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【 音楽コラム 】 どうなる? 夏川りみ

コラムです。今回は温泉じゃなくて、音楽です。

音楽好きでなくても、♪ 古いアルバムめくり、『ありがとう』ってつぶやいた ♪ というフレーズではじまる「涙(なだ)そうそう」という曲を耳にしたことがあるでしょう。この曲は”夏川りみ”という沖縄、石垣島出身の女性シンガーが唄っています・・・。

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夏川りみの声を最初に聴いたのは、たしか、水戸黄門の合間(笑)に流れていた松下グループのCMだったと思う。ハイトーンが綺麗にのびるそのボーカルは強烈なインパクトがあり、画面の下に出ていた”夏川りみ”というクレジットを頼りにCDをさがしたが、その当時はまったくのマイナーで、ごく一部の大手CDショップでシングルが見つけられただけだった。(ちなみに、その時点でアルバムは未発、くだんのCM Song”この星を感じて”は、シングルで切られていなかった-のちにALBUM「SINGLE COLLECTION Vol.1」に収録)

2001年、「涙(なだ)そうそう」リリース。火のつきはさほど速くはなかったものの、抜群のサビメロをもつこの名曲は、3年間で100万枚を売る近年めずらしいロングセラーとなった。
その後、「南風」(2002/3)「てぃだ~太陽・風ぬ想い~」(2002/9)「空の風景」(2003/3)
と順調にALBUMをリリース。これら初期の作品はPopsと沖縄民謡のバランスがとれたなかなかの内容だった。とくに「てぃだ~太陽・風ぬ想い~」収録の『島唄』『月のかほり』などは彼女のたおやかにのびる高音がうまく活かされた佳作といえる。

その後、「風の道」(2004/9)、「彩風の音」(2005/11)、「想い風」(2007/3)とリリースを重ねたがこれらのALBUM はどうも不完全燃焼な感を拭えなかった。初期のさらっと明るい曲風は姿を消し、重厚なバラード主体の楽曲が増えた。
プロダクション側の思惑としては、たぶん彼女をバラードを唄い上げる本格派歌手にしたかったと思われるが、彼女の魅力は淡々とした曲調から一気にハイトーンに展開するときの一種独特の高揚感にあると思うので、徐々に盛り上げ唄い上げていくような正統派バラードは本質的にあっていない感じがするし、彼女の歌声もこころなしか艶を失って苦しそうに聞こえてならなかった。
「想い風」では槇原敬之の楽曲もとりあげられたが、彼女は言葉かずの少ない(声の伸びを生かせる)曲があっていると思うので、やたら言葉かずの多い槇原の曲はどうにも違和感があった。
このあたりの曲折は、Wikipediaでも「天性の歌声と実力がありながら、リリース曲の多さの割にそれらが生かされた曲にそれほど恵まれてはいない、という評価も多い」と指摘されている。

こうしてみると、どうもプロダクションと夏川りみ本人の間にある種の確執があるような気がしてならなかった。それをうかがわせるかのように2007年1月、契約満了を期に活動停止。しかし、数ヶ月後にはプロダクションを移籍して復活。「曲に恵まれていない」という評価をみずからうらづけるように「夏川りみ 歌さがし」と称して彼女に歌ってほしい曲をリクエストで募り、リリースする企画を打ち上げている。

いまのところリクエスト曲はPopsが多く第1弾として「時代」のリリースが決定している。正直、彼女が正統派Popsの領域でどこまで勝負できるかは未知数(デュエットALBUM「RIMITs ~ベスト・デュエット・ソングス~」ではPops系の曲で共演した黒沢 薫や辛島美登里に喰われている。逆に三線をまじえた「涙そうそう」では圧倒的な存在感を示し、一転、森山良子を喰っている。)だが、天賦の才能の持ち主なので今後に期待したい。
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