アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

二兎を追う者は一兎をも得ず

2020年11月21日 22時45分00秒 | 新型コロナ・アベノマスク
 
近所の薬局に下記の張り紙が貼られていた。
「お客様各位へ。当店のお客様より御連絡頂き感染が発覚致しましたので、当店は皆様に御迷惑をお掛けしない為、暫く営業を自粛させて頂きます」
 
これが、その張り紙の文章だ。この文章だけだと、一体誰がコロナに感染したのか分からない。私は最初、客が感染したものと思い、薬局が責任を感じて営業自粛を表明したと思っていた。
 
しかし、薬局は客の求めに応じて市販薬を販売しただけなのに、何故、責任を取らなければならないのか?どうも腑に落ちない。
 
ひょっとしたら、客と一緒に酒を飲んだ後、客の感染が発覚し、店主もPCR検査を受けたら感染していた。それで治るまで暫く営業自粛する事にした…そう言う事ではないだろうか?
 
この薬局は、私の住むマンションとは目と鼻の先にある。今までこの薬局で買ったのは腰痛の湿布薬とマスクぐらいなので、接触機会そのものはそんなに多くはない。それでもやはり、余り気持ちの良いものではない。
 
他方で、私は腰痛治療の為に、定期的に整骨院や鍼灸院に通っている。そこでは主治医からコロナに関する情報も色々入って来る。
 
先日も、私の勤め先で、インフルエンザ予防接種を希望する従業員には、会社から費用を半額補助する話があった。正社員だけでなくバイトや派遣社員も補助の対象になるそうだ。私は「予防接種よりもPCR検査の費用を補助して欲しい」と言ったが、今の制度では無理だそうだ。
 
しかし、「それでもインフルエンザの予防接種を推奨する価値はある」と、その主治医は言っていた。その理由は二つある。一つは、インフルエンザ患者がコロナに感染すると重症化するリスクが高くなるので、それを避ける為。もう一つは、予防接種で患者数を減らせば、その分、パンデミックによる医療崩壊を食い止める事が出来る。
 
もし医療崩壊してしまったら、その影響はコロナだけに止まらない。コロナ治療が最優先されるので、他の疾患の治療は後回しにされる。それが只の風邪であっても、治療を後回しにされた事で、風邪をこじらせて肺炎になる確率が高くなる。それで現に亡くなった人も出ている。だから「今は少しでも病気にかからないよう養生しなければならない」と。
 
しかし、個人で出来る事は限られる。特に、今の政府の様に、「三密を避けろ」と言いながらゴーツー(GO TO)キャンペーンで接触機会を増やすような、矛盾した事をやっていたら、コロナ感染者は増えこそすれ、減る事なぞ絶対にない。
 
どんな物にも順序と言う物がある。車の運転一つ取ってもそうだろう。前方に横断歩行者がいたら、まず車を停止させるのが先だ。そして、歩行者が通り過ぎてから、車を運転したら良い。
 
ところが、コロナの話になると、途端に「ブレーキとアクセルを同時に掛けなければならない」という転倒した話になる。「経済も回さなければならないから」だと。経済(金儲け)と人の命と、一体どちらが大切か?誰が考えても分かる事なのに。
 
「二兎を追う者は一兎をも得ず」という諺があるが、本当にその通りだと思う。「経済も回さなければならない」と言いながら、実際は経済(金儲け)優先でコロナ対策は後回し。
 


吉村知事の「大阪モデル」も、実際は出口戦略(景気対策)まず先にありきで、コロナ対策は後回しだった。PCR検査に対する消極的姿勢が、その何よりの証拠だ。検査→隔離→治療こそが、コロナ対策の基本であり常道なのに。
 
だから、日本も米国も、コロナ対策に失敗している。「経済も回さなければならない」と、コロナ対策を後回しにして、ブレーキとアクセルを同時に吹かすような矛盾した事をしている。その象徴がゴーツーだ。
 


その中で、唯一、コロナ封じ込めに成功した国がある。それが中国だ。他の先進国が「ウイズ・コロナ」(コロナとの共生)の名で、実際は経済優先にかまけている中で、一人中国だけは、「ゼロ・コロナ」の名で、徹底的なコロナ封じ込めをやった。
 
カミュというフランスの作家が書いた「ペスト」という小説があるが、あの小説に出て来るような、伝染病感染地域丸ごと強制封鎖を、この間、中国は強権的に行なって来た。中国は共産党の一党独裁なので、政府は国民の位置情報を一人残らず掴んでいる。それをフルに活用して、強制封鎖を行い、コロナ根絶に成功したのだ。
 
札幌医科大学ホームページのコロナ感染者数推移グラフを見ると、それが一目瞭然だ。世界の国の中で、中国だけが、ある時期を境に、感染者数が止まっている事が分かる。
 
勿論、有無を言わさず強制隔離だから、そこには人権もプライバシーもないのは明らかだ。でも、そのお陰で、コロナ封じ込めに成功する事が出来た。今や中国では誰もマスクなぞしていない。「マスクしながら食事しろ」なんて土台無理な事を押し付けて来る、どこかの国とは大違いだ。
 
勿論、中国の様な強権的なやり方を、そのまま真似る事は出来ない。それでは、ハンセン病隔離政策と同じ過ちを、再び繰り返す事になる。
 
しかし、その中国を人権無視と誹る先進国は、本当に国民の人権を尊重しているのか?実際は経済(金儲け)先にありきで、国民の人権なぞ余り考えていないのではないか。もし考えていたら、金儲けと人の命を天秤にかけて、前者を優先する様な真似なぞしない筈だ。ゴーツーなんかよりPCR検査の方を優先する筈だ。
 
実は、政府の政策は経済優先ですらない。本当に経済優先なら、10万円給付金や持続化給付金の支給がこんなに遅れる事はなかった。消費を冷え込ます消費税増税も強行する事はなかった。最低賃金の引上げも、雀の涙ほどの時給千円程度ではなく、1日8時間働いたら誰でも最低限度の文化的な暮らしが出来る、時給1500円以上を目指す筈だ。
 
政府の行う経済政策は、カジノにしても万博にしても、一部の大企業や外国資本の金儲けを助ける事ばかりで、中小企業や庶民の事なぞ、これっぽっちも考えてはいない。大企業や外国資本を助ける方が、自分の懐に入って来る政治献金を期待できるからだ。
 
その挙句に、自分からゴーツーを煽っておきながら、「ゴーツーで感染広げた国民が悪い」「我慢の三連休」「褌を締め直せ」と、国民に責任転嫁。「マスクしながら食事しろ」と、人権無視の中国でもやらない様な事を平気で国民に強要する。
 
マスコミも、コロナ感染者数を垂れ流すだけでなく、何故そんな事になったのか?それを国民に分かりやすく伝えるべきだ。ただ政府の発表をそのまま垂れ流すだけなら、戦時中の大本営発表と同じだ。これでは中国と何ら変わらない。それでコロナ封じ込めも出来ないなら、中国より更にタチが悪い。
 
黙っている国民も国民だ。あれだけ情報統制されている中国ですら、国民は黙ってはいない。香港だけでなく中国本土でも、反政府デモは散発的に広がっている。国営放送が報じないだけで。政府の尻馬に乗って、中国叩きに興じている暇があるなら、この中国民衆のバイタリティーを見習ったらどうか。
 
「二兎を追う者は一兎をも得ず」。この諺を今こそ強く噛み締めたい。褌を締め直さなければならないのは、我々国民ではなく、むしろ政府の方ではないか。

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