流星ワゴン

重松清さんの作品の「流星ワゴン」を読みました。

以前に、ドラマでやっていたんですが、なんか深い親子の物語がまた読みたくなって、図書館で借りました。
重松さんの作品は、父親と息子の心が手にとるようにわかって、本当に興味深いんです。
主人公が子供の頃、思っていた父親は本当に強い人でした。
それが、理由あって、同じワゴン車に同年齢で乗り込むことになります。
主人公にも妻や子供があり、それぞれ問題を抱えています。
自分が子供だった頃の父親との関係を浮き彫りにしながら、ワゴン車は主人公の大切だった時間に逆戻りしていくんです。

ドラマでは最後、新天地である自分の故郷の岡山に移り住んで、そこで仕事を見つけ妻を待つんですが、原作では全ての物を飲み込み、東京のマンションでやり直しでない人生を送ることになります。
どちらもアリなんです。
ドラマはハッピーエンドでないと成立しない物なのかもしれません。

私は、父親の威厳の重さをあまり感じず育ちました。
かと言って、父をなめて生きてきたつもりではないのですけど。
父親と息子の関係は、女が思うほど軽いものではないような気がします。
重松さんの小説は、それを物語っているのです。

「死んでもいいや。」と、思っていた主人公は、これからも生きることを選んでワゴン車を降りるのです。
ストーリーは、ドラマで知っていたので、どう展開するかしか、頭になかったんですが、私は原作の方が極端なハッピーエンドより良かったんじゃないか。と、思うんです。