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ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

エゾシカは増えて困るか?

2009-10-26 | 日記風
周辺の木々の紅葉も終わり、風が一吹きするたびに落ち葉を盛大に散りまいている。久しぶりにやってきたサンナシ小屋では、もうすっかり晩秋の装いだった。朝から空を覆っていた雲は、小屋へ向かって草原を歩き始めた頃から少しずつ減り始め、小屋の近くに来たときはもう青空がいっぱいだった。秋の空はどこまでも青く澄んで、久しぶりに心も広々と洗われるようだ。

 今年は北海道では例年になく雨が多かったせいで、小屋までの道も至る所水がたまりぬかるんでいて、長靴なしでは歩けない。それなのに、毎年近くの小川沿いの柳の木に出てくるヌメリスギタケモドキというキノコが今年はまったく見られない。毎年秋にはこのキノコをラーメンに入れて秋の味を楽しんでいたのだが、今年は残念ながらあの味を味わえない。

 夏にあれほど威勢良く繁茂していた草も、多くは枯れ伏して、遠くの景色もよく見える。小屋のベランダでひなたぼっこをしていると、至福の時が流れていく。澄み切った青空にトビに混じって巨大なオジロワシの悠然とした飛翔が眺められた。まるで鳥の王様のようなその大きさ。群れに混じっているオオタカにも負けない貫禄だ。尾羽の真っ白な色が青空に見事なコントラストを作っている。

 突然、すぐ近くで鋭い銃声が響いた。そういえば昨日から今年の遊猟解禁が始まっていた。続いて10発くらいの銃声がとどろき、立派な角を持った牡鹿の群れが小屋の周りの草原を駆け抜け、森の中に駆け込んだ。毎年とはいえ、人の土地に入り込んで鹿を撃つハンターには本当に腹が立つ。道東には鹿が確かに増えていると感じるし、鹿の食害が問題になっている。サンナシ小屋の周りでも鹿の群れはほとんど毎日見られるし、鹿に樹皮を食われた木も見つかる。

 北海道のエゾシカの数は、近年増えて現在では4-50万頭を超えたと言われている。一度は絶滅の危機に瀕したエゾシカがここまで数を回復したのは、人々がエゾシカを保護し、狩猟も禁止してきたことも効果があったと言われているが、温暖化によって冬の豪雪による鹿の死亡率が減ったことも大きい。さらに放棄された牧草地や道路の路肩・側壁が外来種の草によって緑化されたため、冬でも鹿が餌不足にならなくなったことが大きいと私は思っている。道路行政の副作用というわけだ。

 鹿が増えすぎて困るから、もっと駆除しようとか、もっと鹿を食べて減らそうと言う議論がかまびすしい。でも、日本人がここ蝦夷の土地へ侵入してきた明治の初期に、エゾシカを大量に狩猟したこと、その捕殺量が7-80万頭だったことなどはあまり知られていない。つまり、今の個体数と同じくらいのエゾシカを明治初期に殺したのだ。ということは、日本人が来る前にはエゾシカはいまよりももっともっと多かったことになる。でも深い森はあちこちにあり、蝦夷の地は森と川と海の自然豊かな土地であった。エゾシカも今よりいっぱいいたが、エゾシカの食害によって森林が荒廃することもなかった。森林が荒廃したのは、日本人が入ってきて木を切り回ったためなのだ。

 サンナシ小屋の周りにも鹿は増えてきた。しかし、食害によって森林の被害があるとは思えない。もっとも小屋の周りに植えたカラマツの苗は、あっというまに鹿に食べられてしまったが。つまり、鹿が食害するのは人間が持ち込んだ樹木なのだ。鹿は樹皮を食べて樹木を枯らすことも本当だけど、ほとんどは風で倒れたり枯れたりした木の皮を食べている。生きた木の皮を食べるのは、ほとんどの場合人間が持ち込んだ木なのだ。つまり、それは鹿が森林を食害しているのではなく、人間が鹿に餌をやっているから食べているだけだと思える。

 鹿が増えて困っている人はいるかもしれないが、鹿が増えて駄目になる森林はあまりない。鹿をもっと殺せと言う人たちの言うことを、私はあまり信用していない。サンナシ小屋でエゾシカたちの姿を見ていると、そういうことがよく見えてくるような気がする。

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