絵本と児童文学

絵本と児童文学、子ども、保育、サッカーなどの情報を発信する

NHK・「これからの、日本」-鳩山新政権に問う

2009-10-05 16:14:21 | 生活・教育・文化・社会
 NHKの報道番組は、印象としてだが時事や社会や政治にかかわる内容が少なくなったようだ。「NHKスペシャル」「ETV特集」といった番組の、内容と頻度についてである。しかし土曜日22時からの「追跡AtoZ」があるし、これらの内容を削減していないかもしれない。それに「クローズアップ現代」が、アップトディの内容をコンパクトに継続して報道していることからしても。

 3日(土)NHKテレビの「日本の、これから」-鳩山政権に問う-を20時から22時50分を見た。
 これはおおよそ隔月の頻度で、一般参加者からの討論をベースに視聴者からの賛成反対などのデータも取りながらのライブ番組である。ライブといってもVTRを用意しているし、おおよそのシナリオは用意されている。コンセプトは事柄を単純化して異なる意見を検討する、ということのようだ。どちらかというと予定調和的に進行させようと、司会の瞬発力による舵取りが問われることでもある。

 民主党政権の公約等についてだった。民主党は内閣府副大臣の吉川元久、大塚耕平が答弁側にいた。若くてシャープでなかなか力のある政治家である。民主党は30代から40代の若手は力のある人が多い。これらの人は、これまでの政治家像とまるで違うもので、日本の政治家が政策通でなければだめ、という好ましい方向にあると期待感が膨らむ。
 コメンテータは山口二郎(北大)、片山善博(慶大)、宮台真司(首都大)、石原信雄(元官房副長官)、勝間和代(経済評論家)と、無用な対抗心をむき出しにしたりしないで内容だけシンプルに発言する人たちだった。
 会場の発言者もぶちこわし的人がいなく、わたしとしては珍しくこの番組を好意的に聴いた。

 ついでに触れるが、8月15日(土)におこなわれた「日本の、これから」-核-は、核武装論を声高に発言する数人に終盤に圧倒された感じになってしまった。
 オバマが核兵器削減という画期的発言をしたのを契機に、被爆国であり非核三原則を国内外で認知されている日本だが、北朝鮮のミサイル発射、核実験という状況で、タイムリーだと思って企画したのだろう。
 一般的には核武装論はタブーと思っているが、この日の番組はNHKテレビというメディアで堂々と核武装論を展開する機会を与えてしまった。もっとも核武装論は、タカ派グループにより雑誌等の論壇でも堂々と展開しているのだ。
 日本が被爆国として核を許してはいけないが、かりに核武装の道を歩むようになるということは、IAEA(国際原子力機構)を脱退し日本の核武装を警戒しているアメリカとの関係は悪化し近隣諸国との緊張を作ることになる。それは輸出にウエイトをおいている、日本の経済が立ち行かなくなることを意味するのだ。日本は平和主義であるとことが認知されているからこそ、国際的信頼が厚いのである。日本が核に傾斜をかけるだけで、国際的孤立で国益を損なうことは明瞭なのだ。
 核武装論は、とっくになくなっている東西冷戦構図を前提に偏狭なナショナリズムによって「国家としての誇りを持とう」という、憲法に反することであるとともに日本として必要な国際協調主義と相容れないものである。



 さて、4日(日)は、21時から90分間の「NHKスッペシャル・子どもたちを守るセーフティネット」をみた。学校の個人負担費用がなく学習条件が整わない、さては高校の授業料を本人がアルバイトで稼ぎださなければならない、貧困で食事にありつけない、医療にアクセス出来ないなど、貧困が子どもを脅かしている状況をVTRで紹介しそれにコメントを加え、政府としてどう対応するか、という内容だった。
 新聞や本ですでに読んで理解しているつもりだが、映像による伝達によりわたしの想像をはるかに超える貧困におかれている子どもたちに、唖然としたのだった。これまで政治がこういった問題に対応してこなかったことに、憤りを覚えた。日本社会の疲弊を確認した思いだ。
 パネルディスかションのように進行したが、山井和則(厚生労働大臣政務官)、新浪剛史(ローソン社長)、神野直彦(関西学院)、湯浅誠(半貧困ネットワーク)であった。
 なお、司会がアナウンサーの町永俊雄である。町永氏は「福祉ネットワーク」を担当しているが、わたしはかねてから有能なアナ3人の一人だと思っている人である。

コメントを投稿