アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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「ラビア・カーディル」をひっぱたきたい

2012年05月25日 06時25分25秒 | 北朝鮮・中国人権問題
これはひどい!! 再稼働容認 おおい町議会、驚愕の議長


 まずは本題に入る前に上の動画を見て下さい。大飯原発再稼働を決めた福井県おおい町の、マスコミ取材に応じる町議会議長の姿です。再稼働容認に至る経緯を説明する重要な記者会見の場に遅刻しておきながら、理由を聞かれても逃げ回った末に、「腹痛でトイレに行っていた」と居直る。一言インタビューを求められても本当に「あ」の一言で誤魔化す。まるで、ふざけているとしか思えない態度の町会議長の胸に、北朝鮮・拉致被害者支援のブルーリボン。
 この動画は、友好ブログの原発関連記事にアップされていたものですが、私はこれを見て無性に腹が立ちました。北朝鮮拉致が明るみに出てからこの方、今まで散々「左翼や人権派は北朝鮮拉致に目をつむってきた」と叩かれ、私自身もそれを不甲斐なく思ってきました。しかし、その左翼や人権派を批判する側のモラルはどうなのか。この国では、こんなふざけた人物でも、ブルーリボンを胸に付け愛国者を装えば町議会議長になれるのか。これでは、ブルーリボンや北朝鮮拉致問題が、今や悪徳政治家や悪政推進の「目くらまし」「免罪符」に成り下がっていると言われても、仕方ないのではないでしょうか。
 勿論、ブルーリボンを付けている政治家が全員こんな人物ばかりではないでしょう。しかし、その手の人物も決して少なくないというのが、私の正直な実感です。寧ろ「上から目線」で「人権」「生活弱者」への「こだわり」「縛り」がない分、左翼以上にモラルに問題のある政治家が多い。尖閣買取りや反中国発言で人気を集める一方で、女性を「ババア」呼ばわりし「精神障碍者には人格がない」と嘯く石原慎太郎や、朝鮮学校における指導者崇拝教育を批判しながら、己は北朝鮮まがいの職員思想調査や「君が代」斉唱口元チェックを煽る橋下徹、北朝鮮民衆の飢餓や中国国内の経済格差を批判しながら、当の日本では財界と一緒になって福祉削減や競争至上主義を煽る「勝ち組」保守系政治家などがその典型です。「小泉チルドレン」「安倍チルドレン」「橋下ベイビーズ」なぞ正にそうじゃないですか。

中国を追われたウイグル人―亡命者が語る政治弾圧 (文春新書)
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 では本題に入ります。亡命ウイグル人組織の世界ウイグル会議が、この5月に東京で総会を開き、中国政府の少数民族抑圧政策を非難する一方で、組織代表のラビア・カーディル女史が右翼と一緒になって靖国神社に参拝した事が話題になりました。この間、母の葬儀で身辺がバタバタしていたので記事にするのが遅くなりましたが、今回はこの問題を取り上げたいと思います。
 中国政府のウイグル・チベット侵略に抗議しながら、パトロンの右翼政治家に阿り、日本のアジア侵略の象徴たる靖国神社に参拝する。私から見たら卑屈としか思えない行為ですが、ウイグル人の立場からすれば「敵の敵は味方」という事であり、また「背に腹は代えられない」という事なのでしょう。それならそれで、まだ肯定は出来ないものの理解は出来る。しかし、では次の事例は一体どうなのか。

 実は大阪の私の住んでいる市にも、尖閣諸島の防衛や中国に対する警戒を熱心に説く市議がいます。その手のデモにも何回か参加した事を、自身のブログでも自慢している人物です。しかし、その人物は一方で、市内や府下で手広く化粧品店チェーンを経営し、中国にも出店しています。反中国を煽りながら、自分は中国に出店し彼の国からもちゃっかり利益を得る。私からすれば「二股かけている」としか思えない行為ですが、それも「敵を手玉に取る」という事なのでしょうか。
 その人物も、御多分にもれず先述の「勝ち組」政治家の典型で、橋下大阪市長の「君が代」強制や公務員リストラを支持し、私の市のゼネコン優遇予算に反対した市議をまるで非国民であるかのように批判しています。公立保育所の民営化を煽る一方で、国からの出向者を副市長に迎え高給優遇する現市政を擁護しています。「国とのパイプ役として必要」なのだと。保育所の職員は必要ないのか。

 その「勝ち組」市議のビラ曰く、今は「大きな政府ではなく小さな政府」「民間に任せられる仕事は全て民間に」「競争によるコスト削減でサービス向上」が求められる時代で、市民も「市が何をしてくれるかではなく、自分自身が市や国の為に何が出来るか」を考えなければならないのだと。
 もうアホかと思いますね。競争や民営化でいくらコストが削減されても、その利益は民間企業に吸い取られるだけで、市民サービスや福祉向上には全然還元されなかったじゃないか。もたらされたのは経済格差拡大やリストラ・過労死・ブラック企業の横行だけであり、安全手抜きのJR福知山線事故や、八ツ場ダムやWTCビルのような更なる箱モノ行政だけじゃなかったか。偉そうに上から目線で「何してくれるかではなく、何が出来るか考えろ」とのご宣託だが、そもそもそれ以前に一体「何をしてくれた」というのか。実際は「何もしてくれなかった」くせに、その上更に「何が出来るか考えろ」とは、盗人猛々しいにも程がある。

 これは勿論その「勝ち組」市議の問題であり、世界ウイグル会議やラビア・カーディル女史には直接関係ない事です。しかし、昨今この手の「中国や北朝鮮の人権侵害を非難しながら、当の日本国内では思いっきり弱者の人権を侵害している」輩が跋扈しているのも事実です。そんな人物に担がれている限り、その運動に未来はないと言えるでしょう。これでは、かつて左翼が犯した「日本や米国の人権侵害を非難しながら、中国や北朝鮮の人権侵害には頬かむり」の姿勢と、まるで「コインの裏表」ではないですか。対象が日米、中国・北朝鮮と異なるだけで、やっている事の本質はまるで同じという意味では。
 以前、赤木智弘というフリーターが、「反戦平和・格差解消を唱える左翼こそが、既得権益の上に胡坐をかいている」「もはや戦争でもなければ、フリーターは一生浮かび上がれない」と主張し、戦後知識人の「丸山眞男」を左翼の代名詞と見立てて、「『丸山眞男』をひっぱたきたい」と書いた事がありました(関連記事参照)。その伝で行くと、上記の主張は差し詰め「『ラビア・カーディル』をひっぱたきたい」となるのでしょうか。

   
 上記が当該「勝ち組」市議が駅前で撒いていたビラ。その中の赤枠で囲った部分が、先述の「市が何をしてくれるかではなく、自分自身が市や国の為に何が出来るか」の記述。 
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