市内一日観光が終わり、ホテルに戻ってきた家族。
フットマッサージのお陰でリラックスした気分になっているが、
寛いではいられない。
今夜のフライトに向けて、荷造りをしなければならないからだ。
ゴールデンウィークを使っての海外旅行。
6日には学校が始まるので、5日には日本に戻っていなければならない。
ところが、
ハノイ発名古屋着の飛行機で5日に着く便はなかった。
どうする?
旅行のために学校を一日休ませるというのは、
我が家のポリシーに反する。
考えた末に、
私と次男とちび姫は関空に、長男は成田に、5日の早朝着、
義父母はもう一日延ばして、6日に名古屋着、と、
それぞれ別れて乗るようチケットを取っておいた。
夜10時のチェックイン、フライトは0時40分、
ちび姫は大丈夫だろうか。
ハノイ空港は、ヒースローやその他首都にある国際空港と比べると、
とても規模が小さい。
停車場でタクシーを降り、自動ドアを進むと、すぐそこにチェックインカウンターがある。
だが、既に長蛇の列。
なにしろ、東京、大阪、ソウル、行きの飛行機が、
同じ時間帯に飛び立つのだ。
混んでいるはずだ。
日本からの団体旅行さんの後ろに並んで、辛抱強く待つ。
夫がイラついた声で教えてくれた。
「まったくさぁ、いつも思うんだけど、
チェックインカウンターまでのスペース空きすぎなんだよ。
もっと近くに列の頭をもってこれば、
後ろがゴタゴタ混雑しないのになぁ。」
なるほど、最前列からカウンターまでは3メートル以上スペースがあり、
アオザイを着たスタッフのお姉さんが一人立って、お客を止めている。
カウンターでの受付が一組終わるたびに、
次にどのカウンターに並ぶか指示を出している。
この3メートルを、せめて1.5メートルくらいに縮めてくれれば、
後ろの方に並んでいる人が楽になるのに。
ロープで仕切ってあるところはまだいい、
最後部はもうぐっちゃぐちゃになっている。
かろうじて国民的良識のお陰で、秩序よく並んでいられる状態だ。
案の定、ある国の方達が、スーツケースをゴロゴロ押しながら
ロープをかいくぐってカウンターに突進しようとした。
アオザイのお姉さんはそれに気付き、後ろに並ぶよう手で追い返す。
チェックインが済んだ。
飛行機に乗るまであと2時間もあるが、セキュリティーチェックに向かう。
ここでパパとはお別れだよ。
ちび姫の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「パパ、今度いつ会える?」
「夏休みかな。それまでお利口さんにするんだよ。」
「うん。じゃあね、バイバイ。」
もう一度ムギューっとする。
長男と次男とは固く握手。
「しっかり勉強しろよ。」
(↑しないんだな、これが・・・・。父親として一応言っておかなきゃってやつね。)
「じゃあな。本とか食材とか色々持ってきてくれてありがとう。
しっかり頼んだぞ。」
夫の言葉に、声にならない声で私は返事をした。
「お母さん、目が真っ赤だよ。」
セキュリティーチェックを通り過ぎた時、次男が顔を覗き込んで言った。
さて、中に入ったのはいいが、
この混雑ぶりはどうだ。
ベンチというベンチに人が座っている。
空席が一つもない。
探し回ってようやく見つけた2席。
長男、次男、ちび姫の3人を座らせる。
座った途端彼らが始めたのは、PSP。
不本意ながらも、待ち時間を潰すには丁度いいのかもしれない。
特に、いつもならもう寝ているはずの時間に起きて待たねばならぬちび姫にとって、
ゲームをやることは眠気覚ましになる。
飛行機に乗ったら着くまで熟睡するだろう。
見渡すと、家族連れがあちらこちらに座っている。
ちび姫よりも小さい子が、
ぐったりとしてママの腕に抱かれている。
夜中のフライトはキツイね。
搭乗時刻になった。まずは成田へ向かう長男の便。
ゲートの列の最後尾に並ぶ。
一人暮らしを始めて、一段と逞しくなったようだ。
次男とは片手でハイタッチ、ちび姫とはいつものようにムギューをして、
私は軽くハグして、「じゃ、夏休みに!」
そして10分後、自分たちも関空行きのゲートに並んだ。
席に着くと、次男とちび姫はすぐに寝てしまった。
私も猛烈に眠かったが、
「お飲み物は?」の問いかけに、
「白ワインを。」
と、思わず反応してしまった。(笑)
飲んでウトウトしていたら、今度は
「朝食でございます。」
と、トレーが運ばれてきた。
朝食ってねえ、今何時?
真夜中にご飯食べるんですか?
