「花まんま」で直木賞を受賞した朱川湊人による第10回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「白い部屋で月の歌を」と一緒に納められている中編。
「白い部屋~」が“ちょっと良くできた怪異談”というレベルなのに対し、この作品の印象は実に強烈だ。不倫が原因で地方の営業所に飛ばされた主人公とその妻が遭遇する土地の不思議な因習。そこに立つ「ミハシラ」なる“首吊り用の鉄柱”をめぐって展開する不気味かつ切ない物語である。
どうして住民はこの柱を使って自ら命を絶つのか。終盤明らかにされるその理由は、何ともやりきれない、しかし読者の胸の奥に深く食い込んでくる。「明日は今日より良くなることを信じて生きる」というポジティヴな姿勢は誰しも評価はしていても、実のところ見方を変えればそんなのは「建前」でしかないのではないか。そもそも「人生の幸福」って何なんだろう・・・・。そんな想いが渦を巻き、たまらない気持ちになった。
朱川の語り口は丁寧で読みやすい。今後とも作品を追いたい小説家である。
「白い部屋~」が“ちょっと良くできた怪異談”というレベルなのに対し、この作品の印象は実に強烈だ。不倫が原因で地方の営業所に飛ばされた主人公とその妻が遭遇する土地の不思議な因習。そこに立つ「ミハシラ」なる“首吊り用の鉄柱”をめぐって展開する不気味かつ切ない物語である。
どうして住民はこの柱を使って自ら命を絶つのか。終盤明らかにされるその理由は、何ともやりきれない、しかし読者の胸の奥に深く食い込んでくる。「明日は今日より良くなることを信じて生きる」というポジティヴな姿勢は誰しも評価はしていても、実のところ見方を変えればそんなのは「建前」でしかないのではないか。そもそも「人生の幸福」って何なんだろう・・・・。そんな想いが渦を巻き、たまらない気持ちになった。
朱川の語り口は丁寧で読みやすい。今後とも作品を追いたい小説家である。