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バリエーション表現技法の、絵本の読み語り

2004-03-09 15:36:40 | 子どもからの発見
バリエーション表現技法の、絵本の読み語り   (2004年03月09日 (火) 15時36分)

 時には絵本の読み語りをするが、ロングセラーである『おおきなかぶ』(内田梨沙子再話、佐藤忠良画 62年福音館書店発行)を読んだ。とっかかりはあまり興味を示さなかった。すでに「あんぱんまん」「プーさん」「ミッフィー」そして最近は「ドラえもん」というキャラクターが、子どもに入り込んでいるので、それらとは異質の絵ということもあろう。
 この絵本を3歳の一人の子どもに読んでいて気づいたことは、作品がぎりぎりまで省略をしていることである。そのシンプルさによって、子どもが絵本に主体的に向かえるし、想像力をかきたてると、改めて感心をした。それにストリーが、助けを求めて増えていくという、いわば「添加」のバリエーションの表現技法が、2回3回と繰り返して読むごとに、子どもに余裕と安心を与えることも再発見したものだ。場面によって高揚したらほっとしたりして、読み終えた後余韻を楽しんでいるようでもあるのだ。
 別な日に『三びきのやぎのがらがらどん』(マーシャ・ブラウンえ、せたていじやく 65年福音館書店発行)の読み語りをしようとしたら、いやがった。やはり「かわいい」キャラクターと比べて怖いと感じたのではないか。その感覚は80年代に学生にこの絵本を紹介したときに、「絵がかわいくない」といった反応したことから推測してみた。ところが一度読んだら気に入った。さすがに名作だけあって、子どもの気持ちの高揚感が伝わってくるほどだ。これも橋の下にいるトロルを、がらがらどんが「通過」するバリエーションの技法で表現されている。子どもに予想を可能にし、そのとおり展開されるため期待と高揚感をつくる。いっときのその世界から解き放たれたとき、やはり子どもはほっとするのだ。
 バリエーションという絵本の表現技法は、コミュニケーションと安心を与えるという意味で、子どもに対してすごい力を持つものなのだ。
 

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