「箱庭の室内楽」という風変わりな名前の若い6人組のポップミュージックグループがある。
2001年に法政大学の音楽サークルの中で誕生した「bolbots」がメンバー編成変更を経てバンド名を「箱庭の室内楽」に変えた。オリジナル曲のほとんどはギターとヴォーカル担当の橋田和馬氏が作詞作曲をしている。 J-popには珍しく歌詞に英語が全くといえるほど入っていない。思索的な日本語は、繊細な感性を映して心地よく耳に響いてくる。
本人たちが、「変拍子・転調を多用した、実験的な音楽」と称しているだけあって単純なビートではないが、技巧的に作ったものでなく必然性をもったメロディーラインは美しい。ピアニカが意外にも魅力的な電子音を利かせているのが新しいと思う。水の反映のように心地よく、クリアな感覚。これはまさしくヘテロフォニーの音楽である。
梅雨空の窓辺で、昼下がり、外を眺めながら濃い目の紅茶を片手に聴くとぴったり。若い人のフレッシュな才能にエールを送りながら、是非聴いて欲しい一枚。
●アルバム名: 箱庭の室内楽(9曲入り2310円)
●レーベル名: KIMICA Records