浅尾弥子のノンジャンル道

 
 富山県小矢部市のシンボルキャラクター・メルギューくんの
 お姿をお借りして、日々更新。

「私は忘れない」

2015-05-04 14:15:11 | BOOK
みどりの日。
旅情をそそる1冊を、ご紹介しまっす。



「私は忘れない」
故・有吉佐和子さんの著作。

有吉さんは、
「恍惚の人」「不信のとき」など、社会問題に取り組んだものや、
「紀ノ川」など、市井の女性の生き様を描いた大河もの、
花柳界を舞台に母娘の愛憎を描いた「香華」、
日本舞踊の芸の真髄と、個々のエゴの対比が絶妙な「連舞」、
歴史的史実をもとにした「華岡青洲の妻」など、
多彩な作品を残しています。



「私は忘れない」は、
鹿児島県の黒島(くろしま)という離島に、
都会の別嬪さんが訪れる話です。

このお嬢さん、門万里子さんが、実に軽快で、溌剌としています。
島で見たこと、体験したことは、
彼女の人生観を覆すほど衝撃的なのですが、
心根が素直なのでしょう、
まっすぐに受けとめ、すぐに行動にうつします。



小説に登場する辺地教育者の方々も、
みなさん魅力的。
自然環境等の困難さを上回る熱意と実行力、
そしてユーモアをもっています。

読者に、過不足なく、人物や情景を伝える地の文と、
登場人物の個性や心理状態を、的確に表す台詞のバランスが見事で、
作家・有吉佐和子さんの力量たるや、
すばらしいとしかいいようがありません。



読了したときに、
タイトル「私は忘れない」が、再度、胸に迫ってきます。
深い共感を覚えた作品でした。



「私は忘れない」
著:有吉佐和子
新潮文庫
定価:本体590円+税

今日も、明日もがんばるぞ!
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