とりあえずカバーは開けてみたが、
さすがにこれは喉を通らなかった。
あと1時間で到着という頃になって、
ちび姫が目を覚ました。
「のど渇いた。」
もらってあったお水を飲ませる。
しばらくぼーっとしていたが、
突然鼻を押さえた。
「鼻血・・・・」
あわててティッシュを取り出しちぎって鼻に詰める。
でも、血はどんどん出てくる。
換えても換えても詰めたティッシュはすぐに真っ赤になる。
どうしよう、もう残りが少ない。
そう思っていると、隣の紳士がポケットティッシュを差し出してこう言って下さった。
「あのね、鼻血はね、中に詰めないで下さい。
鼻をこうやってきゅっと指で摘んで。
しばらくすると止まりますから。」
言われた通りにちび姫の鼻を摘んでいると、血はだんだん止まってきた。
ありがとうございます、お陰様で止まりました。
と、お礼を言う。
お話を伺うと、なんとお医者様とのこと。
本当に助かりました。
色々あった、ベトナム旅行だが、
最後の最後に大ハプニングが待ちかまえていた。
関空から岐阜へ帰るときのことだ。
一旦新大阪へ出て、新幹線で名古屋まで行く。
名古屋から在来線に乗り換えて岐阜まで、という行程。
窓口でもそう告げたはずなのに、
乗車券の発行がミスされてしまった。
本来なら、関西空港→名古屋、名古屋→岐阜、の2枚になるはずが、
関西空港→岐阜の乗車券になってしまったのだ。
もらった時に気が付かない私もいけなかったが、
まさか駅員さんが発行ミスするとは。
新大阪で乗り換える時、
改札にチケットを通したが、ブザーが鳴ってゲートが開かない。
時計をみると、あと10分で列車が来る!
Gウィークの新幹線、座席指定が取れたのは幸運中の幸運、
これを逃したら、名古屋まで立って帰ることになる!
駅員さんに状況を説明すると
「中で精算して下さい。」と、通してくれた。
スーツケースは2個。エレベーターなんか探してたら間に合わない。
「、持ったまま階段上がるよ!も走って!」
「OK!」
体育会で鍛えたのにそのあと全然使っていない筋肉が悲鳴を上げる。
ホームに駆け上がると、列車がちょうど入ってきた。
「いいからとにかくこの車両に乗って!」
間に合った・・・・。
チケットをもう一度確認する。
指定席はずっと前の方だ。
スーツケースをガラガラ押しながら通路を進んでいく。
静かなグリーン車も通りすぎ、
ようやく席に着いた。
はぁ~間一髪。疲れた~。でもみんな頑張ったね。
ホッとして次男と顔を見合わせた。
二人とも可笑しくて可笑しくて笑いを堪えるのに大変だった。
ベトナム旅行、楽しかったね。
また行きたい?
もういい?
じゃあ、今度は私一人で行くから。
海沿いリゾートのコテージ風のホテルで
観光もなーんにもしなくて、ゆったりと過ごすってのは、どう?
フットマッサージのお陰でリラックスした気分になっているが、
寛いではいられない。
今夜のフライトに向けて、荷造りをしなければならないからだ。
ゴールデンウィークを使っての海外旅行。
6日には学校が始まるので、5日には日本に戻っていなければならない。
ところが、
ハノイ発名古屋着の飛行機で5日に着く便はなかった。
どうする?
旅行のために学校を一日休ませるというのは、
我が家のポリシーに反する。
考えた末に、
私と次男とちび姫は関空に、長男は成田に、5日の早朝着、
義父母はもう一日延ばして、6日に名古屋着、と、
それぞれ別れて乗るようチケットを取っておいた。
夜10時のチェックイン、フライトは0時40分、
ちび姫は大丈夫だろうか。
ハノイ空港は、ヒースローやその他首都にある国際空港と比べると、
とても規模が小さい。
停車場でタクシーを降り、自動ドアを進むと、すぐそこにチェックインカウンターがある。
だが、既に長蛇の列。
なにしろ、東京、大阪、ソウル、行きの飛行機が、
同じ時間帯に飛び立つのだ。
混んでいるはずだ。
日本からの団体旅行さんの後ろに並んで、辛抱強く待つ。
夫がイラついた声で教えてくれた。
「まったくさぁ、いつも思うんだけど、
チェックインカウンターまでのスペース空きすぎなんだよ。
もっと近くに列の頭をもってこれば、
後ろがゴタゴタ混雑しないのになぁ。」
なるほど、最前列からカウンターまでは3メートル以上スペースがあり、
アオザイを着たスタッフのお姉さんが一人立って、お客を止めている。
カウンターでの受付が一組終わるたびに、
次にどのカウンターに並ぶか指示を出している。
この3メートルを、せめて1.5メートルくらいに縮めてくれれば、
後ろの方に並んでいる人が楽になるのに。
ロープで仕切ってあるところはまだいい、
最後部はもうぐっちゃぐちゃになっている。
かろうじて国民的良識のお陰で、秩序よく並んでいられる状態だ。
案の定、ある国の方達が、スーツケースをゴロゴロ押しながら
ロープをかいくぐってカウンターに突進しようとした。
アオザイのお姉さんはそれに気付き、後ろに並ぶよう手で追い返す。
チェックインが済んだ。
