肩の凝らないスローライフ

ようこそtenchanワールドへ。「一日一笑」をモットーに・・・日常生活の小さなことを笑いに変えるtenchanの雑記帳

銀行員時代 新人はつらいよ

2009-10-27 14:12:09 | 銀行員時代
卒業後就職したのは、地元の銀行。

実家から40分程で通える支店に配属された。

皆さんの思い描く銀行員とは・・・・


お札を扇のようにハラーっと瞬時に開くことができるとか、
シャカシャカとリズミカルに札をはじき最後に指でパッチンと音をたてることができるとか、
もちろん算盤も暗算も言わずとして得意。

そういうイメージであろう。

私は4年間の銀行員時代、
そういうスキルを何一つ習得することなく
退職してしまった。

一度も店頭に座ることなく、
内部事務だけで、のほほんと仕事をしていたからだ。


そんな、「なんちゃって銀行員」だった私のエピソードを
しばらく紹介しようと思う。



入行(銀行では入社とは言わない、入行と言う)してまず、度肝を抜かれたのが
その日の勘定が合うまで全員が帰れない、
ということだ。

最初の1ヶ月は
先輩達が必死で加算機に向かって伝票の算を入れている横を
「お先に失礼します。」
と、帰ることが出来た。

でも、研修期間が過ぎた後は、同じ立場。
たとえ一円たりとも現金と勘定が一致しないと
帰れなかったのである。

今はかなりオンライン化が進んでいるので
銀行業務も楽になったそうだ。

でも、当時はまだ、
加算機で一枚ずつ伝票の計算をしていた。

100枚くらいの束をブラインドタッチで計算するのだが、
加算機にはスーパーのレジのように紙テープがついていて、
打った数字がそれに黒で印字される。

一度目の計算が終わると
加算機の「ゼロプルーフ」機能ボタンを押す。
すると、合計金額が赤で表示される。
加算機の中のメモリーは、合計金額をマイナスとして記憶する。
そして2回目の計算を行うのだが、
最後の伝票を打ち終わった時、
テープに「0」が表示されていれば
検算OK,というわけだ。

計算テープは正しい証拠として伝票の束にクリップで付けられる。

合計金額は別の複写伝票に写され、
計算者が誰か分かるように印鑑を押す。
上の一枚は資金課へ届けられ、
下の一枚は課の控えとして伝票の束に付けられるのだ。

資金課では各課(普通預金、定期預金、為替、融資、資金)から集めた複写伝票の一枚目を再集計し、本日の出納表に記す。
そして、最終的にコンピュータ上のデータとつけあわせ、
支店全体の入出金を管理するのだった。



新人行員にはまず、
この加算機での計算をマスターすることが
最大の義務として課せられた。

ゼロプルーフの計算・・・・
一度で済めばいいのだが、
たいてい行きと帰りの片方、あるいは両方間違えていて
なかなか「0」にならない。

先輩達が伝票の束を、
次々計算し終えているのに、
自分だけ遅い。

目の前には店頭から流れてきた伝票の束が、
山積みにされていく。

3時の閉店後には、
外回りの男性が持ってきた伝票がやって来る。

店頭での仕事を終えた窓口担当者が
助っ人として計算に加わり、
伝票を早く回すようにと、課全体が殺気立つ。


そして4時半頃、運命の勘定合わせ。

「入」と「出」が同じ金額になれば「勘定が合った」ことになり、
行員は帰宅できる。



しかし問題なのは、合わない時である。


原因探しに全員が奔走する。

合計額を写した複写伝票には
それを計算した者の印が押されているので
誰が計算間違いをしたかすぐ分かる。
担当者はまるで検挙された犯人のように
「申し訳ありませんでした。」と、みんなの前で謝罪するのだ。

何度か謝ったっけな~。
トイレで泣いたこともある。




再就職する時に、銀行のパートを選択肢から省いたわけ、
お分かりいただけます?(笑)









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10 コメント

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ものすごく、 (Mrs.B)
2009-10-27 18:49:23
想像できますよ、このお話。
なんせ、商業高校出身なのでね、先輩も友達も続々銀行員でした。

で、先輩からこれらの話を聞いて…。
就職先の候補から銀行を全て省いたわけです。
支店や担当によって仕事が「楽」かどうかの違いはあったようですが、
「勘定が合わないと全員帰れない」はどこも同じようでした。
そうでないと、銀行さん信用できないですものね。

