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■ 大山天然温泉 「こまや旅館」 〔 Pick Up温泉 〕



<大山天然温泉 「こまや旅館」>
(神奈川県伊勢原市大山920、10:00~17:00、水休、1050円(タオル付)、0463-95-2010、※ 現在休業中との情報あり
休、500円(土日祝 750円)、0265-39-2528)
紹介ページ (MAPPLE 観光ガイド)
紹介ページ (神奈川の温泉宿(求人ジャーナル社))

いまでこそ寺社参り&温泉というのはあたりまえのコースですが、かつては霊場、古刹と温泉の縁は意外にうすく、門前町と温泉地を兼ねているところは、少なくとも関東周辺では諏訪以外に思い当たりません。
湯前神社や温泉薬師が有名な温泉地もありますが、温泉場が先にあって、その効能が神格化されたケースが多いように思います。
いまとちがって都合のいい場所で温泉掘削ができなかったというのが最大の理由でしょうが、敬虔だった昔の人には霊場のお膝元でお湯を楽しむという発想はなじまなかったのかも知れません。
善光寺の戸倉上山田温泉、弥彦神社の岩室温泉など、いわゆる”精進落としの湯”は参詣地からはなれた道中にあります。

大山(阿夫利神社、大山寺)は、ふるくから関東屈指の山岳信仰(修験道)の霊場で、ふもとにある大山の里には多くの宿坊(参籠所)があって賑わいました。
このあたりは、いまでも神仏混淆の修験道の霊場らしい独特な空気が流れています。
江戸時代からの老舗「こまや旅館」は、おそらくそんな宿坊のひとつだったと思われますが、近年、温泉掘削に成功し、宿泊を休業して日帰り入浴のみで営業しています。


【写真 上(左)】 温泉櫓
【写真 下(右)】 館内

玄関前の狭い駐車場の脇に、誇らしげに「大山天然温泉」と書かれた温泉櫓がそびえ建っています。
館内はふつうの旅館とはすこし違った雰囲気があります。
暗くて狭く入り組んだ廊下のおくの浴場に、おばさんが案内してくれました。
外観はコンクリの無粋な佇まいながら、廊下や客室には気のきいた意匠もこらされていてそれなりの風情があります。


【写真 上(左)】 渋い洗面台
【写真 下(右)】 内湯(大岩風呂)入口

浴場は男女別でそれぞれ内湯(大岩風呂)と露天がありますが、内湯(岩+みかげ石枠石貼3-4人)は使っていないようで当日も空でした。
暗く古びた内湯に対して新設したらしい露天はとても綺麗です。
屋根と木塀と木立に囲まれ開放感はさほどありませんが、背伸びすると鈴川の渓谷が望めます。


【写真 上(左)】 空の内湯
【写真 下(右)】 露天入口

黒みかげ石枠石敷5-6人の露天がひとつで、独楽をかたどった石膏の析出付きの石の湯口から投入+側面熱湯注入。
槽内排湯はなく浴槽フチ全面からかなり潤沢なオーバーフロー。
館内掲示には「加温、非加水、非濾過非循環、消毒用薬剤使用なし」とあります。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 露天-1

カラン6(たぶん源泉)、シャワーあり、シャンプー・ドライヤーはないですが料金からすると欲しいところ。
日曜13時で独占~5人。露天浴場自体広くはないので、5人入り込むとやや窮屈な感じ。


【写真 上(左)】 露天-2
【写真 下(右)】 湯口

適温のお湯は、無色透明で少量の白い浮遊物がただよいます。
弱塩味+弱苦味で弱いながら石膏泉系の甘い湯の香に饐えた?ような臭いが混じった個性的な温泉臭があります。
よわい硫酸塩泉系のキシキシとアルカリ泉系のヌルすべが入りまじる複雑な湯ざわりは通好みか。
湯口そばでは少量ながらアワつきがあり、硫酸塩泉らしい内側から温まるような充実した浴感&浴後感が楽しめます。浴後は肌に張りがでる感じ。


【写真 上(左)】 ざんざこのかけ流し
【写真 下(右)】 湯口&湯色

丹沢南麓には高アルカリでうすめの泉質が多いですが、ここのお湯は硫酸塩泉の特徴がよくでていて、むしろ丹沢の向こう側、道志や秋山のお湯に近いような感じがしました。

浴後、入る前に頼んでおいた釜飯コース(1,300円)を食べました。
炊き立ての釜飯に大山名物の豆腐(冷や奴)と小鉢数品がついてこの値段はまあまあリーズナブルかな。
指定した時間にあわせて炊き上げてくれますが、ついつい長湯・遅刻して釜飯が冷めてしまったのは無念 (^^;

料金1,050円はいささか高いような気もしますが、贅沢な加温かけ流しだし、時間制限もないので許容範囲かな。
紅葉がよさそうなエリアなので、晩秋の一日、大山参詣をかねてゆったりと過ごすのにいい施設かと思います。春の桜もよさそう。

Ca・Na-塩化物・硫酸塩泉 29.0℃、pH=9.5、湧出量不明(1,000m掘削)、成分総計=2.38g/kg、Na^+=369mg/kg、Ca^2+=452、Cl^-=879、SO_4^2-=500、CO_3^2-=8.17、HSiO_3^-=12.5 <H12.5.12分析> (源泉名:伊勢原温泉(台帳番号 秦野第22号))

<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:あり 循環ろ過:なし 消毒用薬剤使用:なし

■ブランドグルメ
〔 大山とうふ 〕
山岳信仰で栄えた大山周辺は、各地を回り信仰をひろめる御師の根拠でもありました。彼らが食していた精進料理に豆腐があり、これに、霊峰大山の良質の水、御師たちに謝礼として送られた各地の大豆などが加わって、名物として定着していったものと考えられています。大山とうふは、豆腐そのものをさす場合と豆腐料理をいう場合があり、地元には豆腐料理店も多くあります。また、早食い競争などもある「大山とうふまつり」も開催されています。
(大山とうふまつり実行委員会HPなどを参考。)

〔 2010/03/27画像補強再UP (2005/10/11レポ (2005/05入湯)) 〕


E139.15.34.549N35.24.57.313
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