元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「第16回九州ハイエンドオーディオフェア」リポート(その2)

2019-04-06 06:38:36 | プア・オーディオへの招待
 SPEC社の新型メインアンプRPA-MG1は、左右別々のモノラル形式でありながら、それぞれ電源部が別れており、一揃いで4台の筐体が並ぶことになる。さらに、実は片チャンネルに2系統のパワー部分が存在し、スピーカーとバイアンプで接続する場合のみ2つのパワーユニットが作動するという、何ともユニークな作りで驚かされた。

 ならば通常は2系統のパワー部分を同時駆動(ブリッジ接続)して片チャンネルをドライブすれば、より大きなパワーが得られると思われるが、スタッフの話だと同時駆動はサウンド面で万全では無いので、バイアンプ使用時以外はパワー部分が1系統“休眠”しているのだという。個人的には、2系統をステレオ用としてフル稼働し、二組必要なモノラル形式ではなく、一組だけで用が足せるステレオ・パワーアンプとして仕上げても良かったのではないかと思うのだが、ひょっとすると将来はその形式のモデルがリリースされるのかもしれない。



 音はこのブランドらしい滑らかで透明感のある展開だ。スピーカーを選ぶこともあまりないと予想する(会場ではB&Wの800シリーズが接続されていた)。完全デジタル方式のアンプで、発熱はほとんど無い。使い勝手の面から、今後はこういうD級動作のアンプが増えてくるのだろう。

 さて、一時期の低迷状態を脱しての再ブーム化に成功した某プロレス団体のオーナーの名言に“すべてのジャンルはマニアが潰す”というのがある。つまり、旧来型の価値観に固執して、せっかく興味を持ってくれたライトなファンを蔑ろにする“マニア”ばかりが大きな顔をしている分野は、早晩行き詰まるという意味だ。



 文字通り、これは“すべてのジャンル”に当てはまるのだと思う。ピュア・オーディオだって同じことだ。たとえばJBLやALTECのスピーカーユニットを組み上げてマルチ駆動したり、真空管アンプを多数自作したり、その結果として部屋の中が機器やパーツで溢れているという“マニア”は、さすがに“古い”と認識されても仕方がない。しかし同時に、フルサイズの高価な機器を揃えて“最低200万円ぐらいは注ぎ込まないと良い音は出ないね”などと嘯くオーディオファイルやディーラーのスタッフも、やっぱり“古い”と言わざるを得ないし、結果的に“ジャンルを潰すマニア”なのだと思う。

 これは何度も言ってることだが、この業界はもっとライトでミーハーな層を開拓した方が良い。ハイエンドよりもローエンド、小難しい講釈より単純に良い音が出ている安価なシステムを、幅広い潜在ユーザーに向けて紹介出来る場が必要だろう。一千万円クラスのシステムが平然と並べられ、年配層が目立つフェア会場で、そんなことを考えてしまった。

(この項おわり)
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