Scarving 1979 : Always Look on the Bright Side of Life

1979年生な視点でちょっと明るく世の中を見てみようかと思います。

同時上映と同時鑑賞

2004年05月29日 23時59分59秒 | 1分間スピーチ
今日は、同時上映と同時鑑賞でした。

ということで今日は友達と、
キューティーハニー』と『デイ・アフター・トゥモロー』を、
2作連続鑑賞してきたわけです。

劇場で映画鑑賞後、家でDVD鑑賞なんてのはよくやりますが、
劇場で映画の2作連続鑑賞は、5年ぶりくらいな気もします。

けれど昔はよく、
全く違う映画の同時上映というのがあった気がします。

一番覚えているのが、
『ホームアローン』と『シザーハンズ』の同時上映で、
『ホームアローン』目当てだった子供の私は、
名作とも呼ばれる『シザーハンズ』に全く興味を持てなかったのです。

きっと今『シザーハンズ』を見返せば面白いんでしょうけど、
子供の頃の印象を超えることが出来ず、いまだに見返せていません。

これは非常に残念です。

そんな洋画の同時上映もそうですが、
邦画もやたらに同時上映が多かった気がします。

シネコンが出来て、しっかり観客を回すようになって以来、
そんな同時上映が減ってしまった気がしますけど、
この風習は残してほしいかな、と思います。

1日を映画で過ごすのもまた、いいものです。

「犬(dog)」第1回

2004年05月29日 09時27分41秒 | 物語
 僕は歩いた

 僕は走った

 僕は疲れた

 僕は食べた

 僕は入った

 僕は寝た

 僕は見た

 夢を見た

 浮いていた

 セーラー服を着て浮いていた

「ねえ、はやくかおりんに告白しちゃいなよ」

「なにいってんだよ」

 何も拘束するもののない教室、窓側の後ろから二番目の席で、上がっていく光を浴びながら、女子と男子がおしゃべりしてた

「好きなんでしょ、かおりんのこと」

「ま、まあ、そりゃ好きだけどさ、俺、そんなこと言える度胸ないよ」

「もう、それじゃあ、私が渡してあげるから、手紙書きなよ、それならできるでしょ」

「わかったよ、じゃあ今日、家で書いてくるから、明日渡してよ」

「うん、でも明日忘れたら、自分で直接言ってよね」

「忘れねえよ」

―おまえ、やめといた方がいいって、俺も同じことしてフラれたから………ま、でも人は人か、黙って続きを見てみよう―



 二番目の引き出しが、開いたままの学習机に向かう、パジャマの少年

「ああ、ついに明日告白か。こんな時のために、今まで書き留めておいた、自己紹介文と出会ってからの思い出文が5枚、それに今日書き加えた、俺の愛の叫びと自作の詩が5枚、合計10枚にも渡る、俺の想いが伝わるんだな、工藤さん、いや、かおりに。でも、もしOKだったら、初デートは何処がいいかな。やっぱり映画かな、それとも動物園かな、ま、2人で行けば、何処でも楽しいか」

