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「私の死亡記事」 平田 俊子

2015年07月03日 18時06分23秒 | 健康・老いについて
 「私の死亡記事」 文藝春秋編  文春文庫 2004年(単行本 2000年)

 「ひき肉250グラム」と書かれた紙片 平田 俊子 1955年(昭和30年)生まれ、詩人。

 10月16日午前8時ごろ、詩人・平田俊子さん(85歳)運転の車が群馬県の赤城山山中で崖から転落し、平田さんと助手席の男性(88歳)が全身打撲のため死亡した。ブレーキを踏んだあとがないこと、男性の手足が縛られていたことなどから、警察では平田さんが無理心中をはかったのではないかと見て調べを続けている。
 平田さんは免許をもっておらず車は盗難車。「これほど高齢の女性の無免許運転は前代未聞。おまけに盗難車とは・・・」と警察では首をひねっている。
 亡くなった男性の五女は「父は数年前から寝たきりでした。家族がちょっと目を離したすきにいなくなり、心配していました。最悪の結果になってしまって・・・」と声を詰まらせた。
 平田さんの古くからの友人(85歳)によると、「『わたしには40年間思い続けた人がいるのよ』と以前平田さんから聞いた覚えがあります。それが今回亡くなられた男性かどうかはわかりませんが・・・。神奈川県大磯の坂田山心中は『天国に結ぶ恋』として知られていますが、赤城山とは・・・。地獄で結ばれたいというメッセージなのでしょうか」。
 平田さんは1984年詩集『ラッキョウの恩返し』でデビュー。独特の毒とユーモアを含んだ詩風が注目され、7冊の詩集のほか戯曲集などを発表した。2005年頃、母親の介護のため実家のある福岡に帰郷。以後、表現活動からは遠ざかっていた。
 なお平田さんのポケットから「ひき肉250グラム」と書かれた紙片が見つかったが、これが遺書か、詩の一行か、買い物のメモかは不明。