元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第18回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その1)

2021-04-24 06:11:37 | プア・オーディオへの招待
 去る4月16日から18日にかけて、福岡市博多区石城にある福岡国際会議場で開催された「九州ハイエンドオーディオフェア」に行ってきた。昨年(2020年)はコロナ禍のためにこのイベントは中止になったのだが、現時点でまだコロナ禍は収束していないにも関わらず、あえて実施してくれたのは本当に有り難い。主催者には謝意を伝えたいものだ。

 もっとも、入場時には体温チェックはもちろん、住所と氏名を所定の用紙に記入する必要があった。そして当然ながら場内はマスク着用が必須だ。各ブースでも“密状態”を避けるため、座席の感覚は空けてある。いかなる催し物でも同様だが、このスタイルは今後しばらくは踏襲されることになるのだろう。



 ここ数年来、デモンストレーション用の音源がネットワークプレーヤー等に格納されたデジタル音楽信号あるいはアナログレコードというケースが多かったが、今回はその傾向が顕著になり、もはや“普通のCD”などというのは完全にメインストリームから外れてしまった印象を受けた。特に元気だったのはアナログ界隈で、高級パーツの展示が目白押し。特にインパクトが大きかったのは、デジタルストリーム社のカートリッジGRAND MASTERである。

 同社はレコード針が拾った盤面の信号をLEDで感知して読み込むという光カートリッジの開発で知られているが、この新作はLEDを左右独立させると共に軽量化などを達成させ、驚くべき再現性を獲得している。とにかく、情報量の確保については舌を巻くほどのパフォーマンスだ。しかしながら、カートリッジ部分だけで120万円、専用イコライザーアンプが400万円、計520万円という超高額品で、誰でも手に入れられるシロモノではない(笑)。

 それから、いくらアナログ部門は金を制限なしで投入できるとはいっても、KRONOSだのTechDASだのといった(一般ピープルから見れば)威圧感が満載の高額プレーヤーが並べてあるのは、あまり嬉しいものではない。もうちょっと生活に溶け込むような提案をしても良いと思ったものだ(まあ、ハイエンドフェアなので仕方がないのだろうが ^^;)。



 72年設立のスコットランドのグラスゴーにあるLINN社は、他社とは違うコンセプトの製品を次々とリリースしているが、今回はSelect DSMというネットワークプレーヤーを出品してきた。これは“プレーヤー”という名称ながら、ユーザーの希望によりDACやアンプを選択して同一筐体に入れ込むというユニークな仕様を持つ。特筆すべきはその外観で、ボリュームを天板に設置し、前面は有機ELのディスプレイという、かなりスタイリッシュなもの。見た目の圧迫感は無い。

 洒落たエクステリアのアンプ類といえばフランスのDevialet社のものを思い出すが、あれよりは価格は下だし(とはいっても決して安くはないが)、マーケティングを工夫すれば幅広い層にアピールできると思われる。また、今回はLINN社以外のスピーカーを接続していたが、問題なく鳴っていた。意外と汎用性は高い製品なのかもしれない。

(この項つづく)
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