シンデレラ(3)

  今日も新国立劇場バレエの「シンデレラ」を観てきました。これで最後です。今日の公演はどちらかというと作品として楽しんだというか、アシュトン版「シンデレラ」はこれでとりあえずの見納め、みたいなつもりで観ました。もちろん再演されたらまた行きますが。

  シンデレラは本島美和さん、王子は中村誠さんでした。新進のダンサーさんに場数を踏ませるのが必要なのはよく分かります。今回は特定のダンサーを目当てに行ったのではありませんが、それでも、こちらはお金を払って観に来ていることを、バレエ団側は忘れないでほしいと思います。

  新国立劇場バレエは、別に主役として外国の有名ダンサーをゲストに呼ばなくても、充分に客が入るカンパニーだろうと思っています。ただ今日の公演を観て、やはりゲストが必要な場合もあるのだ、と思いました。
  つまり、客寄せパンダとしての役割以外に、その役の模範としての役割を果たすゲストです。

  今回の「シンデレラ」の主役のゲストはアリーナ・コジョカルとフェデリコ・ボネッリでした。コジョカルに関しては、私は彼女のシンデレラの踊りを観ておいて本当によかった、と心の底から思いました。
  たとえば今日の公演しか観ていない観客が、シンデレラの踊りとはああいう踊りなのだ、と思い込んでしまうのは残念なことです。

  シンデレラの演技についても、もちろんコジョカルの演技が正しい、と断言する気はありませんが、少なくとも身の上の不幸を嘆くシンデレラの演技は、アルブレヒトに裏切られてショックを受け悲嘆にくれるジゼルの演技と同じであるべきではないと思います。  

  ボネッリに関しては、さすが腐っても(すみません)ロイヤル・バレエのプリンシパルだ、と遅ればせながら見直しました。でも、今回の彼のパフォーマンスはあまり調子がよくなかった、という印象に変わりはないですが。

  仙女の川村真樹さん、四季の精を踊った寺島まゆみさん、真忠久美子さん、遠藤睦子さん、厚木三杏さんはみなすばらしかったです。とりわけ寺島まゆみさんが踊った春の精の踊りがとても気に入りました。

  義理の姉を演じたのは保坂アントン慶さんと堀登さんでした。特に下の姉役の堀登さんの演技は、一癖も二癖もあってすごく笑えました。

  去年のロイヤル・バレエ日本公演の「シンデレラ」は、そんなに面白く感じませんでしたが、今回の新国立劇場バレエの公演で、この作品のすばらしさに気づくことができて幸運でした。それも日本のバレエ団によって、というのが更に嬉しいところです。

  これで今年のバレエ鑑賞はすべて終わりました。とても楽しかったです。来年はどんな作品との出会いが待っているのでしょうか。 
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