12月19日。土曜日。
冬将軍鎮座。太陽の熱気、まったく届かず。
芯から冷える陽気とはこのこと。
ヘルシンキの張りつめた空気を思い出す。
●
昨日、座・高円寺にて行われた
ダンスバリュー「second gate」を観に行く。
舞台芸術を育成・発表する場だという。
わが街、高円寺にも凄い劇場が出来たモンだ…とたまげていたら、
なんと区民ホールとのこと。杉並区もすばらしいことをする。
設計を伊東豊雄氏にお願いし、運営をNPOに委託するなど、
公共事業としてしっかり先を見据えたプロジェクトになってる。
2年先のことが描けない事業が多い中で、
こういう税金の使われ方は気持ちがいい。
11月27日に観たダンスイベントBigTimeで
独創性にあふれたコンテンポラリーを披露してくれた
黒田なつ子さんが創作・演出した「Milky Way」が今回のお目当て。
さらに、90分間ダンスパフォーマンスを堪能する楽しみもあった。
肉体の呼吸を感じようと一番前でステージに齧り付く。
のっけから演者の気迫に生唾を飲んだ。
カラダを使って表現するとは、こういうことか。
舞台に上がってから下りるまで、すべてが見せ場である。
ためらいや戸惑いは、すぐさま観客に見透かされる。
表情のひとつとっても、隙を見せるとそれが「素」となって
こちらに如実に伝わってくる。
ナマの恐ろしさである。
徹頭徹尾、100%演出を表出する心持ちで臨まないと、
甘さが露呈して、こちらの集中力も「ふっ」ととぎれてしまうのだ。
音楽のステージはそれでも「音」という主役に集中するので、
観客の意識を収斂するのは容易いが、
舞台芸術、特にむき出しの肉体を手段とするダンスは、
全身の動きがすなわち表現であるので、
おのれ自身を客体化して、冷徹に表出することが求められる。
それでもナマである。
呼吸の乱れやアクシデントは付き物だ。
着地がうまくいかなかった、絡みのタイミングがずれた、
全体を見通す余裕がなかった…など、常に反芻を強いられる。
10数分間のステージを通して、
表現として観客を魅了できるかどうか、
それがダンスの醍醐味だと、合点した。
●
「Milky Way」は6団体の最後に演じられた。
期待でこちらも身を乗り出して見入ってしまったが、
演者の動きは、それを上回る強靱さで観る者を圧倒した。
虫ともとれるような動き、常軌を逸した動線、
手足の流れはおよそ人間的な範疇では及ばないところに達している。
肉体を完全に客体化していた。
それでいて表現は、見事に普遍性を帯びていて
観ているこちらの感性をえぐるような感動があった。
暗転して、舞台が終止する。
ピーンと張りつめた空気。全員が息を呑むような緊張があった。
再びステージが光に満たされ、演者3人が頭を垂れた。
「Milky Way」とタイトルされる通り、
宇宙との交信を何かしら感じた一瞬があった。
「黒田なつ子」に共振した舞台だった。
冬将軍鎮座。太陽の熱気、まったく届かず。
芯から冷える陽気とはこのこと。
ヘルシンキの張りつめた空気を思い出す。
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昨日、座・高円寺にて行われた
ダンスバリュー「second gate」を観に行く。
舞台芸術を育成・発表する場だという。
わが街、高円寺にも凄い劇場が出来たモンだ…とたまげていたら、
なんと区民ホールとのこと。杉並区もすばらしいことをする。
設計を伊東豊雄氏にお願いし、運営をNPOに委託するなど、
公共事業としてしっかり先を見据えたプロジェクトになってる。
2年先のことが描けない事業が多い中で、
こういう税金の使われ方は気持ちがいい。
11月27日に観たダンスイベントBigTimeで
独創性にあふれたコンテンポラリーを披露してくれた
黒田なつ子さんが創作・演出した「Milky Way」が今回のお目当て。
さらに、90分間ダンスパフォーマンスを堪能する楽しみもあった。
肉体の呼吸を感じようと一番前でステージに齧り付く。
のっけから演者の気迫に生唾を飲んだ。
カラダを使って表現するとは、こういうことか。
舞台に上がってから下りるまで、すべてが見せ場である。
ためらいや戸惑いは、すぐさま観客に見透かされる。
表情のひとつとっても、隙を見せるとそれが「素」となって
こちらに如実に伝わってくる。
ナマの恐ろしさである。
徹頭徹尾、100%演出を表出する心持ちで臨まないと、
甘さが露呈して、こちらの集中力も「ふっ」ととぎれてしまうのだ。
音楽のステージはそれでも「音」という主役に集中するので、
観客の意識を収斂するのは容易いが、
舞台芸術、特にむき出しの肉体を手段とするダンスは、
全身の動きがすなわち表現であるので、
おのれ自身を客体化して、冷徹に表出することが求められる。
それでもナマである。
呼吸の乱れやアクシデントは付き物だ。
着地がうまくいかなかった、絡みのタイミングがずれた、
全体を見通す余裕がなかった…など、常に反芻を強いられる。
10数分間のステージを通して、
表現として観客を魅了できるかどうか、
それがダンスの醍醐味だと、合点した。
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「Milky Way」は6団体の最後に演じられた。
期待でこちらも身を乗り出して見入ってしまったが、
演者の動きは、それを上回る強靱さで観る者を圧倒した。
虫ともとれるような動き、常軌を逸した動線、
手足の流れはおよそ人間的な範疇では及ばないところに達している。
肉体を完全に客体化していた。
それでいて表現は、見事に普遍性を帯びていて
観ているこちらの感性をえぐるような感動があった。
暗転して、舞台が終止する。
ピーンと張りつめた空気。全員が息を呑むような緊張があった。
再びステージが光に満たされ、演者3人が頭を垂れた。
「Milky Way」とタイトルされる通り、
宇宙との交信を何かしら感じた一瞬があった。
「黒田なつ子」に共振した舞台だった。