(3/5からの続き)
(5/5につづく)
(放送室のドアを叩く桜中学校長)
加藤くんっ!
私ですっ、桜中学の君塚校長です。
先生とゆっくり話し合いますから。
これ以上さわぎを大きくしないで下さい。
出てきなさいっ!
加藤くんっ!加藤くんっ・・・・
優ーーーっ!(加藤優の母親)
開けなさい。(松浦悟の父)
加藤ーーっ!!松浦ーーーっ!!(叫ぶ金八)
謝ります。(二中の校長)
謝るってよぅ・・・
やったーーーーぁ!
今度のことは色々行き違いのあったことです。
そういった意味で今日まで君たちに誤解を与えたままきてしまっていたことを反省し、
その点について善処することを約束します。
(拍手が沸く校内)
静かにしろ。
オレたちの目的は達した。
だが尻馬に乗って物をぶっ壊したて学校荒らしたヤツは親が叱るなり、
学校が文句言うなり、サツが捕まえるなり、
「いけないことはいけない」と言ってやれ!
そこまで責任取れないってのは・・・・
(校庭でこのさわぎの中継をしている報道記者の風景)
(放送室から出てくる生徒ら)
やったぞ!
やった!やった!!
坂本先生、あとお願いします。
(生徒らを連れて行く金八)
(放送室に入って行く桜中学校長)
校長先生・・・。
(頭を下げる二中の校長と清水先生)
(大歓声の廊下を歩いて行く加藤や松浦)
加藤!加藤!加藤!加藤!
~~ 中島みゆきの「世情」がBGMに流れ出す ~~~
(前方から警察が迫ってくる)
キャッーーーー!!
逃げろーーっ!
(警察を静止する教師ら)
(両手を広げて警察を静止する金八)
(それらを振り払って加藤らを捕まえにかかる警察)
待ちなさいっ!こらっ!!
オレの生徒に何する、きさんっ!!(叫ぶ金八)
~~ 中島みゆきの「世情」が流れてる ~~~
♪世の中はいつも変わっているから
♪頑固者だけが悲しい思いをする・・・
(ここらか場面がスローモーション)
加藤、警察に腕を掴まれ手錠をかけられる。
それを阻止しようと暴れる松浦。
♪変わらないものを何かにたとえてその度い崩れちゃそいつのせいにする・・・
加藤っ!と叫んでいる松浦。
♪シュプレヒコールの波通り過ぎて行く変わらない夢を流れに求めて・・・
手錠をかけられて連行される加藤
♪時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者達と戦うため・・・
叫んでいる金八、上林、伊東先生、加藤の母、松浦の父
逃げる生徒をつかみかかる警察
♪世の中はとても臆病なネコだから他愛のないウソをいつもついている・・・
♪包帯のようなウソを見破る事で学者は世間を見たような気になる・・・
♪シュプレヒコールの波通り過ぎて行く変わらない夢を流れに求めて・・・
連行される加藤
♪時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者達と戦うため・・・
叫ぶ金八
♪シュプレヒコールの波通り過ぎて行く変わらない夢を流れに求めて・・・
学校から連行される生徒ら
警察や報道陣でもみくちゃになっている校門前
♪時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者達と戦うため・・・
護送車に押し込まれる加藤や松浦
♪シュプレヒコールの波通り過ぎて行く変わらない夢を流れに求めて・・・
護送車に乗り込み、座席に座った加藤の後ろの窓ガラス越しに車を追いかける加藤の母親の姿。
♪時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者達と戦うため・・・
どこまでも護送車を追いかける加藤の母親
♪シュプレヒコールの波通り過ぎて行く変わらない夢を流れに求めて・・・
走って行く護送車
♪時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者達と戦うため・・・
♪シュプレヒコールの波通り過ぎて行く変わらない夢を流れに求めて・・・
♪時の流れを止めて変わらない夢を見たがる者達と戦うため・・・
(会議室に集まっている荒谷二中の教師、桜中の教師、加藤の母と松浦の父)
そりゃね、子供達のやったことは常識外れだ。
我々には考えられない事ばかりだ。
警察だって手錠ってのは行き過ぎだよ?
私はね、教師として断固抗議するね。
あぁ、警官に対して抵抗したり暴れたりしたならともかく、
あれじゃまるで問答無用じゃねぇですか。
相手はね、未成年なんですよ?
しかし未成年といっても監禁罪の現行犯であることには変わりはないんですよ?
我々は荒谷二中からの要請を受けていたし、状況が状況だったので、
まぁ多少の行き過ぎがあったことは認めますが、連中の騒動はこれが初めてじゃないし・・・
状況が状況とはどういう事ですか?
校長先生、素人みたいなこと言わないで下さい。
素人・・・素人ってどういうことですかっ。
うちほどではないにしろ、何か起こると前後の見境なく関係無い生徒まで思わぬ行動に走るのが今の中学生の実状でしょ?
それですよ。
我々もその点を考慮してですね、とにかく首謀したグループだけでも隔離し、
背後関係をですね・・・
よして下さい。
首謀者なんてそんな言葉は。
背後関係なんてあるわけないだろう?ええ??
「卒業式を潰したくなかった」
加藤優ははっきりそう言ってたじゃないかっ!
しかし警察としてはですよ?