今ではコンピューター化されて、行員さんも随分と減りましたよね。
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選択肢除外… (yattaro-)
2009-10-28 11:28:24
そうですか…。
叩かれて這い上がり…、嗤われて立ち直り… そんな貴重な体験が、今のtenchanさんの土台に塗り込められているのですね。
どおりで…強さもしたたかさも…。いい意味でですよ~。
だから頼もしい母親であり、女房であり、主婦であり、パートタイマーであるわけですね。

そして、これだけは選択肢から外す…これも社会眼としては優秀賞ですね。
また面白い話を是非…。
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Mrs.B様 (tenchan)
2009-10-28 15:17:54
そうなんです、Mrs.Bさんの先輩達が
いっぱい職場にいましたよ。
皆さんとても優秀な銀行員でした。

仰るとおり、支店によって忙しさは違っていましたが、
「勘定が合わないと全員帰れない」というのはどの支店でも同じでした。

書いていて思いだした!
勘定が合うと、
「本日の勘定合いました」
って、行内放送がかかるんだった!

銀行のオンライン化、機械の進歩で
随分業務が楽になったみたいですね。

再就職先に銀行は絶対無理だと思っていたので
最初から探しませんでした。
だって、こんなに何にも出来ないOGなんて
歓迎されないでしょ(笑)
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yattaro-様 (tenchan)
2009-10-28 15:18:15
学生時代は自分と同じような仲間と一緒にいたので
なんとなくほんわか~と過ごしていましたが、
社会人になってから世間の荒波を知りました。(笑)

仰るとおりに、それらの辛い経験が
全部今の自分に繋がっているのだと思います。

銀行の話題、思い出したらまたつらつら書いてみますね。
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あるある~! (ばく)
2009-10-29 08:38:10
仕事が違えど、おんなじようなことしているのねえ。空港に勤めていた時、カウンターを締めてから、搭乗したお客様の人数と、冊子から切り取った裏に赤いカーボンのついた航空券を数えるのだけれど、これがもちろん数が合わなければ、誰のチケットをとり忘れているかを探す為に、チケットと名前と、リストの名前を全員照合するのでありました。みんな日本人ならともかく、タイ人のやたらなが~~~い名前とか、中国のchenさんとか、韓国のparkさんとか、インドのsharさんとか、似たような名前が沢山あるのよ~!!あげく満席だと、450人くらい乗っているのだ。

チケットをとり忘れているのが自分でない事を心から祈ったものでした。朝2便とばして、2便ともチケットがあわない時、一便でも、ランチはほとんど絶望的でありました。

歯には歯を事件!とんだ災難でした。
大丈夫かなあ?くれぐれもお大事にね....。
息子も、サッカーのゴールポストにヘディングして顔をぶつけ、前歯、見事に折れました~!

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ばく様 (tenchan)
2009-10-29 11:58:56
チケットと名前とリストの名前の付け合わせ?
想像しただけでも大変なことですわ・・・・。
chenとかparkとかsharとかkim、choi・・・外人さんの名前は、わかりません!!

次男のこと、ありがとうございます。
「俺ってドジだなぁ・・・」
と、凹んでおります。
呪いをかけた(?)ほうの長男は
静かに微笑んでおります(爆)
男の子って本当にいつも、ぎりぎりのところで生きてますよね。

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その言葉! (けんちゃん)
2009-10-30 03:51:03
>男の子って本当にいつも、ぎりぎりのところで生きてますよね。

高校時代を思い出しました。入学時からぎりぎりセーフ、低空飛行を最後まで続けた私は「ぎりの男」と呼ばれてました。決して義理の男ではありません。

日本史なんかはテストの成績のみでは何度追試受けても合格点にならず職員室で大声で教科書を読み上げることで進級させてもらったのでした。
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けんちゃん様 (tenchan)
2009-10-30 15:52:10
終わりよければすべてよしなのです。

「ぎりの男」ですか?
いえいえ、「義理の男」でしょう~!

教科書読み上げで進級させてもらったなんて
話の分かる先生ですね。

それにしても、けんちゃんさん、
コメントの時刻が03:51って
一体いつ寝てるんですか?
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いつでも (けんちゃん)
2009-10-30 21:03:44
起きていても寝ています???

年寄りは早く目が覚めるのです。
そしてすぐ疲れるのです。なので2時間おきに目が覚めるって訳。

身体が疲れない限り朝までノンストップが少なくなってきてます。
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けんちゃん様 (tenchan)
2009-11-02 13:06:48
そういう訳だったのですか。あーびっくりした。

ナポレオンみたいに3時間しか寝ないのかと思いました。
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