元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ペイバック」

2016-06-17 06:28:38 | 映画の感想(は行)

 (原題:Payback )99年作品。展開にかなりご都合主義が入っているが、あまり気にらない。なぜなら、これはキャラクターを見る映画だからだ。主演のメル・ギブソンの傍若無人でサノバビッチな持ち味がよく出ていて笑えるし、脇の面子も申し分ない。快作と言えよう。

 コソ泥稼業に身をやつすポーターは、妻のリンや相棒のヴァルと共謀し、チャイニーズ・マフィアから大金を奪うという久々の大仕事をやってのける。ところがリンとヴァルはすでに懇ろになっており、ポーターは裏切りに遭って重傷を負う。一時は死んだと思われた彼だが、飲んだくれのヤブ医者の治療で何とか回復。復讐を誓う彼は、ヴァルが奪った金を“組織”と呼ばれるシンジケートからの借金返済に充てたことを突き止める。

 ポーターは昔好きだった娼婦ロージーからの情報を得て、ヴァルが滞在していたホテルを急襲し、自分の分け前をよこすように強要する。トラブルを察知した“組織”はポーターを始末すべく動きだし、このネタに勘付いた悪徳刑事たちも問題の金を横取りしようと画策する。かくして三つ巴の争奪戦が始まった。リチャード・スタークの小説「悪党パーカー/人狩り」の2回目の映画化である。

 主人公が何かアクションを起こすと、必ず次のヤマの手掛りが転がり込んでくるというパターンは安直で、敵役になる“組織”もチャイニーズ・マフィアに比べれば小粒で物足りない。悪徳刑事たちは大して“活躍”もせず、ラストの仕掛けはシンプルに過ぎる。そもそも、これだけの大暴れをやらかして警察が大々的に介入してこないのは不自然だ。

 しかしながら、ギブソン御大の不敵な面相を見ていると“まあ、これでいいじゃないか”とも思ってしまう(笑)。窮地をホイホイと脱してしまうのも“まあ、メル・ギブソンだからね”と納得だ。

 ブライアン・ヘルゲランドの演出は、深みは無いがテンポは良い。ジェームズ・コバーンをはじめクリス・クリストファーソン、マリア・ベロ、ウィリアム・ディヴェインといった濃いメンバーが顔を揃えているのも嬉しい。なお、リンに扮するデボラ=カーラ・アンガーにはきっちりと脱いでもらいたかったが、それは欲張りというものだろう(爆)。

 この頃のメル・ギブソンは絶好調で、次々と仕事が舞い込んでいたものだが、素行の悪さが明るみになった昨今は第一線から退いてしまった感がある。俳優としての存在感はまだまだあると思うので、機会があれば復帰してほしいものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする