「声に出して笑える日本語」 立川 談四楼 著 光文社 知恵の森 文庫 2009年
(古今亭志ん生の)「風呂敷」という落語では、
女房を相手に怪し気な中国(もろこし)の諺(ことわざ)を振り回す。
「『女三階に家なし』っておめえは知らねえだろう」
「何だい、そりゃ」
「いや、だから、女は三階にいちゃいけねえってンだ。
一階に用があったらいちいち降りてこなくちゃいけねえだろう。
だから女は一階にいろと、こういうこった。
『じかに冠(かんむり)をかぶらず』ということを言う。
じかに冠をかぶったら痛いだろう。
だから冠をかぶる時にゃガーゼかなんかをまず敷いて、それからかぶれという戒めなンだ。
それから『貞女、屏風(びょうぶ)にまみえず』と言う。
貞女がいるのはいいンだ。
貞女がいるのはいいンだけども、その前に屏風があったらせっかくの貞女が見(め)えなくなっちゃう。
だから貞女の前に屏風を立てちゃいけねえという教えなんだ、わかったか。
それからこういうことを言うよ。
『おでんに靴をはかず』だ、どうだ」
「なんでおでん食うとき靴をはいちゃいけないンだよ」
「バカだなァおめえ、考えてもみろよ。
おでん食うとき靴をはいててごらん。
屋台を引いてるおでん屋のオヤジはどう思う?
あ、この人は靴をはいてるけども、カネを払わずに駆け出したら早えだろうなって心配するじゃねえか。
だからおでんを食うときにゃ下駄とか雪駄にしろということなンだよ・・・・・」
ものすごい解釈だ。
初めて聞いた時から笑いっぱなし、
こういうのって元の諺を知らなくても演者のキャラクターで笑えるんですね。
因(ちな)みに元の諺は、順に「女三界(さんがい)に家なし」「李下(りか)に冠を正さず」
「貞女両夫(りょうふ)に見(まみ)えず」「瓜田(かでん)に靴を納(い)れず」であります。
三界が三階、李下がじか、両夫が屏風、瓜田がおでん、
すべてそこからの展開で、いや志ん生、飛びっぷりが素晴らしい。
この「風呂敷」youtubeで、唯一(私の確認している限り)、動いている志ん生が見れます。
https://www.youtube.com/watch?v=LryfU7Ej9Ls
(古今亭志ん生の)「風呂敷」という落語では、
女房を相手に怪し気な中国(もろこし)の諺(ことわざ)を振り回す。
「『女三階に家なし』っておめえは知らねえだろう」
「何だい、そりゃ」
「いや、だから、女は三階にいちゃいけねえってンだ。
一階に用があったらいちいち降りてこなくちゃいけねえだろう。
だから女は一階にいろと、こういうこった。
『じかに冠(かんむり)をかぶらず』ということを言う。
じかに冠をかぶったら痛いだろう。
だから冠をかぶる時にゃガーゼかなんかをまず敷いて、それからかぶれという戒めなンだ。
それから『貞女、屏風(びょうぶ)にまみえず』と言う。
貞女がいるのはいいンだ。
貞女がいるのはいいンだけども、その前に屏風があったらせっかくの貞女が見(め)えなくなっちゃう。
だから貞女の前に屏風を立てちゃいけねえという教えなんだ、わかったか。
それからこういうことを言うよ。
『おでんに靴をはかず』だ、どうだ」
「なんでおでん食うとき靴をはいちゃいけないンだよ」
「バカだなァおめえ、考えてもみろよ。
おでん食うとき靴をはいててごらん。
屋台を引いてるおでん屋のオヤジはどう思う?
あ、この人は靴をはいてるけども、カネを払わずに駆け出したら早えだろうなって心配するじゃねえか。
だからおでんを食うときにゃ下駄とか雪駄にしろということなンだよ・・・・・」
ものすごい解釈だ。
初めて聞いた時から笑いっぱなし、
こういうのって元の諺を知らなくても演者のキャラクターで笑えるんですね。
因(ちな)みに元の諺は、順に「女三界(さんがい)に家なし」「李下(りか)に冠を正さず」
「貞女両夫(りょうふ)に見(まみ)えず」「瓜田(かでん)に靴を納(い)れず」であります。
三界が三階、李下がじか、両夫が屏風、瓜田がおでん、
すべてそこからの展開で、いや志ん生、飛びっぷりが素晴らしい。
この「風呂敷」youtubeで、唯一(私の確認している限り)、動いている志ん生が見れます。
https://www.youtube.com/watch?v=LryfU7Ej9Ls