シンデレラ(2)

  今日、また新国立劇場バレエのアシュトン版「シンデレラ」公演を観に行ってきました。

  なんで平日の昼なんかに公演を行なうのか不思議ですが、客席はほぼ満席の大盛況でした。やっぱりお年寄りや学生さんの観客が多かったです。

  今日もシンデレラはアリーナ・コジョカル、王子はフェデリコ・ボネッリでした。コジョカルは今日も好調でした。でも今日は、彼女の踊りに加えて、彼女のシンデレラの演技に感動しました。

  コジョカルは非常に小柄で、新国立劇場バレエの女性ダンサーよりもやや背が低いくらいなのです。それにとびきりゴージャスな美人というわけでもなく、すごく可愛いけれども、どこにでもいる普通の女の子といった感じです。だからシンデレラ役が自然に似合ってしまうのです。

  特に感動したのは、舞踏会にやって来たときのコジョカルの表情です。ほとんど泣きそうな顔をしていて、黒目がちの瞳が潤んできらきらと輝いていました。きれいなドレスを身につけて、憧れのお城の舞踏会に来ることができた、すごく嬉しい、というシンデレラの気持ちが伝わってきました。

  ボネッリも今日は好調で、コジョカルとの踊りもうまくいっていました。ただ、第二幕、回転するコジョカルの腰を支えるところでは、やはりコジョカルの体が斜めになってもたついてしまい、それからアラベスクをしたコジョカルの腰を抱えてすばやく一回転する、という動きがビシッと決まりませんでした。でもこの動きは数回くり返されるもので、2回目以降はうまくいっていました。

  それにボネッリのソロの踊りもとても丁寧で安定していました。だけどコジョカルと比べると、コジョカルの踊りは安心して見ていられるのに、ボネッリが踊ると、「うまくいきますように」となぜかハラハラしてしまうのです。

  まあ、私がロイヤル・バレエの男性ダンサーの踊りに期待するのは、超絶テクニックではなく(ごめんなさい)、ロイヤル独特の優雅で品の良い丁寧な動きやポーズです。今日のボネッリは堂々としていて余裕があり、いかにもロイヤル・バレエの王子らしかったです。

  仙女役である湯川麻美子さんの踊りはどうだったのか、どうも私には分かりません。四季の精の中では、夏の精を踊った西川貴子さん、冬の精を踊った寺島ひろみさんが美しかったです。でもこれは、ただ単に私がスローテンポな曲とゆったりした動きを好むから、そう感じたに過ぎないのかもしれません。

  星の精の群舞は実にすばらしかったです。第一幕最後の「ワルツ」なんて、彼女たちの、あの時計の針みたいにきびきびとした正確な動きには、思わず鳥肌が立ちました。

  アシュトン版「シンデレラ」のいいところは、観ていて不快感を覚えることがない、ということです。悪い人が出てこないのです。義理の姉たちを醜悪なメイクと悪趣味な扮装をした男性ダンサーに踊らせることで、演技とはいえ女が女をいじめることへの不愉快さがなくなります。おまけに彼女ら(?)のギャグ満載の演技と不恰好な踊りのおかげで、見る楽しみが増えます。

  最後にシンデレラと義理の姉たちが和解するシーンには、思わずほのぼのした暖かい気持ちになりました。

  コジョカルとボネッリが出演するのは今日が最後です。そのせいか、シンデレラが最初に上の義理の姉と抱き合って仲直りするシーンで、コジョカルとマシモ・アクリは深々と抱き合うと、アクリが小柄なコジョカルの体をぎゅっと抱きしめたまま持ち上げて、そしてコジョカルの頬にキスをしました。

  コジョカルは次に下の義理の姉を踊った篠原聖一と深々と抱き合って、彼らはお互いの両の頬にキスをしました。物語と現実とが重なって、大団円な結末に感動したと同時に、コジョカルはとても良い性格の子だな、と思いました。

  カーテン・コールでは、もちろん最前面の中央に立っていたコジョカルとボネッリが、途中で下がってダンサーたちの列の脇に立ち、新国立劇場バレエのダンサーたちだけに挨拶させ、自分たちは列の横で拍手を送っていました。ゲスト・ダンサーの最終出演日には、いつもこうするのでしょうか?とてもいいしきたりだと思います。

  私はアシュトンの作品は少ししか観ていませんが、「シンデレラ」はアシュトンの最高傑作なのではないか、と思います。あまりに面白いので、あともう1回だけ観に行くことにしました。今度は新国立劇場バレエのダンサーが主役を踊ります。他の主要なキャストもほぼ変わります。とても楽しみです。
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ノロちゃん

   ノンちゃんはね、ノロちゃんっていうんだホントはね♪
   だけどワルイから自分のことノンちゃんってウソつくんだよ~♪
   こずるいね、ノンちゃん♪

  のっけからオヤジ替え歌ですみません。現在、日本全国で猛威を振るっているノロウイルス。とうとう私の同僚にも、この「ノロちゃん」に感染した人が出ちゃいました。今週一週間は念のために休むそうです。ご存知のように、ノロウイルスは症状が治まった後も、しばらくは体外に排出され続ける可能性があるためです。

  毎日ノロちゃんに関するニュースを見ていて、ふと思い出しました。私は数年前の春に「ウイルス性胃腸炎」に罹ったことがあります。嘔吐、下痢、腹痛、発熱、頭痛という症状でした。1週間ばかりは絶食して水とリンゴジュースとポカリでしのぎ、全快するまでに2週間くらいかかったように覚えています。

  あのとき医者は「ウイルス性胃腸炎」としか言わなかったけれど、もしかしたらそのウイルスとは、ノロちゃんのことだったのでは?と思いました。症状がそっくりですもん。上記の症状もノロちゃんの場合と同じだし、特にノロちゃんに感染したときの発熱は38度台、っていうのも同じ。

  同僚がノロちゃんにやられてしまって、ノロちゃんはもはや他人事ではなくなりました。自分がウイルス性胃腸炎に罹ったときのトラウマもよみがえります。神経過敏かもしれないけれど、電車でつり革や棒につかまったときは、帰ったら速攻せっけんで手洗い、公衆トイレに入った後も消毒液で手洗い、とまるでアライグマのようになってしまいました。

  困るのが、年末年始の帰省です。帰省&Uターンラッシュで混雑している新幹線の車内や飛行機の機内、ノロちゃんは悠々と空中浮遊して、人間の手や口に付着するチャンスを窺っているに決まってます。

  私はまだ切符をとってないのですが、新幹線と飛行機とどっちにしようか迷っています。ノロちゃんに感染する確率がより低いのはどちらでしょうか?
  飛行機のほうが乗っている時間は短いですが、空港へ向かう、また空港から出るバスに乗っている時間を加えると、結局は新幹線だろうが飛行機だろうが、どちらも危険性は変わらない気がします。

  私が以前やられたのはノロちゃんではなかったのかもしれないけど、かつてウイルス性胃腸炎に罹った者として強調したいのは、

  ・自分の体を過労や睡眠不足といった状態にしない(仕事しすぎない、よく寝る)
  ・自分の心に大きなストレスをかけっぱなしにしない(ストレスを発散する)

ことです。ウイルスは心身ともに弱った人間の体が大好きだからです。しつこい手洗いを行なうとともに、ウイルスが嫌う健康な心身を作っておいて、この「ノロちゃん禍」を乗り切りましょう。
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