三重県亀山市で、マイクロバスと大型トレーラーが衝突。
マイクロバスに乗っていたフィリピン人6人が死亡するという痛ましい事故になった。
故郷の家族に仕送りするため、日本で働いていたんだよね。
ご冥福をお祈りします。
銀行で外国為替を担当していた時の話だ。
当時、「海外への送金」というのは、
商品仕入れのための少額送金があるくらいで、
それほど件数は多くなかった。
(勤めていた支店の場所柄、だと思うが・・・・。)
外国為替のカウンターは、
いつもガラ~ンとしていていた。
混む時季は年に三回と決まっている。
GW、お盆、正月前だ。
海外旅行に行くお客様が、$などの外貨に換えようと殺到するからだ。
それ以外は大抵暇だった。
だから、たまに「送金」のお客様がいらっしゃると大騒ぎ。
えーっと、マニュアル~マニュアルは、と・・・・・。
ノートに書いたメモをちら見しながら、
依頼書を隅から隅までチェックする。
必要事項は書き込まれているか。
書き間違いはないか。
そして、これでもう大丈夫だと確認すると
お客様に「印鑑」を押してもらうことになっていた。
正直な話、いつもこの「捺印」というのが疑問だった。
何故、印鑑が必要なのだろう?
依頼書への記入は全てアルファベットと決まっていた。
なのに印鑑を押すなんて!
サインでいいじゃない!
上司に何度も訴えてみた。
「印鑑なんておかしいじゃないですか?
どうしてサインじゃダメなんですか?」
でも、
「決まりだから。」
と、取り合ってもらえない。
事実、それが元でお客様とトラブルになることもあった。
ある時、海外赴任経験が豊富と思われるビジネスマンが来店した。
クワラルンプールにある自分の口座に送金したいという。
依頼書の記入もスラスラと、
いかにも慣れているご様子だった。
そして最後、
依頼者名の箇所に、流れるような文体でサインして下さった。
私は
「すみません、ご印鑑を・・・・・」
と、恐る恐る申し上げた。
するとお客様は憮然とした表情で
「どうして?サインじゃだめなの?」
と、仰った。
そうなのだ。お客様の言う通りなのだ。
サインでOKと、私もそう思っている。
でも、横の上司が睨んでいる。
仕方なくもう一度お願いする。
「申し訳ありません。支店のルールになっておりますので。」
お客様は不服そうに鞄から認め印を取り出し、
依頼書に押して下さった。
「ここの支店、変わってるね。
本店に行ったときはサインでもいいって言われたよ。
ま、今日はたまたまここに寄る機会があったから来ただけだが、
今度から本店に行くよ。」
スミマセン、本当にごめんなさい。
怒るのも当然ですよね。
そんな外国為替に、
3か月に1回ぐらいの割合で、
必ず店頭にやって来るフィリピン人の女性がいた。
当時、20代後半ぐらいだったかな。
彼女は殆ど日本語が話せなかった。
こちらが「いらっしゃいませ。」
と、声を掛けようが何しようが、
ただ頷くだけ。
そして、手にした「送金依頼書」を黙ったままでカウンター越しに渡すのだ。
送金先は「フィリピン」
金額はいつも15万円と決まっていた。
日本で働いたお金を、家族に送るのだろう。
いつものように依頼書に書かれた内容をチェックする。
完璧だ。
そして依頼者名のところには、
彼女のフィリピン名を漢字に充てた印鑑が押してある。
きっと、日本で生活するうえで
色んな場面で「印鑑を」と言われるであろう、
そういう状況に順応して、
彼女が作ったに違いない。
彼女はそれからも、定期的に送金しにやって来た。
顔見知りになって、
少しはにかむように笑ってくれるようにはなったが、
最後まで言葉は交わさなかった・・・・・・。
仕送りしてもらったフィリピンのご家族が、
そのお金で大きな家を建てていたらいいな。
マイクロバスに乗っていたフィリピン人6人が死亡するという痛ましい事故になった。
故郷の家族に仕送りするため、日本で働いていたんだよね。
ご冥福をお祈りします。
銀行で外国為替を担当していた時の話だ。
当時、「海外への送金」というのは、
商品仕入れのための少額送金があるくらいで、
それほど件数は多くなかった。
(勤めていた支店の場所柄、だと思うが・・・・。)
外国為替のカウンターは、
いつもガラ~ンとしていていた。
混む時季は年に三回と決まっている。
GW、お盆、正月前だ。
海外旅行に行くお客様が、$などの外貨に換えようと殺到するからだ。
それ以外は大抵暇だった。
だから、たまに「送金」のお客様がいらっしゃると大騒ぎ。
えーっと、マニュアル~マニュアルは、と・・・・・。
ノートに書いたメモをちら見しながら、
依頼書を隅から隅までチェックする。
必要事項は書き込まれているか。
書き間違いはないか。
そして、これでもう大丈夫だと確認すると
お客様に「印鑑」を押してもらうことになっていた。
正直な話、いつもこの「捺印」というのが疑問だった。
何故、印鑑が必要なのだろう?
依頼書への記入は全てアルファベットと決まっていた。
なのに印鑑を押すなんて!
サインでいいじゃない!
上司に何度も訴えてみた。
「印鑑なんておかしいじゃないですか?
どうしてサインじゃダメなんですか?」
でも、
「決まりだから。」
と、取り合ってもらえない。
事実、それが元でお客様とトラブルになることもあった。
ある時、海外赴任経験が豊富と思われるビジネスマンが来店した。
クワラルンプールにある自分の口座に送金したいという。
依頼書の記入もスラスラと、
いかにも慣れているご様子だった。
そして最後、
依頼者名の箇所に、流れるような文体でサインして下さった。
私は
「すみません、ご印鑑を・・・・・」
と、恐る恐る申し上げた。
するとお客様は憮然とした表情で
「どうして?サインじゃだめなの?」
と、仰った。
そうなのだ。お客様の言う通りなのだ。
サインでOKと、私もそう思っている。
でも、横の上司が睨んでいる。
仕方なくもう一度お願いする。
「申し訳ありません。支店のルールになっておりますので。」
お客様は不服そうに鞄から認め印を取り出し、
依頼書に押して下さった。
「ここの支店、変わってるね。
本店に行ったときはサインでもいいって言われたよ。
ま、今日はたまたまここに寄る機会があったから来ただけだが、
今度から本店に行くよ。」
スミマセン、本当にごめんなさい。
怒るのも当然ですよね。
そんな外国為替に、
3か月に1回ぐらいの割合で、
必ず店頭にやって来るフィリピン人の女性がいた。
当時、20代後半ぐらいだったかな。
彼女は殆ど日本語が話せなかった。
こちらが「いらっしゃいませ。」
と、声を掛けようが何しようが、
ただ頷くだけ。
そして、手にした「送金依頼書」を黙ったままでカウンター越しに渡すのだ。
送金先は「フィリピン」
金額はいつも15万円と決まっていた。
日本で働いたお金を、家族に送るのだろう。
いつものように依頼書に書かれた内容をチェックする。
完璧だ。
そして依頼者名のところには、
彼女のフィリピン名を漢字に充てた印鑑が押してある。
きっと、日本で生活するうえで
色んな場面で「印鑑を」と言われるであろう、
そういう状況に順応して、
彼女が作ったに違いない。
彼女はそれからも、定期的に送金しにやって来た。
顔見知りになって、
少しはにかむように笑ってくれるようにはなったが、
最後まで言葉は交わさなかった・・・・・・。
仕送りしてもらったフィリピンのご家族が、
そのお金で大きな家を建てていたらいいな。