あぁ警察としては一応たしなめんのが仕事だろ。
けどねえ、今度だけはそういう疑いをもって扱わないで欲しい。
私は二中のPTA会長としてこれだけは頼みます。
そりゃぁ私たちだって進学のことだって十分考慮に入れてますよ。
私、松浦悟の父親でございます。
息子が勝手に二中に押し掛けたことは重々けしからんことです。
立ち会い人なのか、まぁ、返していただけたら、とにかくしっかりと聞き正すつもりでおりますが、
加藤君が最後に言っておりましたですねぇ。
「卒業式を潰さないためにやったんだ」と。
そんなこたぁ口実です。
やつらいつでもちゃんと言い抜けを考えた上でですね・・・
聞いて下さいよ、最後まで。
彼はですね、学校に謝らせるためにやったんだ、と。
ま、それが罪だと言うならば、こらぁ、仕方がない。
だが尻馬にのってガラスや教材を壊した者については、まったく預かりしらんと・・・
そうそう。
そういう時はねぇ、親が学校が叱るなり警察が出動して白黒はっきりさせろとそう言ってたよ。
我々に対する挑戦状じゃありませんかね?
松浦さん・・・
いえいえ、悪い意味で言ってるんじゃないんです。
問題がここまで来るまでにですね、学校も警察も黙って手を付けかねていたってことは一体どういうことなんでしょうか。
だが我々は厳重な警戒態勢をひいてましたよ。
しかし私は知りませんでしたよ。
知っていたならなぜ親の私に注意をして下さらなかったんです?
事件を事前い防ぐというのも警察の仕事じゃぁありませんか?
いや、だからと言ってですね、
お宅の大事な息子さんまでが二中に乗り込むなんてことをですよ、
誰がそんなことを・・・
今の子供はですね、何を考えてるか、正確に掴んでる親がいったい何人いると思うんです?
ちょっとあんた、そりゃ言い過ぎだぞっ!
えぇ、不完全ですけど、今、私どもの中学でもこの時期、
生徒達の心を掴もうと賢明に先生方は努力してます。
そのためにお宅の米倉先生も過労でお倒れになったじゃありませんか。
そうなんです。
我々の力が足りないばっかりにまったく不甲斐ないことだと思っております。
あんたねぇ、今はね、子供達をどうする気だと、こう我々は掛け合ってるんだよぅ。
謝って済む問題じゃないですよぅ。
だからと言って、現実に事件は起きてしまったんです。
それじゃぁ、後は警察に任せておきゃいいってんですか?
そんなこたぁPTAとして同意しませんね。
まったく不徳の致すところです。
あぁ不徳だね。
全然不徳だよっ!
いやしかしですね。
昨年1年間における校内暴力事件は1558件、
うち暴行を受けた教師は532人ですよ。
もはや学校だけで収集できる問題ではなくなってきてるんです。
その為に親がいるんでしょう?親が。
その親がいて何で頭をまっ黄色に染めさせるんですかっ。
何で子供は学校に来て悪さばかりするんですかっ。
親がだらしないからこういう事になるんですよっ!
冗談言っちゃいけねぇやっ!(感情を荒げる親)
うちの息子がそんなことしてみろ、おらぁ・・・
ツカベさん・・・
私どもの悩みはそう言って下さる親御さんばかりではないという事なんです。
だからぁ、となりがあるんでしょ?
町内があるんでしょ?
昔はね、あんた、親が叱れなくったって、代わりに叱ってくれる大人が町内に必ず一人や二人いたんだよ。
美意識だかなんだかしらねぇけど、てめえはてめえ、それも結構だよ?
だけどさ、その「となり」はどこいっちまったんだい。
私はそれが気に入らないんだよぅ。
まったくだ。
あたしゃねぇ、この○○さんとは中学まで同級生でした。
先日その頃の先生に出会ったら先生はこう言ってました。
「オレはお前達を殴るのが楽しみでもって学校に行っとった。」
いや、こりゃ、体罰がいいと言ってるんじゃないんだから、
そこんところ誤解されると困るんですけども。
不思議と恨みはなかったですねぇ。
あるのは懐かしさだけだったよ。
そりゃあんたあれだよ。えぇ。
殴るほうも殴られる方も信頼ってもんがあったからだよ。
そうだよ、そうだよ、そうなんだよっ。
確かに今の子供は理解しにくいです。
だから親は自信がなくなるとすぐ殴る。
こりゃもうこうなったらもう親の権威を押し付けるだけですからねぇ。
私もつい最近苦い思いを経験したんでまぁあえて申し上げます。
我々にもあの時代はあったんです。
わかろうと踏み込めばわからないはずではないし、自信をもって引きずり込めば、
この手の中に必ず入ってくるもんじゃありませんか?
そうですよ、そうですとも。
生徒達を信用しないでどうして本当の説得ができますか。
返して下さい、子供達を。
そらぁもちろん返します。
しかし今はまだ取り調べ中ですから。
これ、何を調べるっていうんですかぁ。
あの子達はねぇ、卒業式を潰さない為にやったんでしょうがぁ。
しかしその方法は明らかに法に触れることなんですよ?
法に触れさせた側の責任はどうなるんですか?(ここでやっと口をはさむ金八)
法に触れさせた側?
彼らをあそこまで追い詰めた我々の責任です。
いや我々と言ってもだねぇ・・・
ないとは言わせませんよ?
あなたにだって、この私にだって。
坂本先生・・・
(5/5につづく)