百田尚樹さんの長編「錨を上げよ」上・下は大変読み応えがありました。
大阪出身の主人公はいろいろな事情があって新設の商業高校に入り相当なやんちゃをするのだが、やがて大学に入学したいという強烈な動機を持ち、受験勉強の末見事合格をする。
ところがあれほど憧れた大学生活に幻滅し、あっけなく中退をしてしまう。
そしてその後の主人公は波乱の人生を送るという物語ですが、20歳代のほんの10年間に起こる出来事があまりにも普通の生活とはかけ離れているので、まるで活劇を見るような感覚で読み終えました。
2008年作の「ボックス!」や2010年作の「モンスター」の要素や、百田さん個人の実体験などが適当なあんばいで盛り込まれているのも面白いところです。
それにしても大阪出身の作家だからこそ書けるのだろうと思うところが多い作品です。