アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

毎日が勉強

2018年12月26日 21時42分22秒 | 職場人権レポートVol.3

ブログ更新が滞り申し訳ありません。気が付けばもう年の瀬。年末繁忙期を迎え、なかなか更新できませんでした。

私は今、勤務先の物流センターで、ベトナム人留学生バイトの教育担当として、作業マニュアルの翻訳に追われています。職場には、既に私が作った全文ルビ付き日本語のマニュアルがありますが、ベトナム人バイトにはカナも読めない人が多いので、ベトナム語版を急遽作成する事にしました。

その中で一つ気付いた事があります。それは、私たち日本人が当たり前のように思っていた事でも、世界では全然当たり前ではなかったという事です。マニュアルを翻訳する中でも、その事を嫌というほど思い知らされました。

例えば次の例なぞもそうです。バイトマニュアルの中に、サインという項目があります。台車に商品を積み終わり、出荷する直前に、最後に積んだ人が、積み間違いがないか確認して、自分の名前を最上段のケースラベルに記入するのです。ラベルの狭い余白に記入するので、実際に書き入れるのはフルネームではなく頭文字かイニシャルです。山田太郎なら山、ヤ、Y、T.Y…という感じで記入します。

ところが、ベトナム人バイトは自分の名前ではなく顔文字や絵文字でサインをやり始めたのです。私はもう怒り心頭です。「こいつら、遊び半分で仕事しているのか…」「俺ら日本人バイトは忙しい中、重い荷物も必死になって運んでいるのに…」と。

そこで、顔文字や絵文字でサインするのを禁止した所、今度はベトナム人バイトから抗議の声が上がりました。「私らは何も遊び半分で仕事しているのではない。ベトナム人には同じ姓の人が多く、苗字だけでは区別がつかないから、代わりに顔文字や絵文字でサインしているのだ」と。

それで、色々調べてみると、面白い事が分かりました。

・ベトナム人の4割近くがグエンという姓で、次に多いのが1割超のチャン。そのグエンやチャンも含め、10個ぐらいの姓でベトナム人全体の85%位を占める。(上記グラフ参照)

・グエンとかチャンというのはベトナム歴代王朝の名前に由来。グエンという苗字が一番多いのも、グエン(阮)朝がベトナムで唯一の統一王朝だから。

・だから、ベトナム人は姓ではなく名前で呼び合う。かつての南ベトナムの大統領グエン・バン・チューも、グエン大統領ではなくチュー大統領と呼ばれた。但し、ベトナム建国の父ホー・チ・ミン主席だけは唯一の例外で、「ホーおじさん」と今でも国民から慕われている。

・ベトナム人によく似た名前が多く、慣れないとなかなか見分けが付かないのも、中国文化の影響で、中国式の名前が多かったのが、やがて中国の影響を脱して漢字も廃止し、フランス人の導入したアルファベットで文字を書くようになった為に、見分けがつきにくくなってしまったから。日本人の例で説明すると、渡辺和夫も渡部一雄も同じKazuo.Watanabeとなり、もう見分けがつかなくなってしまった…みたいな。

同姓同名についても、日本では同姓同名の人はほとんどいません。いるのはいますが、数は少ないです。ところが、外国へ行くと、もう同姓同名だらけなのだそうです。一番多いのがギリシャで、何と人口の半分近くが同姓同名なんだとか。キリスト教の聖人の名前を皆有難がって付けたので、そうなってしまったのだとか。次いで多いのが中国で、ベトナムもかなり多い部類に入るそうです。そして、世界で一番同姓同名の人が少ない国が、何と日本なんだと。

苗字といえば、NHKか何かで、日本人の変わった苗字のルーツを探るテレビ番組をやっていた時に、鰻(うなぎ)という苗字を取り上げていた事を思い出しました。全国でも20人ぐらいしかいない鰻さんのほとんどが、鹿児島県の鰻池近くの出身なんだとか。鰻池に棲んでいたとされる大鰻のパワーにあやかって鰻姓を名乗っていたものの、鰻重子(うなぎ・しげこ)では「うな重の子」という漫画みたいな名前になってしまうので、それを嫌がって改姓する人が増え、とうとう20人ぐらいにまで減ってしまったのだとか。

この同姓同名一つとっても、「日本の常識が必ずしも世界の常識ではない」という事を思い知らされました。いくら何でも顔文字については、商品を受け取った店の担当者に「遊び半分で仕事しているのか」と誤解されるおそれがあるので、さすがに認める訳には行きませんが、絵文字ぐらいなら認めても良いかなと、今では思い始めています。

作業マニュアル翻訳の方も、休日出勤の甲斐あって、かなりはかどりました。ベトナム語に翻訳すると言っても、別に私がベトナム語を知っている訳ではありません。あくまでも機械翻訳です。機械翻訳そのままのベトナム語では使い物にならないので、それを再び日本語に訳し直して、どうにか意味が通じる所まで編集を繰り返すのです。そうすれば、機械翻訳でも何とか意味が通じる程度にまで訳せる事が分かりました。

しかし、既にある日本語のマニュアルを訳すだけなので、ものの1時間もあれば完成すると思っていたのが、何度もやり直す羽目に陥り…。休日に半日だけ応援出勤するはずだったのが、ほとんど1日費やす事になってしまいました。その試行錯誤の中で、例えば、普段私たちが何気なく使っている「いざという時に」の「いざ」という表現が、「いざ鎌倉」の故事に由来する言い回しで、そのままではベトナム語に訳せない事も初めて分かりました。もう毎日が勉強です。完成したら、またブログでもご報告します。それでは、よいお年を。

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