彼女のお父さん

私には唯一の友人がいます。
その友人のお父さんが大変なことになっています。
何万人に一人の難病なんです。
名前を聞いても私にはわからない。

その彼女のお父さんが、病院から病院に転院することになりました。
本当は、介護施設に入ればいいのですが、そんなお金もかけたくないらしいのです。
もう治る見込みもありません。

彼女は怒っているのです。
いろいろな問題に。
しかも、今はコロナの時代。
面会もままならないのです。
お父さんが元気な時は、文句も言っていたけど、やっぱり親子なんですよね。
病気が発覚したら、献身的にお父さんのことを思うようになりました。

今、お父さんはどうな状態かは、彼女もわかっていないのです。
今度、転院するとき、タクシーの中で付き添うことになるみたいです。
ちょっと可哀そうな感じです。
難病指定された病気ですから、治療も難しいはずです。
それに、どれだけ生きるかは、誰もわからないのです。

私は、自分の親がそんな病気になったら、右往左往してしまいます。
彼女だから、我慢できたのかも。
人の生死は、誰もわからないし、知ることも難しい。
こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、ぽっくり逝けたら、いろいろな問題から逃れることができるのです。
なまじ、寝たっきりになられたら、困るのは彼女です。