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はさみを使う

2004-03-01 14:46:13 | 子どもからの発見
はさみを使う  (2004年03月01日 (月) 14時46分)

 はさみを与えたのは、2歳10カ月頃だったろうか。はさみは小ぶりだが、大人が使う切れ味のよいものだ。5色の色画用紙とスティクのりを用意した。はさみをもった手を握る動作がせいいっぱいなので、1回切るだけである。紙を1回の動作で切りとれるように、3~4センチぐらいで横長にしたものを与えた。切るという作業の達成感の体験につなげるためである。1回切るごとに両手ではさみを広げては握る動作をし、切ってはおもしろがった。
 切った紙をスティクのりで貼り付けた。スティクのりは色つきのものなので、塗ったところを確認できる。とはいってもこの年齢では、塗るというよりたたくような動作のためまんべんなくのりがつかないが、何とか貼り付けられる。貼り付けたのは切ることと連続した作業となるためであり、なにか作品のようにすることを期待したのではない。画用紙が入るぐらいの箱には切った画用紙がたくさんになったが、作業が終わってのかたづけもそこにすべてが収まった。
 ところで久しぶりに「はさみできる」と言い出したのでやってみた。横長に切った画用紙を与えたりする条件の配慮はしないでみた。利き手である右手(2歳すぎから右の使用頻度が多くなった)ではさみを持ち、左手で画用紙を添えて持って作業をした。握って切ると、その状態で刃を広げて次の切る動作に移れた。前にだけではなく横にも切り、時には手前にもはさみを向けて小さく切った。本来は前にだけ切り進むのを基本としたいもの。添えている指にはさみの刃がさわったら止めて、左手の画用紙を持ち直して切った。その瞬間は動作をとめて真剣な顔になった。それを2~3回体験しただろうか、慣れてきたらはさみと指の距離を保つようになった。試行錯誤をへながら技術と安全な道具の使い方を獲得いていく様子がよく分かる。
 のりをつけるのは、同じ力で横に引きずるという塗ることが可能になっていた。クレヨンで線を描くのができるようになったのと同じ動作である。
 この年齢の5カ月というのは随分成長するものだ、と改めて実感した。はさみを使うことは、この後は作業を繰り返すことによって習熟していくだろう。はさみの受け渡しや持ち運びなどある時期に教えて、道具の扱い方をマスターしていくことになる。
 今後私が興味を持ったことは、はさみを連続してきり進められるようになるのはいつ頃からかということ。それに片面だけ色つきの紙の貼り付けについてである。白いほうを表にしたかったようだが、白いほうにのりを塗ったので色つきの面を貼ったことになった。本人はそのことには無頓着であった。モノには面があり、それをある目的のために見通しをもってどう扱うかという思考がどういう体験を通して獲得するのだろうか。
 そういえば1歳半ぐらいだっただろうか、空き缶に水を入れるとき、水の入ったものを缶の上に置いたことを思い出した。今では、こぼさぬよう注意をはらって入れられるようになっている。


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