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縫製の仕事をする-障害者施設を訪ねて(その2)

2003-08-17 13:23:10 | 福祉
[96] 縫製の仕事をする―障害者施設を訪ねて(その2) (2003年08月17日 (日) 13時23分)

 

 ある授産施設は、縫製を専門にしていた。小規模ながら一人ひとりが分業にもとづいてミシン、アイロンかけなど職人の集まりのように思えた。作っているものは弓道着である。
 弓道着は安定した需要があり、年間を通して稼動ができるとのことだ。仕事の内容を弓道着に着眼したことに感心した。弓道が授産施設と関連づいたので、このスポーツが私との距離が近くなった。 
 年配の人が多く、仕事ぶりは熟練の域である。聴力障害者が多いのは、これまでの聴力障害の教育の歴史を反映していることでもある。聴力障害者には、縫製などの手仕事を職業教育として力をいれていたのである。ついでながら工賃が月額10万を超えるとのことで、これまた授産施設の事業としては特別なものといえよう。
 縫製のことゆえ中国やヴェトナムのことが去来した。90年ごろヴェトナムの縫製工場で見た、日本向けの製品をづくり始めたという光景を思い出した。ヴェトナムにとっては斬新である、日本で使っていた機械を導入して、新技術への期待を語っていた。その滞在時に買い求めたポロシャツは、体にフィットした物とは言いがたいものだった。しかし昨今は、中国製と並んでデパートの製品にもヴェトナム製が多く見られる。技術移転が進んだことに感心するとともに、縫製のような集約労働は日本では少なくなっているのだろうな、といったことを考えさせられたのだ。
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 身体障害者施設は目的別にいくつもの施設があるが、身体障害者療護施設をはじめて訪ねた。そこの利用者は療護施設ということもあって、身体障害といっても重複の重度の人たちであった。常時全介護の人がほとんどであろうと思われた。
 障害も含めた人となりを認めつつの介護は、老人介護の技術では対応できない力そのものも必要とする。また身体的条件によっては、たとえば嚥下が微妙であるなど、人に対する理解とそれに対応する介護技術が必要なのだろう、などといったこと考えめぐらしたのだった。

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