肩の凝らないスローライフ

ようこそtenchanワールドへ。「一日一笑」をモットーに・・・日常生活の小さなことを笑いに変えるtenchanの雑記帳

銀行員時代 役務者は辛いよ

2013-06-06 15:25:52 | 銀行員時代
私が勤めていた銀行の支店では、
大まかに、
普通預金、定期預金、為替、資金、得意先、融資、
という部署に分かれていた。

得意先と融資は、ほぼ全員が男子行員だった。
女性も若干名いるにはいるのだが、
彼女たちは外回り専門職の
「○○レディー」さんと呼ばれるパート従業員だった。

その他の部署は女性ばかりで構成されていたが、
部ごとに役務者と呼ばれる
普通の会社でいう係長のような人が
業務を統括していた。

統括していた・・・・と言うと、
いかにも聞こえはよいが、
ベテランの女性行員が切り盛りしている、
というのが実情だった。

役務者はたいてい、
得意先か融資担当の男子行員が昇格してやって来る。
そのため内部事務についてはあまり詳しくない。

そりゃそうでしょ。
入行してからずーっと、
お客さんのところへ行って
お金を集めて書類を書いてもらい
支店に持って帰るまでが彼らの仕事だったのだ。

不備がないかを確認してオンラインに記帳し、
通帳を発行するのは女子行員達の役目。

そんな中、いきなりの配置換えで
ポンと預金の役務者に仕立て上げられても
何がどうなっているのか把握するのさえ大変だ。

分からないことは恥を忍んで女子工員に聞くしかない。
けれどその先に待っているのは
口にこそ出さないが、
「はぁ?そんなことも分からないんですか?」と言いたげな
彼女たちの冷たい視線。
それに耐えながら次から次へを回ってくる書類に
印鑑を押し続ける。

あぁ、役務者って大変なんだなぁ。

新人ながらもぼんやりと周りの様子が分かってきたtenchan。
成り上がりの役務者おじさんに、つい同情してしまうのだった。

さて、役務者おじさんにとって一番の試練は
機械の前に座ってオペレーションをすることだった。

当時、銀行のオペレーションには厳格なルールがあった。
通常の業務は一般行員が記帳してもよいが、
大口の預金が動く時や名義変更などの重要案件については
役務者が記帳しなければならないのだ。



記帳しなければならないのだ。

というのは表向きで、
実際には女子行員が記帳していた。

なぜなら、
大口預金の解約や入金がある度に
いちいち役務者に代わっていたら
業務が回っていかないからだ。

ただ、数年に一度
本部から内部検査に来ると
役務者おじさんは否応なしに機械に立ち向かわねばならなかった。

派遣されてくる監査人は粗探しの天才。
銀行業務を隅から隅までチェックする。
当然、内部事務の機械オペレーションもチェック。
役務者権限の記帳が、
マニュアルどおりに行われているか
そばに張り付いて観察するのだ。

普段オペレーションなんかやったことのない役務者おじさんは
検査の数日前から訓練する。
ベテラン女子行員が隣に座り、
キーボードを指差しながら指導する。
おじさんは人差し指を
キーの上でグルグル回しながら
一個ずつ選んでは押していく。


あぁ、役務者って大変なんだなぁ。

大きなハンカチで額の汗をぬぐう役務者おじさんを見て
更に同情してしまうtenchanなのだった。


そしてもう一つ。
預金の役務者の席には
あまり長く座らないほうがよい、というジンクスがあった。
1年ほどで転勤になる人は昇格候補。
だが、5年以上居続ける人は・・・・・
干されたのだろうと支店内で噂されるのだった。

あぁ、役務者って大変・・・・・。









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2 コメント

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御無沙汰です (ロードスター)
2013-06-10 09:03:25
相変わらずお元気そうですね。久々にお腹を抱えて笑わせてもらいました。
かつてのスポーツウーマンの活躍ぶりがよく分りました。その上、また面白い看護師さんのブログを紹介していただき、またまた笑ってしまいました。「剃毛」恐れ入りまsた。これからも読ませていただきます。
返信する
ロードスター様 (tenchan)
2013-06-10 15:44:20
こちらこそ、いつも伺って読んでいるだけです。

毎日一度は笑って過したいという思いで
綴っています。
他の方のブログも面白くてご紹介したくなりました。素晴らしい文才ですよね。
返信する

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