 少年の月はまだ大きい



 窓側の後ろから二番目の席に、女子が座っていた

「おはよう」

 制服の男子が、声をかけ、隣に座る

「あ、おはよう」

「忘れずに持ってきたぞ」

「え、何を」

「何をっておまえ、おまえが今日持ってくれば渡してくれるって言ったんだろ」

 少年は、ポケットからストローと、タバコのボックスと見間違えるほど厚みのある、折り込まれたレポート用紙を取り出し、前者はポケットに押し込んで、後者を女子に見せた

「ほら、手紙」

「あ、そう持ってきたんだ。じゃ渡しておくから貸して」

「あ、お願いします」

 賞状を渡すときと同じように、両手を手紙に添えて差し出す男子、左手で受け取る女子

「何あらたまってんのよ、でもこの厚みは何。何枚あるの」

 女子の驚きを見て、自分の過剰さが恥ずかしくなり、口ごもりながら男子

「一応10枚」

「10枚。10枚って、何書いたらそんなになるの」

「いいだろ、何でも」

「見てもいい?」

「ダメ、絶対ダメだかんな、そのまま渡せよ」

「はいはい、わかりました。じゃあ部活で会った時に、渡しておくから」

「お、お願いします」

「またあー、何で急に敬語になるの」

「お願い事する時は、いくら気の置けない奴でも、丁重にいくのが礼儀ってもんだろ」

「なにが礼儀よ、田舎侍のくせして」

「何だと、おまえなんか、都会から島流しでここに来たんだろ、それよりはましだよ」

「島流しじゃないよー、父さんが、ここに家買ったから引っ越してきただけー、あんたなんか、この島の生まれじゃない、そんな奴よりはましよ」

「へーん、残念でした。ここは島じゃないですー、周りは山と田んぼに囲まれてますー」

「あんたが島だって言ったんじゃない」

「俺のはたとえ、おまえのは本気、陸つづきのここを、島だなんていってる奴と、一緒にされたかないね」

「なによ、ここ陸の孤島じゃない。それに、ピーナッツしかないじゃない」

「おまえ、バカにしたな、原住民怒らすと恐いよ、家の中、落花生の殻で埋め尽くされるよ」

「なにそれ、バッカじゃない」

「ああ俺はバカさ、バカで結構。カバよりはましだから」

「私がカバだっていうの」

「そりゃそうだろ、いっつも授業中でっかい口開けてるもん」

「もー、そんな事ばっか言ってると、手紙渡してあげないよ」

「え、すみません、お嬢さま、ワタクシが悪うございました」

「わかればいいのじゃ、わかれば。爺、肩がこったのー」

 突然足を机の上にのせて、偉そうな態度を取る女子

「爺?俺のこと?おまえ、調子に乗んなよ」

「手紙はよいのか?」

 “タバコのボックス”を男子の眼前につきつける女子

「は、お嬢さま、この爺、喜んで肩をもまさせていただきます」

 男子は立ち上がると女子の後ろの席の机に腰掛けて、肩をきつくもみ始めた

「よかよか、うむ、もう少し肩甲骨の近くをたのむぞ」

「はいはい」

「返事は一回でよいのだぞ」

「はあーいー、ばあーぶー、ちゃあーん」

「何?イクラちゃん?じゃ私たい子さん?」

―もーいいよ、こいつらの漫才は、次いこ次―



 音楽室の片隅で、コントラバスの練習をする女の子。夕日を浴びて、赤く染まるはずの彼女が、なぜか青白く輝いた。

(あ、あれ?さっきまで僕、浮いていたよな、なんでこんなところにいるの?あ、なんか体が女になってる。それにこのどデカいバイオリンは何?僕の体が縮んでるの?……でも、ここは何処なんだろう。なんで女になってんだろう。なんでこんなもの持ってんだろう。ねえ、誰か教えて)

―普通ならば「ここは夢の中だ」と自分に言いきかせる。しかし、夢の中で夢を自覚することは難しい。しかも、この男のように冷静に状況を考えることは、ほぼ不可能と言える。つまり、この男は確かに起きているのだ。そして自分が起きているということを瞬間的に肌で感じたのだ。―

「かおりん」

 窓側の後ろから2番目の女子が、女の子に話しかけてきた。けれども女の子は反応せずに、心の中でこの状況の推測をしていた。

(あ、そういえばこのあいだ、こんなのテレビで見たな。えっと、幽体離脱して、異世界の別の人間に“転神”したっていう男の話。なんか、その人の話に似てるんだよな。僕も、この女の子に転神したってことかな?)

―“転神”聞きなれない言葉だ。だが、この男の話しから考えると、こちらの世界で言う“降臨”という言葉とほぼ同じだと思える。また、この文字から考えると、精“神”が“転”ずると言う意味だとも思える。―

「かおりんってば」

 そう言って女子は、女の子の左肩をポンとたたいた。


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第2回

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『僕の中』


僕 の 中

に は

僕 が い る

そ ん な

当 た り 前 の

こ と に

朝  気 付 く

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第1回あとがき

[当時]
この作品のつかみとなる部分なので、
展開を早くして一気に作品にひきこもうとしたんですが、
ちょっとやりすぎたような気がします。

[現在]
若いです。なにもかにもが。さすが7年前の初作品。
もし、この第1回しか読まない人が多数だったら、
私はとても恥ずかしい想いをしてしまいます。