元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「CODE8 コード・エイト」

2024-05-17 06:08:01 | 映画の感想(英数)
 (原題:CODE 8)2019年カナダ作品。日本では劇場公開されておらず、私はネット配信にて鑑賞した。取り立てて出来の良い映画では無いが、硬派なテイストが適宜挿入されていることもあり、あまり退屈せずに最後まで付き合えるSFスリラーだ。もちろん、映画館でカネ払って観たら不満が残ると思うが、テレビ画面では丁度良い。

 人口の約4%が何らかの超能力を持って生まれるようになった近未来世界。彼らは当初は効率の良い労働力として持て囃されたが、機械化・システム化が進んだことにより実業界では不要の存在になっていった。それどころか差別や迫害を受け、犯罪に走る者も少なくない。しかも、超能力者の髄液から抽出される強力な麻薬が高値で取引され、警察は厳しい取り締まりを断行する。そんな中、超能力を持つコナー・リードは、難病を患う母親の治療費を稼ぐため、違法薬物の売買を営むギャレットの一味に参加して犯罪に手を染めることになる。



 社会から邪魔者扱いされた超能力者たちが違法行為をやらかすというネタは、大して新味は無い。舞台になる都市(ロケ地はトロント)が殺伐とした抑圧的な造型を伴っているのも、まあ想定の範囲内だ。しかし、LGBTQなどのマイノリティの権利がクローズアップされる現時点で接すると、けっこう緊迫感が嵩上げされる。

 また、各エスパーはそれぞれ能力が異なっており、ドラマ全体に意外性が醸し出される。警察サイドにも強硬派もいればリベラル派もいて、そのあたりの葛藤が紹介されるのも悪くない。モチーフとしては警察が装備している攻撃型ドローンと、アンドロイド型の実戦型マシンのエクステリアが面白く、市民生活の隣にこんなメカが跋扈している光景は興味を惹かれる。

 ジェフ・チャンの演出は特段才気走った点は無いが、安全運転に徹していてストーリーが停滞することは無い。主演のロビー・アメルは健闘しており、切迫した主人公の内面は過不足無く表現出来ていたと思う。スティーヴン・アメルにサン・カン、カリ・マチェット、グレッグ・ブリック、カイラ・ケイン、ピーター・アウターブリッジらその他のキャストにも演技に難のある者がいないのも気持ちが良い。なお、続編がNetflixから配信されており、近々チェックする予定である。
コメント
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