音楽:G.ロッシーニ、振付:C.シュプック)
  「シーソーゲーム~ブランコのふたり~」(ユリア・マハリナ/イーゴリ・コルプ、音楽:J.S.バッハ/C.ヴァルガス、振付:R.パクリタル)ほか

とあります。「ほか」と書いてあるので、更に演目が増えるかもしれません。実はひそかに今から楽しみにしてるの。この「奇才コルプの世界」。うふ。
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