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「夢人生を奏でて」 古賀政男

2016年12月26日 00時04分28秒 | 雑学知識
 「夢人生を奏でて」 古賀政男 生誕百年記念特別版  2004年

 はじめに P-2

 平成16年11月18日―古賀政男生誕百年。古賀先生が亡くなられてから、既に27年の年月が流れたことに深い感慨を覚えます。先生との思い出は語り尽くせない程ありますが、中でも、私の音楽人生の指針となり、物の見方、考え方、生き方を決定づけた昭和20年2月12日、私が先生の内弟子として入門した日のことは、今も昨日のことのように強烈に、鮮明に蘇ってきます。

 その日の朝、私は正座して、古賀先生の前にいた。
「そこに座りなさい」先生の声は静かだった。温かかった。
「これから私が言う話をしっかりと聞きなさい。生涯をかけて音楽の道に進みたいと思うのなら、これから私の言うことを良く覚えておきなさい。この言葉がお前の心の中に生き続けている限り、この言葉を心で理解する努力をする限り、お前は音楽家としての豊かな人生に勝利するであろう」
 
 その年の冬は、例年になく雪の多い冬でした。そのなある日、外出先から帰ってきた私が感じた、そこはかとなく漂う温かい空気。何とも言えない良い香り。それは沈丁花の香りでした。
 まさにその時!先生の言葉が私の心に蘇ってきたのです。

 音楽する心 それは はっと驚く心。
 はっと驚く心 それは 素直に感動する心。
 素直に感動する心 それは あの少年の日の好奇心を持ち続けること。

 そうだ!春はもうそこまで来ている。「はっと驚く心」とは、このことなのだ。
 ついにこの心にたどり着いた!先生、有難うございます。
 
 先生は私にとって、かけがえのない恩師でした。そしてそれ以上に、人間として正しく、誠実に、生きる道を指し示し、支え、教え導いてくださった人生の師、そのものでありました。

 そんな先生の音楽への熱い思いを遺したいと願い、この度『古賀政男生誕百年記念特別版―夢人生を奏でて』を出版する運びとなりました。激動の昭和の時代に夢と希望を与えてくれた先生の歌の心を、ひとりでも多くの皆様に感じ取って頂けたら幸いに存じます。

 (中略)

 財団法人  古賀政男音楽文化振興財団 理事長 山本 丈晴


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