肩の凝らないスローライフ

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銀行員時代 貸金庫のお守はつらいよ

2010-08-23 12:39:04 | 銀行員時代
銀行には支店の規模によって「貸金庫」なるものが設置されているところがある。

銀行の巨大な金庫に引き出し式のボックスが作られていて
顧客はそこに通帳や証書、現金や貴重品などを入れておく。

貸金庫に入れるのは契約者に限られていて、
行員は利用者から「補助してほしい。」と依頼されない限り、中には入らない。
金庫の中には個室も用意されていて
他人に見られることなく出し入れが出来るようになっていた。


更新は1年ごと、利用料金は口座振替で支払ってもらっていた。

しかし、世の中「よいお客様」ばかりいらっしゃるわけではない・・・・・

中には預金残高が足りなくて
料金未払のお客様もいた。

催促の手紙を出しても、一向に払うつもりはないらしい。
支店としてもそのまま放っておくわけにもいかず、
上司は頭を悩ませていた。



未払が5年分になった頃、
新たな手を打つことにした。

その顧客の口座は、普段殆ど動きがなかったが、
1ヶ月に一度、必ずどこからかまとまって振込があった。
すると、それを待っていたかのように、即日ATMで引き出されることが分かった。

上司はそこに目をつけた。

公共料金、クレジットなどの口座引き落としは
原則としてコンピュータが自動で処理する。
預金残高が足りない顧客のものは、翌日エラーとして上がってくる。
口座には「ミバライキンアリ」のメッセージが登録される。

後日、振込などで入金があると、
端末オペレーターはまず口座情報を確認する。
「ミバライキンアリ」のメッセージが出ている場合、
一旦入金は保留し、担当部署に知らせる。
知らせを受けた部署は入金と当時に未払金を引き落とすのだ。

上司はこの口座に「カシキンコリョウキンミバライアリ」のメッセージを登録するよう命じた。

数週間後、為替課から「該当口座に入金予定あり」の連絡が届いた。

今がチャンスだ。


為替には入金をストップしてもらい
貸金庫料金支払いの伝票を用意した。
そして入金後即、引き落としの手続きをしたのだ。

その顧客から「貸金庫契約解除手続き」の申し出があったのは
翌週のことだった。






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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドラマあり (tatu_no_ko)
2010-08-24 06:12:38
ドラマでしか知らない貸金庫、ちょっと秘めたる感じのする場所のようですが、面白い裏話もあるのですね。
解約した方のそこには一体何が秘めてあったのでしょう。
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貸金庫 (Sandie/自閉症児の挑戦)
2010-08-25 03:13:03
こちらにも貸金庫ありますよ。火災で(こちらは山火事多いんです)燃えてはこまる重要書類とか入れておくんです。宝石とか金とかはある人はいれるだろうけど。
人の金庫、勝手に処理するわけにいかないしね、本当、困るよね。照合ご苦労様でした。
こちらは借りてクレジットヒストリーを上げるくらいですから、借金大国。ローン組みすぎて未払いで破産宣告する人多いですよ。借りた金は返さなければ利子がどんどんふくれあがるのに、返さなくてすむんじゃないかと思っている人が多すぎる。(怖)
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tatu_no_ko様 (tenchan)
2010-08-25 12:53:26
私には縁のないところですが、
世の中には貸金庫を利用している人がいるのですね。

お客様お一人では出し入れが困難な場合、
行員が引出を取り出すお手伝いをしましたが、
その後は個室で出し入れをなさるので
中身のことは全く分かりませんでした。

解約したお客様、私が席を外していたときに来店されたので
どんな方かは分からずじまいでした。
数年間全く貸金庫のご利用がなかったのですが、
一体何を入れていたのでしょう、謎のままです。
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Sandie様 (tenchan)
2010-08-25 12:57:47
そっか、山火事ね。
それは大変だ。
だから銀行に入れておくんだね。

そちらのクレジット事情、聞いたことがあるけど、
クレジットカード使うのも最小限にしている現金主義の私には信じられない。

ロンドン時代にクレジットの明細が来ると、
「ミニマムペイメント」っていう金額が表示されていて、
借入金はこれだけだけど、今月はこれだけ払えばいいのよ、なんて意味だと知り、
ひょえ~ってビックリした記憶があります。
借金膨らむばかりじゃん。

だから、私みたいな人は実業家には向かないのだと思う。
だって、借り入れして事業起こして勝負するなんて、怖くてできっこないもん。
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