世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

緊急経済対策にひと言 左右のおもりを同時に引き上げて見せると云う手品師・安倍晋三

2013年01月11日 | 日記
金融が乗っ取る世界経済 - 21世紀の憂鬱 (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論新社


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緊急経済対策にひと言 左右のおもりを同時に引き上げて見せると云う手品師・安倍晋三

 以下は、例のアベノミクスの緊急経済対策の閣議決定を報じる毎日新聞の記事である。市場では、今日も円安・株高の追い風が吹き、安倍政権に追い風が吹いている。アベノミクス効果とは思えない偶然とはいえ、少なくとも順調なスタートを切ったと言えるのだろう。

 今回の対策で12年度の新規国債発行額は50兆円規模(今までは44兆円)まで膨張する。今までのヘタレ民主党の一般家庭に向かっていた財政支出が、企業系(公共事業中心)への財政出動に切り替わったと云うことだ。「萎縮し続ける経済と決別し、新しい需要が次々と生み出されて 雇用と所得が拡大していく強い経済を目指す」と安倍晋三は胸を張るが、グローバル経済下においては、政治と経済の乖離が鮮明になっている事実を無視した今回の緊急対策政策は、最終的に税金の無駄遣い、単なるバラマキに終わるのは確実だろう。

 経済成長(財政支出)と財政健全化と云う、2匹のウサギを追いますと云う、狂気の対策を平気で語れるところに、安倍晋三の知的水準が現れている。こんな狂気の論理矛盾な政策が実現したら、臍が茶を沸かすわけだが、市場は好感している。しかし、現実に既に生産拠点を海外にシフトしている状況では、円安効果は限定的だし、円安による生活者へのダメージの方が影響が強くなるだろう。何ひとつ目新しさがなく、官僚の作文の域を出ていない。

 公共事業の中身は、インフラの修復に充てる等と言っているが、単に目先を変えただけで、以前の公共事業の延長線にある。また、その予算にみあう工事が現実に行うこと自体怪しい。つまり、公共事業の現場は震災復興で既に目一杯であり、これ以上の建設機材の導入や現場作業員の手当てなど、不確実な要素が多過ぎる。成長戦略にも、ハタと膝を打つようなものがなく、戦略そのものは各事業者任せの感は否めない。

 市場の活況も、米国経済の上向き傾向と中国の底打ちに支えられた状況下において、安倍首相の元気な発言が重なり起きているものであり、冷静さを取り戻した時、一気に反動が現れるのだろう。市場で実体経済は、以前よりも乖離が激しくなっているし、市場が牽引する活性化は、リーマンショック同様に、大きな副作用がつきまとう。経済が上向きになった結果生まれる市場の活況とは異なるわけで、浮かれる軽薄さには呆れてしまう。“経済成長(財政支出)と財政健全化”等と云う事が実現できる政策があるなら、どの国も苦労はないわけで、手品が通用する甘い世界ではない。しかし、60万人の雇用確保などまったく根拠不明で、本当にこの人大丈夫かと思う今日この頃である。

≪ 緊急経済対策:閣議決定…60万人雇用創出、20兆円規模
 政府は11日、安倍政権が掲げる経済再生の実現に向けた緊急経済対策を閣議決定した。国の支出だけで10.3兆円、地方自治体の負担や民間分を合わせた事業規模は20.2兆円の大型対策となり、国の支出でリーマン・ショック後の09年4月に麻生政権がまとめた経済対策(約15兆円)に迫る規模となった。政府は、日銀の金融緩和と併せデフレ脱却の起爆剤にしたい考えで、実質国内総生産(GDP)を約2%押し上げ、60万人の雇用創出につながると見込んでいる。
 安倍晋三首相は自ら記者して対策を発表し「萎縮し続ける経済と決別し、新しい需要が次々と生み出されて 雇用と所得が拡大していく強い経済を目指す」と、政権の成長重視を鮮明にした。
 対策は(1)復興・防災対策(3.8兆円)(2)成長による富の創出(3.1兆円)(3)暮らしの安心・地域活性化(3.1兆円)−−が柱。(3)の地域活性化には公共事業の地方負担を国が肩代わりする交付金(1.4兆円)を盛り込む。また、緊急経済対策としては異例の税制制度改革にも踏み込み、従業員の賃金を上げた場合に法人税を引き下げるなどの減税も実施する。「国土強靱(きょうじ ん)化」を掲げた政権公約に沿い、各分野にまたがる公共事業の総額は地方の肩代わり分を含め4.7兆円に膨らみ、国の支出の半分を占める。
 金融政策についても「明確な物価目標の下で、日銀が積極的な金融緩和を行っていくことを強く期待する」 と明記した。政府の経済対策が具体的な金融政策に言及するのも異例だ。日銀に物価目標導入を念押しし、デフレ脱却に向けた連携強化を打ち出した形だ。
 具体的な事業には、道路や橋などインフラの総点検・老朽化対策や、東日本大震災の被災地への震災復興特 別交付税の増額、福島県内への放射性物質の分析・研究施設の整備費用などを計上し、復興・防災を推進する。
 また、政府系金融機関に基金を設け、企業の新事業創出や海外展開を支援する。政府の出資により民間資金や設備投資の呼び水にする。在宅医療の充実や海上 保安体制の強化、いじめ対策にも予算を配分する。
 15日に決定する12年度補正予算案では、対策の財源を手当てするため5.2兆円の国債増発を盛り込む見通しで、当初予算分も含めた12年度の新規国債発行額は、税収・税外収入の合計を上回り、50兆円規模に達する。前政権が財政健全化のために設けた44兆円枠を大きく超え、先進国最悪の財政状況はさらに悪化する。【清水憲司】

 ◇解説 家計から公共事業重視へ
 政権の最優先課題である経済再生に向け、20兆円規模の緊急経済対策が11日、決定した。公共事業に当初予算並みの4.7兆円を配分、企業投資へ多額の補助金も盛り込むなど、家計への財源配分を重視した民主党政権時代からの路線転換は鮮明だ。財政支出に見合った効果を引き出し、経済成長と財政健全化の二兎(にと)を追えるか、政権の真価が問われる。  安倍晋三首相は会見で、公共事業に多額の財源を振り向けることに「安易な公共事業のばらまきではない。 国民生活を守る事業や早期に執行が可能な事業に絞った」と説明した。しかし、事業規模は最近の年間予算額に匹敵するだけに、人材や資材調達が追いつかず、 一部事業は14年度まで執行がずれ込む可能性もある。経済効果に即効性があるのかは不透明だ。
 安倍政権は経済政策の「三本の矢」として▽大胆な金融緩和▽機動的な財政政策▽民間投資を喚起する成長 戦略−−を一体的に実行すると説明する。経済対策には民間投資を引き出すための官民ファンド創設や研究開発の実用化支援など、企業の成長力強化を狙った施策も盛り込まれたが、経済界が期待するのは今後策定される成長戦略の確実な実行だ。既得権益を持つ団体や省庁の抵抗を排した規制改革にどこまで踏み込めるのか。それが自民党がかつての体質から変わったのかを示す試金石になる。
 今回の対策で12年度の新規国債発行額は50兆円規模まで膨張する。年度途中の国債増発も3年ぶりだ。 政府は大規模な財政出動で経済を底上げし、税収を増やして財政も立て直す戦略を描くが、思惑通りに税収が伸びなければ、借金だけが膨らむ事態になりかねな い。【工藤昭久】 ≫(毎日新聞)


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