飛行機に乗るまであと2時間もあるが、セキュリティーチェックに向かう。
ここでパパとはお別れだよ。
ちび姫の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「パパ、今度いつ会える?」
「夏休みかな。それまでお利口さんにするんだよ。」
「うん。じゃあね、バイバイ。」
もう一度ムギューっとする。
長男と次男とは固く握手。
「しっかり勉強しろよ。」
(↑しないんだな、これが・・・・。父親として一応言っておかなきゃってやつね。)
「じゃあな。本とか食材とか色々持ってきてくれてありがとう。
しっかり頼んだぞ。」
夫の言葉に、声にならない声で私は返事をした。
「お母さん、目が真っ赤だよ。」
セキュリティーチェックを通り過ぎた時、次男が顔を覗き込んで言った。
さて、中に入ったのはいいが、
この混雑ぶりはどうだ。
ベンチというベンチに人が座っている。
空席が一つもない。
探し回ってようやく見つけた2席。
長男、次男、ちび姫の3人を座らせる。
座った途端彼らが始めたのは、PSP。
不本意ながらも、待ち時間を潰すには丁度いいのかもしれない。
特に、いつもならもう寝ているはずの時間に起きて待たねばならぬちび姫にとって、
ゲームをやることは眠気覚ましになる。
飛行機に乗ったら着くまで熟睡するだろう。
見渡すと、家族連れがあちらこちらに座っている。
ちび姫よりも小さい子が、
ぐったりとしてママの腕に抱かれている。
夜中のフライトはキツイね。
搭乗時刻になった。まずは成田へ向かう長男の便。
ゲートの列の最後尾に並ぶ。
一人暮らしを始めて、一段と逞しくなったようだ。
次男とは片手でハイタッチ、ちび姫とはいつものようにムギューをして、
私は軽くハグして、「じゃ、夏休みに!」
そして10分後、自分たちも関空行きのゲートに並んだ。
席に着くと、次男とちび姫はすぐに寝てしまった。
私も猛烈に眠かったが、
「お飲み物は?」の問いかけに、
「白ワインを。」
と、思わず反応してしまった。(笑)
飲んでウトウトしていたら、今度は
「朝食でございます。」
と、トレーが運ばれてきた。
朝食ってねえ、今何時?
真夜中にご飯食べるんですか?
とりあえずカバーは開けてみたが、
さすがにこれは喉を通らなかった。
あと1時間で到着という頃になって、
ちび姫が目を覚ました。
「のど渇いた。」
もらってあったお水を飲ませる。
しばらくぼーっとしていたが、
突然鼻を押さえた。
「鼻血・・・・」
あわててティッシュを取り出しちぎって鼻に詰める。
でも、血はどんどん出てくる。
換えても換えても詰めたティッシュはすぐに真っ赤になる。
どうしよう、もう残りが少ない。
そう思っていると、隣の紳士がポケットティッシュを差し出してこう言って下さった。
「あのね、鼻血はね、中に詰めないで下さい。
鼻をこうやってきゅっと指で摘んで。
しばらくすると止まりますから。」
言われた通りにちび姫の鼻を摘んでいると、血はだんだん止まってきた。
ありがとうございます、お陰様で止まりました。
と、お礼を言う。
お話を伺うと、なんとお医者様とのこと。
本当に助かりました。
色々あった、ベトナム旅行だが、
最後の最後に大ハプニングが待ちかまえていた。
関空から岐阜へ帰るときのことだ。
一旦新大阪へ出て、新幹線で名古屋まで行く。
名古屋から在来線に乗り換えて岐阜まで、という行程。
窓口でもそう告げたはずなのに、
乗車券の発行がミスされてしまった。
本来なら、関西空港→名古屋、名古屋→岐阜、の2枚になるはずが、
関西空港→岐阜の乗車券になってしまったのだ。
もらった時に気が付かない私もいけなかったが、
まさか駅員さんが発行ミスするとは。
新大阪で乗り換える時、
改札にチケットを通したが、ブザーが鳴ってゲートが開かない。
時計をみると、あと10分で列車が来る!
Gウィークの新幹線、座席指定が取れたのは幸運中の幸運、
これを逃したら、名古屋まで立って帰ることになる!
駅員さんに状況を説明すると
「中で精算して下さい。」と、通してくれた。
スーツケースは2個。エレベーターなんか探してたら間に合わない。
「、持ったまま階段上がるよ!も走って!」
「OK!」
体育会で鍛えたのにそのあと全然使っていない筋肉が悲鳴を上げる。
ホームに駆け上がると、列車がちょうど入ってきた。
「いいからとにかくこの車両に乗って!」
間に合った・・・・。
チケットをもう一度確認する。
指定席はずっと前の方だ。
スーツケースをガラガラ押しながら通路を進んでいく。
静かなグリーン車も通りすぎ、
ようやく席に着いた。
はぁ~間一髪。疲れた~。でもみんな頑張ったね。
ホッとして次男と顔を見合わせた。
二人とも可笑しくて可笑しくて笑いを堪えるのに大変だった。
ベトナム旅行、楽しかったね。
また行きたい?
もういい?
じゃあ、今度は私一人で行くから。
海沿いリゾートのコテージ風のホテルで
観光もなーんにもしなくて、ゆったりと過ごすってのは、どう?