見事←先生のお情けで
志望高校に合格させてもらった長男だが、
それからの道のりは容易ではなかった。
古典単語を語呂合わせで覚える荒技の記事でもご存じだと思うが
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ゴロゴ13
とにかく、国語はひどかった。
それなら得意の理数科目はどうだったかといえば、
こちらも最初からよかったわけではない。
目に見えるように偏差値が上がっていったのは
2年の後半から3年の前半にかけてだった。
本人の努力もあった。
でも、高校3年の間に、
様々な人との「出会い」があったからこそ
合格という結果に繋がったのだと思っている。
今回はお世話になった方々への感謝の気持ちを込めて、
長男の「出会い」の数々を語ってみたい。
高校最初の数学の授業で
N先生にいきなり当てられた長男
。
先生は、よそ見している長男を教壇から見つけ、
「コイツ、話聞いてないな~。
よし、ちょっとカツ入れてやるかぁ~。」
と、多分お灸を据えるつもりで当てたのだと思う。
「この問題、解いてみろ。」
黒板に書かれた問題をやらされる。
ところが、先生の思惑に反してというかなんというか
スラスラっと完答してしまった。
「おお、お前、なかなかやるな。
解き方がいいぞ。
名前は?・・・・
か。
よし、決まった。
、お前は来年理系を選択しろ。
俺のクラスに来い。」
こうして数学の初日の授業で、
彼の理系行きが決定したのである。
(先生に言われてすぐその気になった長男も、
実に単純ではあるが・・・・・)
1年生の時の担任は現代社会担当のM先生。
懇談の時には
「とにかく、家での学習時間が少なすぎます。」
と、いつも叱られていた。
目の前に置かれたデータを見ると、
「平日30分、休日1時間」
となっている。
ただしこれは、あくまでも「自己申告」だ。
彼の様子を見ている限り、
「平日0時間、休日30分」であることは間違いなかった。
指摘されても顔色一つ変えぬ長男に先生は
「君は、君は、一体どういうつもりなんだ!
これでいいと思っているのか!」
と、真剣な顔で怒り始めた。
先生はさらに続けた。
「僕は、できない子にはいわない。
君には能力があると思うから、こうやって言ってるんだよ。
君の力だったら、○大も、□大も、ひょっとして△大も狙える。
だから、もうすこし自分の学習を見つめ直してみないか。」
先生からそんな風に言われて、とてもありがたく感じた。
これでちょっとは勉強するようになるかもしれない・・・・。
だが、その期待はあっさり裏切られた。
毎日部活で遅く帰ってきて、
ご飯食べてテレビ見てお風呂入って寝るだけの生活だった。
2年の担任K先生は、数学担当。
スキンヘッドに近い五分刈りで、色つきの眼鏡をかけ、
口ひげを蓄えていた。
その風貌から「組長」というあだ名がついていた。
組長は柔道部の顧問でもあった。
放課後、長男が部活の練習をしていると
柔道着を着た組長がのっしのっしと歩いてくる。
「
、お前、先週末の課題がまだ出とらんぞ。
いつ出すんや?」
胴着姿の組長に震え上がる長男。
「はい、すみません。明日ちゃんと出します。」
そこまで言われても、家ではやらない。
じゃあ、いったい彼はいつ宿題をやっているのだろう?
それは、組長との懇談の席で明らかになった。
「先生、この子、家で全く勉強しないんですけど、
宿題とか、ちゃんとやってますでしょうか?」
私は恐る恐る聞いてみた。
「まあ~期日にきっかりと出すってことはないですけど・・・・
一応・・・・・一週遅れくらいで出してます。なあ。」
「はい・・・・。遅くなるけど・・・・・出してます。」
ボソボソっと答える長男。
「そうですか・・・・・。
でも、家で勉強しているところを見たことないんですけど・・・・・・
じゃあ、一体どこでやっているんでしょう?」
組長と私の視線が長男に向けられる。
「・・・・・休み時間とか、保健の時間とか・・・・・、」
小さな声で答える長男。
「笑わせてくれるな・・・・・」
呆れて物も言えんという表情の組長。
こんなに恥ずかしい思いをした懇談会もなかった。
物理のY先生は、2年から長男のことを指導して下さっていて、
彼のことを非常に気に入ってくれていた。
ある日、物理講義室で自習している長男のところへ、先生はふらっと立ち寄った。
「おぉ~、
、ここにおったんか。お前を探しとったんや。」
「先生、僕、いつも放課後はここにいます。何でしたか?」
「うん、テキストのあの問題、もう解いたか?」
「いえ、まだですけど。」
「そうかー、いやな、お前いつも面白い解き方するから、
この問題どうやって解くかなーとちょっと参考にしようと思って。」
そして、以前にも記事にした3年の担任O先生。
こちらと
こちら
この一年間、本当にお世話になった。
「
君は、まだ荒削りですけど、
非常に高い能力をもっています。
ぽかミスさえなければ、本番も大丈夫だと思います。」
そう太鼓判を押して下さった。
こうやって多くの先生達に
君の能力を引き出してもらったのだなぁ。
この高校を選んで本当によかったね。
そう長男に言うと、
「うん、僕もそう思う。
多分、他の高校だったら、こんなに俺のことを気にかけてくれんかったと思う。」
と、心から感謝しているようだった。